【特集2】CNニーズに応える事業を拡大 供給基盤構築と需要創出を推進

2025年3月3日

【東邦ガス】

製造業が盛んな東海地域では、カーボンニュートラル(CN)への対応を検討する企業が増えている。同地域のエネルギー事業をけん引する東邦ガスの元には、そうした企業からの相談が数多く寄せられる。同社はこうした要望に応えるべく、都市ガスへの燃料転換、CCUS(CO2回収・利用・貯蔵)やe―メタンなどの技術開発を着々と進めてきた。需要家の低・脱炭素化に資する取り組みを継続しつつ、近年、同社が注力しているのが水素供給基盤の構築だ。

水素製造プラントを新設 幅広い水素需要に対応

同社は、その一環として知多緑浜工場(愛知県知多市)の「水素供給拠点化」を進めている。同工場敷地内に水素製造プラントを建設し、昨年6月に運転を開始した。これまでも、オンサイト型水素ステーションなどを通じて水素の製造・供給を行っており、同プラントの建設を足掛かりに、早期に水素サプライヤーとしての地位を確立する狙いだ。

知多緑浜工場に新設された水素プラント

カーボンニュートラル開発部カーボンニュートラル開発第二グループの青山高幸課長は「天然ガスと水蒸気を反応させて水素を製造する。製造能力は1日当たり1・7tで、これは燃料電池車(FCⅤ)約340台分に相当。FCⅤのほか、熱分野での代替エネルギーや工業用原料としての活用が可能で、幅広い水素需要に対応できる」と同プラントの意義を語った。

水素製造時に発生するCO2は、顧客のニーズに応じて当面はクレジットの活用で相殺しつつ、将来的にはCO2の回収・利用も検討する。具体的な例の一つとして大成建設、アイシンと共同で、コンクリートにCO2を固定化するプロジェクトを推進中だ。

さらに、水素供給をはじめとしたあらゆる産業ガスの供給に強みを持つ大陽日酸とアライアンスを構築。これにより、年に1度行われるプラントの点検期間の際にも滞りなく供給できるほか、有事の際にはバックアップ供給を受けることが可能となった。

同工場の敷地内には拡充用のスペースを確保しており、水素製造工程におけるCO2の回収・利用や、需要拡大に応じて製造能力の増強を検討する。

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