【特集2】特殊塗料で位置情報の精度を補完 走行しながらの無線給電実証
【トピックス/自動運転EVバス】
特殊塗料の活用で安定しながら、無線給電の実証が行われている。これら新技術の本格実装が実現すれば、EVの普及にもつながりそうだ。
車の自動運転が可能になれば、現在私たちを苦しめている多くの社会課題が解決し、かつ新たな産業も創出される。実際アメリカではすでに自動運転タクシーのサービスが商用展開されている。
万博会場では、約100台の自動運転EVバスが運行している。自動運転には衛星を使った位置情報確認システムが不可欠だ。しかし今回のルートでは、高速道路やトンネル内、夢洲と舞洲を結ぶ夢舞大橋、大屋根リング下などで、その精度低下が懸念事項となっていた。そこで対策として、道路にGPSを補完する特殊塗料「ターゲットラインⓇペイント」を塗装。車両に搭載されたLiDAR(ライダー)センサーがその特殊塗料を認識・追従することで安定した自動運転を実現している。またこの特殊塗料は、道路と同系色での製造が可能なため、路面標識と誤認しづらく、安全面への配慮も万全だ。

磁界共鳴方式を使って給電 5社の企業連合が開発
自動運転バスは、車の無人運転を意味するレベル4で会場内を外周する。運転席には万一に備えて、ハンドルを握らない運転士が常駐。車内に設置されたモニターにはキャラクターが登場し、クイズ形式で自動運転について教えてくれる。
会場の外周を走るEVバス30台のうち6台は、走行中でのワイヤレス給電(Dynamic Wireless Power Transfer:DWPT)を採用。磁界共鳴方式を使い、道路に埋設した送電コイルから車両側の受電コイルに電力を供給している。
このDWPTシステムは、ダイヘン、大林組、関西電力、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)、東日本高速道路(NEXCO東日本)の5社から成るコンソーシアムが開発した。ダイヘンが給電装置を手掛け、大林組が道路への施工を担当。関西電力はDWPTを含む会場全体の電力管理システムを開発し、大阪メトロがEVバスの運行を担う。NEXCO東日本は実証の成果を生かし、高速道路への実装に向けた研究開発を進めている。
DWPTが普及すれば、EV普及を妨げている充電問題が解決され、より自由な移動が可能になる。