【日本原子力発電 村松社長】原子力専業として期待される役割発揮へ一歩ずつ前進
東日本大震災発生から15年を迎え、原子力活用の必要性が明示される中、各地点で着実に取り組みを進めている。敦賀では設置変更許可の再申請に向けた追加調査が進行中だ。東海第二では防潮堤の審査に真摯に向き合いながら、その他の安全対策工事が完了に近づいている。
【インタビュー:村松 衛/日本原子力発電社長】

1978年慶応大学経済学部卒、東京電力入社。2008年執行役員企画部長、12年常務執行役経営改革本部長、14年日本原子力発電副社長、15年6月から現職。
井関 まもなく東日本大震災の発生から15年を迎えます。福島第一原子力発電所の事故からこれまでの歩みを振り返った感想はどうでしょうか。
村松 やはり昨年策定された第7次エネルギー基本計画で原子力の最大限活用が明確に位置付けられたことは、大きな意義があると感じています。2024年末には、福島第一と同じBWR(沸騰水型軽水炉)の女川2号機と島根2号機が再稼働を果たし、3・11以降を振り返っても、この1年余りは特に重要な時期だったと思います。さらに昨年末には、柏崎刈羽6・7号機と泊3号機の再稼働について、それぞれ地元同意を得ました。原子力全体として確かな前進が見られたと受け止めています。一方、基準地震動策定プロセスで発覚した不適切事案は、原子力推進の大前提は安全と信頼性の確保であることを、改めて強く認識させられました。
井関 当初、原子力規制委員会の対応次第では他のプラントへの影響が危惧されましたが。
村松 原子力事業者とメーカーで構成するATENA(原子力エネルギー協議会)からの要請を受け、電力各社は基準地震動に関する審査資料について同様の事案がなかったか速やかに調査を行いました。その結果、規制委の審査ガイドに基づく手法に則って適切に評価されていることなどを確認しています。
原子力産業界の維持 技術と人材の確保を
井関 柏崎刈羽6号機は1月21日に再稼働しましたが、制御棒の引き抜き中に警報が鳴り、一時停止させました。この件はどう受け止めていますか。
村松 規制委の山中伸介委員長は会見で、一旦停止し、安全を確保した上で対応を検討した東京電力の姿勢を評価しています。東電は2月9日の再起動後、3月中旬に営業運転の開始を予定しています。
再稼働に当たっては、使用前にプラント機器の健全性を確認するため、段階を追って数多くの検査を行います。その後、計画的に中間停止期間を設けるなど、安全を確認しながら慎重に起動させていきます。当社の東海第二も工事段階から検査段階へ徐々に移行しており、今回の事例を踏まえて対応していきます。一方で、原子力を支える産業界の事業再編などによりサプライヤーが縮小することで、設備調達や保守体制への影響が生じる可能性を懸念しています。
井関 こうした実情を、政府や規制委に継続的に訴えていくことが必要ではないでしょうか。
村松 まさにATENAや日本原子力産業協会などが、原子力産業における技術と人材の継続的な確保の重要性を折に触れて訴えており、それに対して政府も支援を進めています。


