【記者通信】高市首相のメディア対応に批判 内閣記者限定で質問制限も ※期間限定無料公開
日本は権威主義国家に? 海外メディア締め出しの前科
だが木原官房長官がなんと釈明しようと、海外メディアから厳しい質問が飛ぶのも無理はない。高市首相は外遊時に海外メディアを締め出した「前科」があるからだ。
5月の大型連休中のオーストラリア。アルバニージー首相との首脳会談に臨んだ高市首相はアルバニージー首相との共同記者会見を開いた。通常なら会談の内容と成果を説明した後、国内外の記者から質問を受け付ける方式が採られるが、この時は質問を一切受け付けなかった。豪州の大手地元メディアの記者からは「あのドナルド・トランプでさえも質問を受け付けるのに、一体どういう理由で質問をさせないことになったのか。日本はいつから権威主義国家になったのだ」と非難轟々だった。
ある豪州政府の関係者は、「実は豪州政府側は共同記者会見の始まる直前まで日本側に『1問でもいいから質問する時間をとってくれ』と要請していました。ですが日本政府側はその要請を一切受け付けなかった」と明かす。頑な対応に豪州政府側は首を傾げるしかなかったという。
さらに酷いと言わざるを得ないのは共同会見終了後に日本から帯同した内閣記者会とのぶら下がり会見だ。官邸は内閣記者会加盟社にしか高市首相のぶら下がり会見の日時を事前告知しなかった。どこからか聞きつけた海外大手メディアの記者がその場に居合わせたが、内閣広報室は「あなたには質問する権利がありません。質問しないでください」と注文したのだ。この際も内閣記者会加盟社の質問は制限され、幹事社1問、そのほか2問の計3問しか機会は与えられなかった。
木原官房長官は「総理はぶら下がりだけでなくてXのようなSNSでの発信など、会見以外のさまざまな手段も用いて随時、情報発信を行っています」と強調するが、メディアを選別して会見に制限をかけておきながら、SNSでは各国首脳と興じている姿ばかり、都合の良い話ばかりを一方的に流すやり方には「聞かれてまずい話が相当あるのではないか」(海外メディア記者)と、いぶかる声が出るのも当然だ。
「由らしむべし、知らしむべらかず」
確かに高市首相自身の周辺では、突っ込んで聞かれると困るような話も出ている。総裁選中に対立候補を貶めるような情報発信を意図的にした疑惑が取りざたされている。イラン情勢が長期化した場合の石油危機対応、ガソリン補助金などのバラマキ政策による財政不安、円安・債券安・長期金利上昇がもたらす国民経済への影響など、支持率が命綱の高市首相にとって都合の悪い話は極力避けて通りたい局面ではある。
官邸もそういう高市首相を忖度してか、内閣広報室のXを本格運用させ、情報発信が不足しているという批判をかわそうと躍起だ。「新しい方式での情報発信を追求する」(政府関係者)というが、要は政権にとって都合のいい情報を一方的流し、高市首相の人気取りに走っているというほかない。「高市官邸は一種の芸能プロダクション。総理の好感度、イメージ戦略を高めることしか頭にない」(与党関係者)。
「由らしむべし、知らしむべからず」。高市政権のメディア対応を見ていると、戦前の統制政策を想起してしまうのは、果たして記者だけなのだろうか。
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