【特集2水素エネルギー】日揮が福島再エネ使ったグリーンアンモニア製造を実証
水素キャリアとなるグリーンアンモニアが実用化に入ろうとしている。日揮ホールディングスは旭化成と共同で太陽光発電(PV)や風力発電などCO2排出量ゼロの不安定電源から製造した水素を原料に、安定してアンモニアを合成するプラントの運転計画を構築する統合制御システムを開発。福島県浪江町の福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)の隣接地に実証プラントを建設し、アンモニア製造を開始した。2026年度末までに実証し、海外を中心に統合制御システムの事業化を図っていく。

グリーンアンモニアは、再エネの不安定電源で製造する水素でアンモニア合成が最適にできるかが命題だ。その課題解決のために日揮と旭化成が共同開発したのが、今回のシステム技術だ。両社は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業「大規模アルカリ水電解水素製造システムの開発およびグリーンケミカルプラントの実証」(21年から10年間実施)のフェーズ1事業として実証を行っていく。
プラント負荷変動に対応 水素供給と製造量を制御
FH2Rには計2万kWのPVが導入されている。実証では、旭化成がFH2Rに設置した1万kW級アルカリ水電解製造装置でPVによる電気から水素を生成。パイプラインを通してその水素を供給し、アンモニアを合成する。規模は日量4t。変動電源(今回は風力発電も仮想発電所で試験)で水素を製造し、アンモニア合成に対応した統合制御システムで最適なアンモニア製造システムを確立する。
アンモニア合成プラントは年間を通して負荷が上下する。そのため、同システムは負荷が一定の運転ではなく、水素タンクの貯蔵量が底をつかないようにする必要がある。
そこで、水素供給量とケミカル製造量を制御し、25%から100%までの負荷でアンモニア合成を行っていく。また、水素が足りない場合はアンモニア合成量を抑える。年平均の稼働率はアンモニア合成容量70~80%になる見込みだ。
旭化成は、このグリーンアンモニア合成プラント実用化に向け、川崎製造所に4基ユニット(1ユニット800kW)でアルカリ水電解装置を設置した。複数台での連携運転を実施して、変動対応の運転技術の実証を進め、27年度以降にも欧州などで計画されている大規模グリーンケミカルプラントへの参画を目指している。
日揮は、海外のグリーンケミカル事業化で、発電・ケミカル事業などにおいて建設する計画にEPC(設計・調達・建設)で実証の知見を生かしていく方針だ。「再エネ由来グリーンケミカルでは、まずグリーン水素でアンモニア、メタノールの合成を行うグリーンケミカルプラントの運転で統合制御システムを活用する。最適で安定的な生産を実現して、製造コスト引き下げに貢献していきたい」としている。


