【九州電力 西山社長】包括的なサービスで付加価値を高め 選ばれる企業を目指す
電力需要の増加が予想される九州エリアにおいて、電源の低・脱炭素化と電化の推進でカーボンニュートラルの実現に貢献する。
5月に新エネルギーソリューションブランドを立ち上げ、高い信頼を武器に利益の拡大を図る。
【インタビュー:西山 勝/九州電力社長】

井関 中東情勢が緊迫した状況が続いています。当面の電力需給への影響をどのように見ていますか。
西山 電気は価格弾力性がそれほど高くなく、電力需要は「気温」や「経済活動」に大きく左右されます。今夏は酷暑が予想されていますが、九州エリアも安定供給に必要な予備率3%をしっかりと確保しています。注視しているのは、中東情勢に伴う経済活動への影響です。産業用・業務用を中心に需要が下振れすれば、当社の収支に影響します。
燃料価格は上昇傾向も 料金改定は慎重に見極め
井関 2026年度の業績予想には影響をどう織り込んでいますか。
西山 今期の業績予想については、足元で燃料価格や卸電力取引所の価格が高めに推移している状況や、年度末に向けて原油の先物価格が緩やかに下がっていく見通しなどを総合的に踏まえて策定しています。物価や燃料価格のさらなる上昇による費用の増加や経済活動の停滞などによる電力需要減など、中東情勢の緊迫化による影響は未知数であり、小売販売電力量の想定には反映していません。
燃料価格の上昇に関しては、火力発電用燃料の価格変動を毎月の料金で調整する「燃料費調整制度」があるため、単年度の収支では一時的な「期ずれ影響」が出るものの、制度の仕組み上、最終的な収支への影響はニュートラル(中立)との認識です。ただし、燃料価格が高い水準のまま推移した場合、料金に転嫁できない部分が発生する恐れがあります。そのため、引き続き緊張感を持って状況を見極めていきます。
井関 料金改定を視野に入れていますか。
西山 これが一過性の変動であれば、拙速に料金改定へと動くべきではないと考えています。九州エリアは現在、「人」「水」「電気」がそろう地域として企業の進出、引き合いが非常に強いという好循環の中にあります。この勢いを削がないためにも、料金見直しは慎重に判断していきます。
井関 脱炭素化と電力の安定供給の両立に向けた取り組み状況を教えてください。
西山 安全性の確保を大前提に、供給安定性、経済性、環境性の両立を目指す「S+3E」の観点は大変重要です。特に日本の場合はエネルギー資源の大部分を海外に依存しているので、安定供給に軸足を置く必要があります。その中で私たちは中長期的な視点に立ち、安定供給に加え、CNへの取り組みが不可欠だと考えています。
当社では、2050年のCN実現へ、供給側における「電源の低・脱炭素化」と、需要側における「電化の推進」を柱として、事業性と安定供給を前提にサプライチェーン全体でGHG(温室効果ガス)の排出を抑制していきます。お客さまに対しても、排出原単位が低い電力を供給することなどによって、社会全体の排出削減に貢献していく方針です。
井関 半導体工場の誘致やデータセンター(DC)建設などにより、電力需要の増加が見込まれます。
西山 広域機関が公表した26年度の供給計画では、35年度断面における九州エリアの需要は25年度比で3%程度増加するとの想定が示されています。一方で、足元の半導体工場の集積やDCの新規建設に関する報道などを踏まえた当社独自の想定では、将来的に需要が20~30%程度増加すると試算しています。情勢変化によって時間軸が後ろ倒しになるかもしれませんが、拡大トレンドは間違いありません。
これに対する取り組みは着実に進んでいます。今年3月には、西部ガスと共同開発した「ひびきLNG火力発電所」が運転を開始したほか、運転開始から40年以上が経過し高経年化が進む「新小倉発電所」のリプレースについて、第3回長期脱炭素電源オークションで落札し、33年度の運転開始を目指しています。いずれの発電所においても将来的には水素などのカーボンフリー燃料の導入を視野に入れており、引き続き、安定供給と脱炭素を両立する最適な電源ポートフォリオを目指します。

提供:ひびきウインドエナジー㈱


