【東北電力 石山社長】「実行力とスピード」重視 新たな価値を提供し 利益創出に挑み続ける

門倉 DCに関しては、日立製作所、日本政策投資銀行、AI関連スタートアップのRUTILEAと連携し、次世代型AIデータセンター構築に向けた検討を開始していますが、その狙いと、東北電力が担う役割を教えてください。
石山 次世代型AIデータセンターとは、小規模なコンテナ型DCを分散配置し、最新のネットワーク技術を活用して仮想的に集積可能とする施設です。建屋型DCより短期間で構築できることに加え、広大な用地確保が不要といったメリットがあります。
このような新しい取り組みには、各分野のプロフェッショナルが必要です。日立製作所の「インフラ整備・運用基盤に関するノウハウ」、日本政策投資銀行の「地域産業の振興と脱炭素化を支える金融支援」、RUTILEAの「AIワークロードに最適化された設計・運用ノウハウ」、そして当社の「安定的な電力供給と再エネの活用」という、相互に補完し合う強みを持つ4社の共創により、東北6県・新潟県へのDC立地の促進と、地域における機運醸成につながることを期待しています。
門倉 DC構築だけでなく、誘致に向けても取り組んでいます。
石山 東北6県・新潟県の活性化・産業振興などの面でもDC誘致の意義は大きいと考えています。25年7月に販売カンパニー法人営業部内に専任チームを設置した他、10月にはDC誘致に不可欠な要素である「電気」「通信」「ファイナンス」の分野においてそれぞれの強みを生かすべく、NTT東日本および日本政策投資銀行との間で業務協力協定を締結しており、取り組みを加速させています。
誘致活動が実を結ぶには相応の期間を要するものと認識しており、現時点において具体的な成果を示せる段階にはありませんが、これまでに約50の企業や団体などと、約20の自治体から問い合わせがあり、情報交換などを行っています。
こうした動きを含め、東北6県・新潟県では、構想や計画の初期段階のものを含む複数のDC計画が顕在化しつつあり、事業者から一定の関心が示されているものと認識しています。
門倉 DC誘致に関する数値目標はありますか。
石山 一例として、国の審議会で提示されている「データセンターによる国内想定電力需要」を基に一定の前提を置いて試算すると、DCの電力料収入として、東北6県・新潟県において50年時点で「年間500億円以上」の規模の事業機会につながる可能性があります。これを最大限獲得するとともに、電力料収入だけではなく、関連工事やサービスなども含め、当社グループとしてさらなる収益を獲得していきたいと考えています。
門倉 DC誘致の有望地はあるのでしょうか。
石山 東北6県・新潟県の地域特性である冷涼な気候や、豊富な再エネのポテンシャルは、DC誘致にあたって優位に働く要素と考えています。
その上で立地検討にあたっては、データ集積地からの距離や電力の供給安定性、通信環境、自然災害のリスクといった種々の要件があるものと認識しています。自治体や事業者を通じて、さまざまな土地情報などを紹介いただいていることから、自社の遊休地活用も含め、DC事業者のニーズや意向などを踏まえた誘致活動を行っていきます。
利益・投資・成長の 好循環形成に注力
門倉 最後に、26年をどのような年にしたいか、抱負をお願いします。
石山 引き続き「実行力とスピード」を重視し、失敗を恐れず、挑戦し続けることで、お客さまに新たな価値を提供し、利益創出にまい進していきます。
24年4月に策定した今後の経営展開「よりそうnext+PLUS」では、財務目標について、26年度までにウクライナ危機からの「財務基盤の早期回復」、そしてそれを土台とした30年度の「利益・投資・成長の好循環の形成」の二点を目指す姿として設定しています。
このうち「財務基盤の早期回復」については、自己資本比率が19%台まで回復するなど、着実に改善してきています。20%達成を確たるものとしていくとともに、次のステップとして30年度に向けた道筋をつけていくことに注力したいです。
厳しい事業環境の中で、30年度の「利益・投資・成長」に向けた好循環を形成するためには、当社の強みをこれまで以上に生かした事業展開を考え抜く必要があります。具体的には、カーボンニュートラルの潮流を捉え、グリーンビジネス領域でのお客さま向けサービスとして、コーポレートPPA(電力購入契約)サービスや蓄電池の導入支援、需給運用に関する業務の代行をベースに、市場取引も活用した需給最適化や環境価値取引の支援を推進していくこと、さらには、ボラティリティが高まっている電力価格の安定化ニーズの高まりを、当社の強みであるトレーディング機能を生かす機会へつなげていくことなども考えられます。
また、今後もAIやDCなどによる電力需要の高まりが期待されます。そうしたビジネスチャンスを的確に捉え、東北6県・新潟県とともに持続的な成長を果たしていきます。
門倉 本日はありがとうございました。
対談を終えて
2025年4月の社長就任以降、財務基盤の早期回復を着実に進めてきた。女川2号の安定稼働は、東日本エリア全体の安定供給に大きな役割を果たしている。ただ、小売り競争の激化、物価や金利の上昇など、依然として経営環境は厳しい。語り口調からうかがえるのは、実直さと目標達成への強い意志。いかに「稼ぐ」会社として成長するか―。その双肩にかかっている。


