【特集2水素エネルギー】三菱化工機の水蒸気改質技術が大手鉄鋼で活躍
経営ビジョンの具現化に向けてカーボンニュートラル対策を急ぐ三菱化工機。さまざまな規模や種類の商材を手掛けてユーザーを支援する。
三菱化工機は2021年に「三菱化工機グループ2050経営ビジョン」を策定し、持続可能な発展に向けて挑戦する姿勢を打ち出した。CO2・気候変動、資源循環、水・食料、自然災害、労働力不足―の五つの社会課題を設定。それに対し、既存事業から「持続可能な循環型社会推進事業」「水素を核としたクリーンエネルギー事業」「デジタルを活用した省力・省エネ事業」「水・食・自然災害等の課題解決に向けた次世代技術開発事業」―の4事業を戦略的事業領域と定めて課題解決に着手した。今年度からはこれら全ての領域を包含する新たなセグメント「GX(グリーントランスフォーメーション)事業」を設けている。
企画管理統括本部の石川尚宏副本部長は「中核が水素を中心としたクリーンエネルギー事業で、当社の成長をけん引するクイック事業に位置付けている」と話す。同社にとって水素は60年以上の実績を持つ主力事業。化石資源から高純度の水素を取り出す水蒸気改質の技術を磨き、水素ステーション向けや産業向けで実績を重ね、昨今では鉄鋼分野での利用を支えている。
鉄鋼の還元剤用途に導入 CO2回収技術の実証を完了
鉄鋼分野への導入先の一つが、千葉県のJFEスチールの高炉だ。製造した水素を使って高炉から出る排ガス中のCO2と反応させるメタネーションを行い、反応後のメタンは高炉の還元剤に使われる。同じく千葉県の日本製鉄には水素還元製鉄用途として導入する予定だ。CO2を大量排出する分野だけに、同社の技術がどう貢献するかが注目される。
課題もある。「当社製は化石燃料由来のグレー水素。そのため、CO2回収の技術開発も重要だ」(石川副本部長)。現在、PSA(圧力スイング吸着)によるCO2回収の開発を急いでおり、既に実証完了の段階だという。
小規模の分散型利用の開発にも注力する。昨年は那須鉄工などと共同で水素吸蔵合金タンクと燃料電池を一体化した「HyDel(ハイデル)」を開発。現在、川崎市内の公共施設で実証運転を行っており、26年度の販売を目指す。石川副本部長は「地産地消に資する小型機も低炭素化に重要だ。導入への制度的な支援を充実していただきたい」と言う。同社はさまざまな種類や規模の開発を手掛け、ユーザーの脱炭素対策を支えていく。



