【LPガス大変革時代に挑む】東京都心で独自展開する富士瓦斯 LPガスを基軸に新分野進出へ
燃料転換事業を本格化 ノウハウの蓄積に注力
―業務用ではどういった領域に注力していますか。
津田 災害対応と環境対応の分野です。災害対応では、非常用LPガス発電設備の普及に取り組んできました。LPガスは石油系燃料と比べて長期備蓄に適していることから、老健施設などのBCP対策として、補助金を活用した案件も数多く手掛けてきました。今後は補助金の枠組みにとどまらず、工場や企業にも対象を広げ、BCP対策としてのLPガス発電設備の普及をさらに進めていきます。
一方、環境対応では、「石油からガスへ」という燃料転換を進めていくことが当社のミッションであると考えています。石油系ボイラーからLPガスと都市ガスへの燃料転換にも積極的に挑戦しています。
70周年を機に、社内では「エンジニアリング会社を目指す」という方針を明確にしました。大型の給湯設備に加え、非常用発電設備やガス空調についても、提案から施工まで一貫して担うためには、LPガスだけでなく、設備に関する幅広い知識と技術が欠かせません。こうした領域まで対応力を広げ、「電気や空調に強いLPガス会社」となることを目標にしています。

有志連合で政策提言目指す シンクタンク機能が稼働
―「&LPGプロジェクト」設立の背景を教えてください。
津田 これまで、LPガス業界では液化石油ガス法や保安規制をこう変えるべきだという提言が少なかったと思います。政策を提言するにはファクトやデータを蓄積するシンクタンクが必要です。現状ではきちんとした統計を作るだけでも困難です。既存の業界団体のサポートができる補完的な有志連合を作ろうと思いました。設立以来、有志が手弁当で活動し、ショーケースとしてさまざまなことに取り組んでいます。今まではイベント開催が中心でしたが、会員数も80者を超え、今後はLPガス白書の作成や若手研究者の育成など、シンクタンクとして動き出します。LPガスについて幅広い知見を持った人材が育つ仕組みを構築していきたいです。
―政策提言における課題は。
津田 元売り、卸売り、小売りと流通段階ごとに課題が異なり、業界としてのワンボイスが作りづらいことです。LPガスは全国民が使う重要なエネルギーでありながら、その責任と機能に見合う体制が整っていないのは長年の課題だと思います。
―注力するカーボンニュートラル(CN)とレジリエンスの事業方針を聞かせてください。
津田 CNLPガスは業界に先駆けて手掛けましたが、カーボンプライシングの議論が進まず、浸透には時間がかかるとみています。今はクレジットより燃転でCO2を減らすことに軸足を移しています。レジリエンスでは都道府県に1社ずつでも積極的な事業者があれば、その地域の防災力、減災力が向上します。LPガス発電機の普及など、当社が先頭を切ることで有志とノウハウを共有していきたいです。
富士瓦斯 1954年東京都世田谷区で創業。以来70年以上にわたり、LPガスの供給とガス機器の販売を展開。近年はカーボンニュートラルとレジリエンスの課題解決に資するビジネスを手掛ける。22年から業界の有志による「&LPGプロジェクト」を立ち上げた。
1 2


