【四国電力 宮本社長】「人の力」を最大化 各事業の収益力を高めグループの成長目指す

2025年12月3日

井関 新増設計画へのお考えは。

宮本 3号機については、長期施設管理計画について3月に認可をいただいたところであり、まずは同計画に基づき高経年化対策などを着実に実施し、安全・安定運転を積み重ねるとともに、さらなる安全性・信頼性の向上に向けて不断の努力を積み重ねていくことが重要であると考えています。現時点で原子炉を新設するなどの具体的な計画があるわけではありません。

井関 今後の火力発電所の役割や必要性をどう見ていますか。

宮本 火力発電は今後、再エネの導入拡大に伴い、発電電力量の減少が見込まれるものの、電力需給の安定化に不可欠な調整力、慣性力、同期化力を有する電源として重要な役割を担うとともに、電力広域的運営推進機関の将来需給シナリオを踏まえると、供給力としても引き続き欠くことができないと考えています。脱炭素化と安定供給に必要な発電容量などの確保を両立していくためには、トランジション手段としてのLNG火力を一定量確保しつつ、アンモニア混焼やCCUSを活用した石炭火力の低・脱炭素化など、技術開発動向やコストなどを踏まえた時間軸で進めていくことが重要と考えています。

また新規の火力電源への投資については、四国域内外を問わず、将来的な需給や市場の動向、国のエネルギー政策などを勘案し、必要性や経済性などを踏まえ総合的に検討を進めているところです。長期脱炭素電源オークションなどを活用し、将来の水素混焼を見据えた最新鋭の高効率コンバインド・サイクル方式を採用した坂出5号機の建設など、電源の新陳代謝や低・脱炭素化の推進による継続的な競争力の確保を図っていきます。


新たなメッセージ策定 地域への想いを表現

井関 今回新たにブランドステートメントを策定していますが、その背景や目的は。

新たにブランドステートメントを策定した

宮本 当社はこれまで、コーポレートメッセージである「しあわせのチカラになりたい。」を通して、地域の皆さまに対する想いを表現してきましたが、まだまだ当社のメッセージが浸透していないと感じていました。そのため新中計を公表する機会に合わせて、当社が地域で実現したいことを分かりやすくイメージしてもらえるように、ブランドステートメントとして新たに策定しました。このブランドステートメントでは「しあわせ」を、皆さまが大切な人を思い浮かべながら贈りものを選んでいる時の気持ちで表現しており、社員一人ひとりの「ご提供するサービスの先にある皆さまのことを思い浮かべながら取り組む姿勢」や、「地域の安心・未来を皆さまとともに支えていきたいという願い」をお伝えできればと考えています。

井関 競争力と収益性を高めつつ、地域に寄り添い続ける姿勢が伝わってきました。本日はありがとうございました。


対談を終えて

四国電力の新中期経営計画の特徴は、エネルギーに加えて情報通信をコア事業に位置付けたことだ。遡れば1990年代後半、電灯線を使って電気機器を制御する「オープンプラネット」を世界に先駆けて開発。後の「PLC」につながる技術を生み出した同社の実績が現在のデジタル時代に大きな強みとなっている感がある。『エネルギーとデジタルで未来を創造する』をグループビジョンに掲げ、人材力の強化に取り組む宮本社長の手腕に、社内外の期待が掛かる。(聞き手・井関晶)

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