【特集2】防府・小名浜に大型発電所建設 将来はCO2ゼロ電源として活用も

2021年7月3日

小名浜バイオマス発電所

バイオマス専焼の小名浜 超臨界発電並みの高効率

―今年4月には小名浜発電所が運開しました。

猪俣 小名浜には、もともと当社のグループ会社である日本海水の製塩工場がありました。

 11年に大震災や原発事故の影響で海水を採取することができなくなって製塩業から撤退せざるを得なくなり、工場用地を有効活用するということで発電所の建設が決まりました。同発電所も防府と同様に、中国電力と事業を進めています。

―設備構成に特徴はありますか。

猪俣 小名浜は防府と異なり、PKSと木質ペレットを混焼するバイオマス専焼の発電所で、ボイラーはJFEエンジニアリングが提携したフィンランド・バルメット社の循環流動床ボイラーを採用しました。同社は製紙機械を造っているメーカーで、EUのバイオマス発電所で多く利用されています。

発電所を計画していた当時は、日本でバイオマス専焼の大型発電所を運用するのは技術的に難しいとされていました。しかし、同社製品が広く普及しているEU圏でバイオマス専焼は珍しくありません。発電所のエンジニアリングを手掛けたJFEエンジニアリングがバルメット社と技術提携をしたこともあり、国内で先駆けて同社製品の導入を決めました。

 性能試験時には発電端効率で41%超をたたき出す、ひと昔前の超臨界発電並みの高性能で順調に稼働しています。

―今後の展望は。

猪俣 日本海水は兵庫県赤穂市で2カ所のバイオマス発電所を運用していますが、23年10月には福岡県苅田町で発電所を新設する予定です。日本海水と当社が運用するバイオマス発電所の出力を合算すると、自社グループで消費する電力需要の8割に相当します。

将来の話にはなりますが、固定価格買い取り制度(FIT)期間終了後は自社グループのほとんどの工場・オフィスはバイオマス発電所の電気で賄いたいと考えています。

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