【コラム/2月18日】米共和党が指摘する気候危機説のウソ 議会公聴会で科学者が証言

2025年2月18日

干ばつに強い品種の開発、かんがいの改善、そしてCO2が作物の生育を促進する「肥沃化効果」などによって、1960年以降、米国における作物の収量は着実に増加した。米国西部において山火事が深刻になっている理由は、森林管理の不備によって、燃料になりやすい木材が森林中に蓄積してしまっていることによるものだ。

https://www.heritage.org/environment/report/defying-predictions-how-increased-co2-and-innovation-are-mitigating-effects


緩やかな地球温暖化は起きてきたが、気象災害の激甚化などは統計をみれば起きていない。暴風雨による被害金額はここ数十年で大幅に増加しているが、それは暴風雨が破壊する道路や建物などの資産が経済成長によって増えたからにほかならない。気候変動に関する記事をうのみにするのはやめよう。 あなたは惑わされている。 気候危機など存在しない。

https://www.heritage.org/climate/commentary/climate-change-the-science-doesnt-support-the-heated-rhetoric


「地球温暖化が米国の伝統的な生態系を根本的に変えてしまう」という予測は、科学的な検証に耐えられない。全体的に見て、「影響を受けやすい」とされる野生動物などの生態系から生み出される商品・サービスの提供には、ほとんど何の影響もないだろう。

https://www.heritage.org/environment/report/resilient-wilds-unmasking-the-surprising-adaptability-us-ecosystems-climate


世界の平均海面上昇は、約2万年前の氷河期の終焉以来続いている。局所的に見るならば、海岸は地盤沈下や地震などの理由によって急速な沈降と隆起を繰り返しており、地球温暖化による海面上昇はそれに比べるとゆっくりしたものだ。

https://www.heritage.org/climate/report/coastal-inundation-rising-sea-levels-explained


米国では1950年代以降、強い竜巻の発生が50%も減少している。温室効果ガス排出量の増加が暴風雨の激甚化を引き起こしているという主張は支持されない

https://www.heritage.org/environment/report/twisters-and-trends-analysis-us-tornado-activity-and-climate-change


以上、主なメッセージは、これまでも指摘されてきたことであるし、筆者もいくつかの著作でまとめてきたこととほぼ同じだ。だが改めて、最新のデータを分かり易い図で示し、正確かつ簡潔な説明が付けてある。

共和党は総意として、グリーン・ニューディールを止め、パリ気候協定からは離脱する。
その一方で日本政府は、2050年までに温室効果ガス実質ゼロを目指したエネルギー基本計画を閣議決定し、40年までに温室効果ガスを13年比で73%も削減するという国別目標をパリ気候協定に提出しようとしている。

日本人もデータに学んで気候危機説がウソであることを理解し、経済的な自滅であるパリ協定への数値目標の提出は見合わせるべきだ。


【プロフィール】1991年東京大学理学部卒。93年同大学院工学研究科物理工学修了後、電力中央研究所入所。電中研上席研究員などを経て、2017年キヤノングローバル戦略研究所入所。19年から現職。慶應義塾大学大学院特任教授も務める。「亡国のエコ 今すぐやめよう太陽光パネル」など著書多数。最近はYouTube「杉山大志_キヤノングローバル戦略研究所」での情報発信にも力を入れる。

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