【特集2水素エネルギー】福島県浪江町でグリーン水素製造の最先端実証

2026年3月3日

国内主要企業による最先端の実証が行われている福島県浪江町。海外連携などを通じ、研究学園都市への進化を目指す。

インタビュー/藤田知宏(浪江町産業振興課新エネルギー推進係長)

―水素の取り組みをお聞かせください。


藤田 水素タウンである浪江のシンボル「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」は年間約900tという世界でも有数規模の水素を製造し、国内主要企業による最先端実証の結節点となっています。今年1月には「浪江グリーンアンモニア統合制御実証フィールド(NAMICS)」で、再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニア製造を開始しました。変動の激しい再エネ電力下で安定・高効率の合成を実現した世界初の技術として注目されています。さらに町では、水素事業者にビジネスマッチングの機会を提供し、企業間連携や新事業の創出が実現しています。多角的な支援制度を整え、浪江からエネルギー変革に挑む企業を全方位でバックアップしています。

米国との連携協定を締結 グローバルな人材育成を推進

―人材育成にも力を入れていますね。


藤田 約5年前から、小学5、6年生を対象に「なみえ水素教室」を毎年開催しています。座学3割、体験7割の構成で、水素の特性や純水素燃料電池車などの水素モビリティの紹介、水素のまちづくりについて教えています。子どもたちの声を受け、2月には町内の小学校に独自制作の子ども向け水素パンフレットを配布しました。さらに、米国カリフォルニア州のランカスター市、同ハワイ州ハワイ郡と水素連携協定(パシフィック・ハイドロジェン・アライアンス)を締結しています。年1回の相互訪問を通じてそれぞれの取り組みを共有するほか、それをきっかけに高校生の相互留学も始まりました。水素を軸に、国内のみならずグローバルな次世代の人材育成が着実に進んでいるところです。


―今後どのような町を目指しますか。


藤田 かつてのにぎわいを取り戻すべく、駅周辺を「まちの顔」と位置付け、隈研吾氏設計の「なみえルーフ」を象徴とする駅前再開発が進行中です。FH2R製造の水素を電気エネルギーに変えてエリア内に供給し、「なみえ水素タウン構想」を加速させます。町のあらゆる分野を水素でつなぎ、水素社会とゼロカーボンシティの実現を目指していきます。さらに、2030年度までに「福島国際研究教育機構(F-REI)」が本格的に稼働します。世界中から研究者が集い、廃炉、ロボット、農林水産業、放射線学などの最先端の研究成果を世界へ発信していく国際研究学園都市へと進化を遂げていく予定です。

ふじた・ともひろ 2005年入庁。震災時は上下水道課で、避難指示解除前の町内で上下水道復旧に従事。現在は再エネ、水素事業推進を担当。