【特集2水素エネルギー】福島県が水素ビジネスの創出後押し

2026年3月3日

福島県は企業間マッチングによる産業育成を図っている。ビジネス化に向けた好連携の成果が出始めたところだ。

インタビュー/植田隆太(福島県商工労働部次世代産業課 課長)

―東日本大震災から15年が経ちました。エネルギー分野の進捗を教えてください。


植田 県では、2012年に再生可能エネルギー推進ビジョンを策定し、40年頃を目途に、県内のエネルギー需要量の100%以上に相当する量のエネルギーを再エネで生み出すとした目標への歩みを着実に進め、24年度で59.6%になりました。同ビジョンを改定した21年に、国の「福島新エネ社会構想」で水素が大きな柱となり、再エネとともに水素の取り組みを強化してきました。


―特に注力している事業は何でしょうか。


植田 企業間のネットワーキングの活動です。17年に設立した「エネルギー・エージェンシーふくしま(EAF)」では、コーディネーターが企業のマッチングを行っています。今では複数のワーキンググループ(WG)が新たなビジネスの創出を図っています。例えば、水素燃料電池ドローンを手がけるOKUMA TECH(大熊町)による「小さな水素社会WG」では水素の地産地消に取り組んでいます。矢吹町内の企業が作った「チームやぶきWG」も水素産業の参入に向けて活動中です。
 EAFには、水素のほかに太陽光、風力、バイオマスなど、全部で六つの分科会があり、それぞれの分野にコーディネーターを配置しています。水素に特化したコーディネーター活動を行っている組織は、全国でもあまり例がないと思います。さらに、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州とハンブルク州、スペインのバスク州と連携し、海外進出への支援体制も整えました。

地産地消型の産業化を検討 需要創出から好循環を目指す

―産学連携も柱の一つになりますか。


植田 福島大学は水素エネルギー総合研究所を設置し、将来の水素ビジネスを担う人材を育成する方針を示しています。県としても内閣府の「地方大学・地域産業創生交付金」を活用するなどして支援を実施しました。さらに、県内企業を加えた産学官連携で、例えば、副産物の活用を含めたバイオマス由来水素製造のビジネス化にも取り組んでいます。


―今後の課題をお聞かせください。


植田 福島県では大規模サプライチェーンが構築しづらく、輸送コストが課題です。そのため、地産地消型の水素産業を考えていく必要があります。県内での水素需要創出を図り、それが製造時のコストダウンにつながり、将来の産業育成につながっていく好循環を目指していきたいと考えています。

うえだ・りゅうた 2014年経済産業省入省。電力・ガス取引監視等委員会、内閣官房経済安保法制準備室、中小企業庁総務課などを経て、25年7月から現職。