【記者通信/1月21日】常態化する電気ガス代支援 国が本来注力すべき施策とは
政府が物価高対策の一環として実施する電気・ガス料金の負担軽減策が常態化しつつある。激変緩和対策事業として始まった2023年1月からこれまでに投じられた税金は、ざっと5.5兆円規模に達する。それだけの国費投入に見合う効果は、国民経済的にきっちりと表れているのか。電力・ガス業界関係者からは疑問の声が相次ぐ中、国による検証もないままズルズルと続く電気・ガス代補助は、完全に止め時を見失った感がある。国民ウケ狙いの付け焼き刃的な支援ではなく、国が本来注力すべき施策とは。

「国民の皆さまが直面する物価高対策については、これもう待ったなしの課題だ。高市内閣として、速やかに対策を打つ必要があった。高市内閣が編成した令和7年度補正予算で措置した、ガソリン・軽油の値下げ、電気代・ガス代支援、重点支援地方交付金、物価高対応子育て応援手当により、1世帯当たり、標準的には8万円を超える支援額となることが見込まれる。ガソリンと軽油の価格については、補助金も活用したことで、既に値下がりしている。電気代とガス代の支援もまさに今月から始まっている」
高市早苗首相は1月19日の衆院解散を表明した記者会見の冒頭、物価高対策への取り組みを強調しながら、電気・ガス代支援の成果をアピールした。この件について、世論は概ね好意的に受け止めており、メディアの論調を見ても表立った批判は見られない。国民負担の軽減につながる施策であれば、基本的に良しとする風潮は理解できる。
しかし、だ。言うまでもなく、物価高の主因は円安である。高市政権が掲げる「責任ある積極財政」は、マーケットには「円安要因」と受け止められている。現在の日本のような、物価上昇局面での積極財政は、通貨の信頼低下やインフレ懸念を通じて円安を加速させやすい側面がある。消費減税論の高まりを背景にした財政悪化への警戒感から、長期金利も上昇し27年ぶりの高水準となっている。つまり物価高対策としての積極財政が円安や金利上昇を招き、結局は回りまわって物価高を助長させているのが実態だ。この本質的問題にメスを入れない限り、国民経済的にマイナスとなっている現状の物価高局面は解消されないだろう。


