【特集2】電気と水を自給自足 究極の分散型エネ住宅

2023年5月3日

【TOKAI】

2050年カーボンニュートラルを目指した取り組みは家庭部門でも進んでいる。大手LPガス会社TOKAIが手掛けるエネルギー自給自足の住宅「GQ(ジーク)」はその中でも先進的な取り組みだ。太陽光発電と蓄電池をフル活用して電気を可能な限り賄うのに加え、家に降った雨水や生活排水を処理して利用する仕組みを構築したもので、4人家族で利用すると、年間のCO2排出量を約3t削減が可能。まさに、家庭単位で分散型エネルギー拠点をつくり上げたものとなっている。

静岡県島田市にあるモデルハウスはGQで展開するさまざまな省エネや水の再利用の仕組みを試す実験の場となっている。まず目にとまるのは西側に傾いた屋根一面に敷き詰められた9・9kWの太陽光発電パネルだ。通常より大規模に設置しており、発電した電気は全て住宅で活用する。余剰分は36 kW時の蓄電池にためていく。蓄電池も大容量でフル充電にすると雨季が続いても約5日分の電気を賄うことが可能だ。

GQのモデルハウス

一方向に傾斜した屋根は太陽光だけでなく生活用水の確保にも寄与する。雨どいを伝い、庭先に設置した1万2000ℓの貯水タンクに流れるのだ。この量を貯水すると、降水量が少ない月も4人家族の生活に十分な水量を確保できるという。これらは「アドバンス」という最上位グレードの設備で、完全な自給自足を目指したものとなっている。

導入しやすい設備も販売 製品化に実証進める

GQには導入しやすいグレード「バリュー」の設備もラインアップされている。水は水道管に接続して利用する大容量貯水タンク「マルチアクア」で450ℓの水を常に確保。タンク内の水は使用するたびに入れ替わるので、常に新鮮な水を備蓄可能だ。太陽光や蓄電池もアドバンスより小規模のものをそろえ、多様なニーズに対応する。

このほかにも、新たな設備の実証が進む。雨水利用では、殺菌処理をせずにそのまま中水としてトイレ洗浄や洗濯機などに利用する仕組みを試す。電気では防災対策として、太陽光発電のパワコンに付属する1500Wの自立運転モードの電源を引いた分電盤を設置。ポータブル蓄電池からも電力供給が可能で、照明の一部やテレビ、洗濯機などに送電できる仕組みを構築する。

水処理設備で雨水などを水道水にする

「GQは完全な自給自足モデルから手頃な仕組みまで幅広く用意している。環境への関心が高い顧客をはじめ、自治体からの補助金が充実した地域から導入を検討する問い合わせが増えている。新築、既築問わず販売していきたい」。建築不動産本部事業開発推進部の武内淳部長は意気込みを語る。家庭部門の脱炭素化の手始めにGQは関心を集めていきそうだ。