【記者通信/11月20日】米政権交代で中東情勢悪化か どうなる原油価格

2020年11月20日

米大統領選の投票結果を受けて来年、民主党のバイデン政権誕生の可能性が濃厚になる中、中東情勢の悪化を警戒する向きが広まっている。米国の外交政策がかつてのオバマ政権時代に逆戻りする公算が大きいからだ。

大きな波乱要因はイラン、サウジアラビア、イスラエルの3カ国だ。バイデン氏は、イランに対するトランプ政権の「最大限の圧力」政策を緩和し、2年前に離脱した「2015年核合意」に復帰する方向性を打ち出すとともに、イランと敵対するサウジアラビアとの関係も見直すことを公約に掲げている。そうなると黙っていないのがイスラエルだ。一部報道によると、バイデン氏の当確を聞いたイスラエルの閣僚の一人は、イランとの紛争再燃をにおわせたという。

トランプ政権はここ数年、UAEなどアラブ諸国とイスラエルの国交正常化をはじめとして、中東の「関係正常化」に熱心に取り組んできた。しかし、バイデン氏の出方次第では全て白紙に返る可能性もある。

もう一つの波乱要因がロシアである。プーチン大統領は昨年10月のサウジ訪問以来、同国のサルマン国王やムハンマド皇太子との関係強化に力を入れている。最近も両氏と立て続けに電話会談を行い、「両国のエネルギー協力が中東の安定と安全保障にとって重要」との認識を改めて確認した。そんなロシアを、バイデン氏は「安全保障上、最大の脅威」とロシアを名指ししているわけだ。

トランプ氏が去った後、バイデン新政権がイランとの関係改善を図る一方、イスラエルやサウジアラビア、ロシアなどと対峙することになれば、どうなるか。「中東地域全体の地政学リスクは再び高まり、原油価格が高騰するのは火を見るより明らか」。経産省の関係はこう指摘する。波乱の先行きを暗示するかのように、11月17日夜、イラクの首都バグダッドで米国大使館を狙った複数のロケット弾攻撃があった。WTIの原油価格は今のところ41ドル台での推移を続けている。