【北海道電力 齋藤社長】新たな価値を創造し 北海道と共に力強く成長する
生成AIの普及拡大をはじめとするDXの広がりなども相まって、北海道に次世代半導体工場やDCなどのGX産業の立地により中長期的な電力需要の見通しも増加に転じています。ほくでんグループは、電力需要の増加やカーボンニュートラル(CN)実現に着実に対応するとともに、新たな価値創造に取り組むことで、この千載一遇のチャンスをつかみ取り、北海道と共に力強く成長していきたいと考えています。

さらに経営ビジョンでは、資本市場を意識し、会社の規模が拡大局面にあることを念頭に置きつつ、資本効率を高めていく方針を示しました。培った技術力や地域との信頼関係などの強みを活用して、ROIC(投下資本利益率)を高めることに加え、事業ポートフォリオ最適化による事業リスク分散や各事業におけるリスク管理の徹底、ESG(環境・社会・ガバナンス)ファイナンスの活用などによりWACC(加重平均資本コスト)を低減することも重要です。特に事業ポートフォリオについては、安定供給確保やCN実現を念頭に、市場におけるポジションを踏まえながら、各事業を「最優先投資領域」「優先投資領域」「厳選投資領域」「最小限投資領域」の4象限に分類し、選択と集中を行うことで最適化を進めていきます。
こうした取り組みにより継続的にキャッシュを創出し、事業への再投資、自己資本最適化、株主還元、社会未実装の次世代エネルギー分野などの成長投資へ適切に配分し、持続的な企業価値向上を実現します。安定供給確保やCN実現に向けた投資を進めることで、35年度末の総資産は24年度末比1・6倍程度(約3・6兆円)に拡大させます。経常利益も足元では400億円以上を目標としていますが、30年度に700億円以上、35年度には900億円以上と倍増させ、ROICも35年に3・5%以上を目指していきます。

井関 相当な思い入れを込めた経営ビジョンですね。
齋藤 はい。北海道は一次産業、食、観光そしてデジタル産業と大きな強みを持っています。少子高齢化や人口減少という課題はありますが、それをAIやDXが補うことでより魅力ある地域となり、世界での存在感が増していくと確信しています。それを下支えする存在としてほくでんグループがいます。「北海道から日本を競争力ある国に変えていく。ほくでんグループがその発信源になる」という気概を持って足元の仕事に取り組み、経営ビジョンを達成します。
井関 泊発電所3号機の再稼働へ手応えを感じていますか。
齋藤 当社は今年7月30日、新規制基準適合に係る泊発電所3号炉の原子炉設置変更許可申請について、原子力規制委員会から許可を受領しました。申請から12年以上にわたり、審査に携わっていただいた原子力規制委員会の皆さま、関係する皆さまに心よりお礼申し上げます。これは、3号機の安全対策に関する基本方針や基本設計が新規制基準に適合しているとのご判断をいただいたものであり、再稼働に向けた大きな節目であると受け止めています。続く工事計画認可申請については、順次補正書を提出し、審査を進めています。3号機の再稼働へ向けて、27年のできるだけ早期の再稼働を目指し、総力を挙げます。
泊発電所の必要性や安全対策などに関して、立地する泊村などの後志総合振興局管内20市町村および道内各地の当社支社所在地で説明会を実施し、10月26日までに予定した全ての説明会を終えました。引き続き、さまざまな機会を捉えながら、広く道民の皆さまに丁寧に説明していきます。


