【フォーラムアイ】ダムの治水と利水を両立 流入量予測システムの導入進む
【構造計画研究所】
気象災害が激甚化する中、水力発電事業者の間でダム流入量を精緻に予測するニーズが高まっている。この要請に応えるのが、構造計画研究所のダム流入量予測システム「RiverCast(リバーキャスト)」だ。同システムは河川の水位や流入量を予測可能で、全国の自治体やゼネコン、大手鉄道の予測システムとして50カ所以上で導入実績を有する。ダム用途では流入量と貯水量をリアルタイムに予測。具体的には、未経験規模の出水の高精度な予測、天気予報などの誤差を踏まえた流入量・貯水位を超える確率などのデータを計算する。また、予測を踏まえたダム放流量の提案まで個別に対応する。

水力発電用途に展開 需給計画への活用検討
同システムは水力発電のダム流入量予測にも展開が進んでいる。「すでに大手電力を含む発電事業者で導入実績がある。今後、さらに普及させていきたい」。気象防災ビジネス室の奥野峻也室長はこう意気込む。

同システムの特長は、東京大学と共同開発した「力学系理論」に基づく独自の予測手法にある。一般的なAIは過去データの範囲内では高精度を発揮するが、未経験規模の洪水には対応が難しい。物理モデルは降雨の浸透から流出、河道計算まで複数の工程を要し、誤差が積み上がりやすい。同手法はAIでありながら物理的整合性を組み込み、複数の予測モデルを内部で統合するアンサンブル手法を採用し、高精度を実現している。
同技術をダム流入量予測に応用すると、適時適切な事前・緊急放流、高水運用、無効放流の低減による発電電力量の向上、出水時の適切な人員配置―といった業務向上に寄与する。
今後は、基本の15時間先に加え、72時間~最大2週間先までの長期予測、さらにAI天気予報の導入にも個別に対応していく方針で、電力会社の需給計画への活用も検討していく構えだ。


