【特別寄稿】 はやりの「分類図鑑」でエネルギー政策を痛烈に風刺

2026年5月27日

先日、エネルギーフォーラム編集部宛てに“エレキテル総研「現代図鑑」編集部”を名乗る人物から2点の画像が送られてきた。「電力システム改革失敗原因図鑑」と「脱炭素政策無理ゲー解説図鑑」だ。昨今、X(旧ツイッター)ではやる「分類図鑑」風の生成AI画像とのことだが、これが複雑に絡むエネルギー政策の問題や矛盾を鋭く突いていて実に面白い。解説文とともに紹介する。

最近、X(旧ツイッター)で、海外発と思われる「分類図鑑」風のAI生成画像が、時折タイムライン(TL)に流れてくるようになった。さまざまな人物像や社会現象を、図鑑のように分類し、少し意地悪く、しかし妙に愛情を込めて描くあの形式である。

日本国内でも、コメント欄のやっかいな返信(リプ)を類型化した「クソリプおじさん図鑑」が週末に大いにバズり、そのパロディとして、「○○○○おじさん図鑑」という派生図鑑が瞬く間にTLに溢れた。なるほど、これは政策論にも使えるのではないか。エレキテル総研は、そう考えた。

そこで試しに作ってみたのが、「電力システム改革失敗原因図鑑」である。最初の指示は、拍子抜けするほど簡単だった。「日本の電力システム改革は失敗だったのではないか」という批判は、ネット空間に無数にある。日本語で、A4縦型、昭和の図鑑のようなレトロで丁寧な雰囲気にし、ユーモアたっぷりにステレオタイプを描いてほしい――おおむねこの程度である。

するとAIは、いかにも古い学習図鑑か百科事典のような画面を作り、制度改革をめぐる論点をキャラクター化し、妙にもっともらしい解説まで添えてきたのである。もちろん細かな日本語の破綻や、意味不明な漢字は修正が必要である。しかし、「ざっくりした問題意識」を与えただけで、ここまで“それっぽい”風刺画に仕立てる能力には、やはり驚かされる。

電力システム改革“失敗”の原因とは?

調子に乗って、もう一枚作成した。二枚目は、「脱炭素政策無理ゲー解説図鑑」である。こちらは、もう少し具体的にキーワードを指示し、現在の日本のGX・脱炭素政策をめぐる論点を入れるよう求めた。

さらに、「おじさん図鑑」がバズった同じ週末に、第7版が公表された「非政府有志によるエネルギー基本計画」(https://www.7ene.jp/)をAIに参照させ、そこに含まれるエネルギー政策批判の論点も反映するよう指示した。

加えて画像下部には、「地獄への道は善意で舗装されている」という一文を入れるよう指定した。善意に基づく取り組みが、時に厄介な副作用を伴うことがある。その皮肉を示すには、ちょうどよい一文である。

クスっと笑った後に神妙な面持ちになってしまう

画像生成AIは、単にきれいな絵を描く道具ではない。論点の整理、風刺の構図化、言葉と絵の組み合わせにまで踏み込んでくる。もちろん最後の編集判断は人間の仕事である。しかし、「こういう感じ」と投げるだけで、ここまで形にしてくる。息抜きのつもりで触ったはずが、気づけば政策批評の新しい遊び道具になっていたのである。

*「エレキテル」は、平賀源内が長崎で入手したオランダ製電気機器を復元した摩擦起電機であり、啓蒙と見世物、科学と怪しさが同居する象徴である。同研究所は、その胡散臭さを少し拝借しつつ、現代の政策と言説を明るく感電させる架空のシンクタンクである。