【特集3】環境認証で高付加価値化 物件の新規賃料上げに寄与

2023年12月3日

不動産業界においてもESGへの関心が高まっている。新規、既存問わず物件の環境認証の取得が活発に行われている。

さまざまな分野でESGへの関心が高まる中、不動産投資においても、環境への配慮を物件評価に折り込むことが一般的になってきた。特にE(環境)に関して、エネルギー会社は多くの知見を有しているため、その強みを不動産事業で発揮している。例えば、新規に開発する住宅、マンション、ビル物件をZEH/ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス/ビル)に対応したり、既存物件の省エネ性能の向上を計ったり、太陽光発電、エコキュート、エネファーム、蓄電池といったエネルギー設備を導入する動きが活発だ。既存のオフィスビルや賃貸住宅では共用部の照明のLED化、空調設備などの更新、外壁や開口部の断熱強化など、エネルギー消費性能を向上する取り組みが行われている。

30年に向けてZEH物件が増えている

省エネ性能が高ければ、中長期的な視点で見て、光熱費などが削減され不動産価値向上につながり、物件オーナーは顧客の確保に有利になると考えられている。

その中から生まれた仕組みがグリーンリースだ。ビルオーナーとテナントが協力して、不動産の省エネなどの環境負荷低減や改善について、契約や覚書などで自主的に内容を取り決め、実践するもの。 例えば、省エネになる改修工事を行い、電気料金削減分の一部をビルオーナーにグリーンリース料として支払うことで、双方にメリットが生まれる。

建物性能の見える化 評価制度取得が活発に

デベロッパーでは、環境性能に関する評価制度などの取得・表示による建物性能の見える化の取り組みが盛んだ。「取得できる認証はなるべく取得する。それが不動産価値につながる」(デベロッパー幹部)

「CASBEE(建築環境総合性能評価システム)」「DBJGB(日本政策投資銀行グリーンビルディング」などは代表的な制度だ。

CASBEEは、2001年に国土交通省が主導し、建築環境・省エネルギー機構内の委員会によって開発された建築物の環境性能評価システムだ。日本国内の新築・既存建築物を評価対象とし、地球環境・周辺環境にいかに配慮しているか、ランニングコストに無駄がないか、利用者にとって快適か、などの性能を客観的に評価・表示するために利用する。省エネなどに限定された従来の環境性能よりも広い意味での環境性能を評価できるのが特長で、イギリスやカナダ、アメリカなどを参考に開発してつくられた。

DBJGBは2011年に創設された認証制度。不動産のサステナビリティーをESGに基づく五つの視点から評価し、主に既存物件の環境性能改善、建築・設計の技術的専門家に限らず不動産に携わる幅広い層のステークホルダーに利用されている。

こうした環境認証を取得したオフィスビルは未取得のオフィスビルより新規賃料が高くなる傾向にある。環境認証は不動産価値向上に大きくつながるため、さらに関心が高くなっていくとみられる。