【特集2】東ガスが24年に水素供給を開始 官民で取り組む脱炭素の街づくり

2023年3月3日

【晴海フラッグ】

東京都の小池百合子知事は、2月にロンドンで開催された国際交流団体の会合で講演し、脱炭素の街づくりを進める「晴海フラッグ」について説明した。水素は脱炭素エネルギーの安定供給の根幹になるとした上で「晴海フラッグを水素供給のモデルにする」と述べた。

晴海フラッグは、東京五輪・パラリンピックの選手村として使われた大型マンション群を中心とした大規模街づくり事業だ。東京ドームの約3・7倍となる18 haの敷地に24棟が建ち、5000戸を超える規模の分譲・賃貸住戸、大型商業施設が入居する。

隣接地にはENEOSが運営する水素ステーションのほか、東京都が整備するマルチモビリティステーションや公園、東京都中央区が新設する小中学校を建設予定など、官民連携で街をつくる計画だ。

パイプラインで水素供給 脱炭素社会のモデルに

晴海フラッグへの水素は、敷設した水素パイプラインを使って供給される。住宅共用部や商業施設などを五つの街区に分け、各街区に1台ずつ設置する純水素型燃料電池に水素を送り、街区の電力ピークに合わせて活用する。

平時は建物内や外構といった共用部の電力として、非常時には外構部分の照明として利用する。発電時に発生する熱は、高齢者向け住宅の共用浴場の給湯や足湯施設に使う。さらに、家庭用燃料電池コージェネレーションのエネファームと蓄電池を全住戸に採用。熱も給湯に利用するなど、家庭のエネルギー自給率を高める。

水素パイプラインは、東京五輪・パラリンピック時に日鉄パイプライン&エンジニアリングが7割を敷設。残る3割の敷設も順調に進み、昨年7月に完了した。

供給については、東京ガスの子会社である晴海エコエネルギーが小売り事業者となり、24年までに供給を開始する。

晴海フラッグは、三方向を海に囲まれ、遮へい物がない特徴を生かし、太陽光発電設備の導入を進めている。全棟に太陽光パネルを設置し共用部の電力に利用するほか、蓄電池を組み合わせて電力ピーク時や非常時に活用する。将来的には太陽光発電で再生可能エネルギー由来の水素をつくり、供給することも可能になるかもしれない。

パイプラインで水素を供給し、暮らしや産業に利用する、晴海フラッグ。環境に配慮した脱炭素社会の街づくりのモデルとして、世界の注目を浴び、期待が集まっている。

晴海フラッグの水素供給概念図 (提供:三井不動産)