【特集2】耐荷重の低い場所への設置が可能 屋根やアート作品など多彩な用途

2025年6月3日

【トピックス/ペロブスカイト太陽電池】

薄型・軽量で柔軟な特徴から、会場内のさまざまな場所で活躍中だ。発電した電力は、夜間の照明や水素の生成などに利用されている。

薄型・軽量で柔軟なため、壁やガラス窓など耐荷重が低い場所にも設置できるペロブスカイト太陽電池。将来的には日傘やリュックへの応用が見込まれる。エネルギー自給率を高められるこのゲームチェンジャ―は、会場内のさまざまな場所に設置されている。
NTTパビリオンでは、発電した電力で水電解装置を稼働し、発生した水素は燃料電池の発電に利用されている。余剰の水素は水素貯蔵装置に蓄えられ地下の水素パイプラインを通り、パナソニックグループパビリオンの同社製純水素型燃料電池に供給される。
西ゲート近くの広大なバスターミナルの屋根には、積水化学工業と積水樹脂によるフィルム型ペロブスカイトが張り巡らされている。日中発電した電力は大型蓄電池に充電。夜間バスターミナルを照らす100WのLEDライト282個に供給している。その全ての電力を屋根上の発電で賄っている。

バス停屋根250mの曲線に設置


パナソニックグループパビリオンのガラス型ペロブスカイトは、アート作品で街を彩るプロジェクトを数多く手掛けているヘラルボニー社(盛岡市)とコラボレーション。まるで切り絵を挟み込んだガラスのオブジェのようだ。同社はサイズや透過性、描画の自由度が高いガラス型の技術開発を進めている。

アート作品のようなガラス型

政府が需要創出などを推進 市場規模は大幅な拡大へ

政府は40年度に再エネ発電量を全体の4~5割に拡大するという目標を掲げ、ペロブスカイト太陽電池の需要創出に向けた投資などを進めている。富士経済の調査によれば、市場規模は40年に23年比64.9倍の2兆4000億円に達する見込み。期待は高まる一方だ。