【特集2】エネファームを戦略商材に デジタル化推進で最適提案

2024年2月3日

【東京ガス】

都市ガスと電気、それぞれ小口の販売件数が2023年9月、およそ875万件、360万件となった東京ガス。そんな同社が家庭向け戦略商品に掲げているのが家庭用燃料電池「エネファーム」だ。脱炭素に向けた水素社会への流れを受け、日に日に期待が高まっている商材である。都市ガス業界が09年から本格的に販売を開始し、今冬で累積導入台数が全国50万台に到達。東京ガスでも17万台を突破している。

「初期に導入された機器がリプレースの時期を迎えている。当社が手掛けるエネファーム販売で特徴的なのは、リプレースされるお客さまの約9割近くが再びエネファームを採用していること」。リビング技術部技術企画グループ技術企画チームの寺村朋晃チームリーダーはこう話す。

エネファームのラインアップも拡充されている。従来は固体高分子形(PEFC)と呼ぶパナソニック製のみであった。これは給湯や暖房など熱を多く使うユーザーに適しているが、固体酸化物形(SOFC)となる発電主体のアイシン製や京セラ製も商材に加わったことで、多様な需要家ニーズに適応できるようになった。

発電を主体とする製品が商材に加わった

また、アイシン機や京セラ機は、「後付け設置」も可能となっている。エネファームは発電・貯湯ユニット、ガス給湯器で構成されている。後付け設置とはガス給湯器のみを使用しているユーザーが給湯器をそのままに、発電・貯湯ユニットのみを新規に導入するやり方である。イニシャル費の低減に課題を抱えている中、ガス事業者やメーカーが知恵を絞って編み出した、少しでも費用を抑えるための工夫だ。さらに、最近では天気予報と連動させるなど、エネファーム本体側の制御面でも技術開発が進み、最適なユーザー運用をサポートしている。


価値共創型の取り組みに昇華 デジタル化で運用の最適化

東ガスではエネファームや蓄電池などの多様な分散型エネルギーリソース(DER)を活用し、関西電力、パナソニックや京セラなどと連携してVPP実証も進めてきた。実証ではDERを束ねるための仕組み作りが課題と分かり、その後、再エネ事業を手掛けるスタートアップ企業の自然電力が構築したプラットフォームの活用を開始することになった。

リビング技術部技術企画グループソリューション企画チームの白井良和チームリーダーは次のように話す。「多様な企業とこのプラットフォームを共同利用することで運用費を最小化し、電力系統の安定化とユーザーメリットにつなげる価値共創型の取り組みに昇華させたい」

今後、東ガスでは20年に戦略的提携を開始した英国オクトパスエナジー社のシステム「クラーケン」や「クラーケンフレックス」も活用してDERの価値向上と顧客体験の向上を目指す。「全社一丸となって高度なデジタル技術をベースに、火力や再エネ発電所はもちろん、お客さま先の設備、電力市場取引までを一元管理した運用の最適化を進めている。23年11月に発表したソリューションブランド『IGNITURE』のもとで脱炭素、レジリエンス、最適化した価値を届けたい」。白井氏はこう将来の展望を語っている。