【特集2】唯一のIoT専業の通信事業者 多様な規格をそろえ事業に対応

2025年12月3日

【ソラコム】

スマートメーターのようなIoT端末には通信が欠かせない。
ソラコムはIoT専業事業者としてエネ業界の通信導入を支援する。

ソラコムは2015年に創業したIoT専業の通信事業者。世界約200カ国で利用可能な通信サービスを展開し、契約回線は800万回線を超える。エネルギー業界でも同社を利用する企業が増え始めている。


同社の強みは、IoT通信に必要なデバイス、ネットワーク、クラウドの三つのソリューションを全て取り扱うことにある。「三つに関連する製品やサービスを展開することで、顧客は自社に合った形でソフトやハードをカスタマイズできる。顧客のデバイスへの組み込みも共同で取り組む体制を整えている」。テクノロジ・エバンジェリストの松下享平氏は事業の特徴をこう語る。


通信回線は5G、LTE、3G、LTE-M、LPWAなど多様な規格に対応する。キャリアはNTTドコモ、au、ソフトバンクから選択可能だ。1回線から契約できるため、事業規模を問わず柔軟に導入できる点も評価されている。

スマメ向けは低電力を重視 事業規模を問わず導入可能

エネルギー向けではスマートメーターなど使用量の通信に利用することが大半だ。このため、通信の安定性や耐環境性、低電力、セキュリティーなどを重視し、LTE-MやSigfoxといった規格を採用することが多い。

ソラコムの通信を採用した大崎電気工業のスマートメーター


スマートメーター向けではタイプが二つに大別される。製品自体に通信機能を組み込むものと、メーターに後付けで通信端末を併設するものだ。組み込み型では大崎電気工業の「らくらく検針」対応メーターが挙げられる。遠隔検針が1台から可能で、中小規模の商用ビルで導入しやすく、検針の効率化や省人化に寄与している。後付けタイプでは日本瓦斯(ニチガス)の「スペース蛍」がある。メーターをネットワークでつなぎ、検針や異常検知などに対応。ボンベの残量を検知して配送の効率化などにも応用する。

こうした事例は徐々に出てきたが、エネルギー業界の通信活用は始まったばかりだ。「今後のエネルギー業界のあるべき姿を考えると、現場との通信は欠かせないものになる。人手不足などの問題解消にもつなげたい」と松下氏。エネルギー業界においても、ソラコムは重要な存在になりそうだ。