【特集2】独自技術による製品を展開 新たな市場対応への動き進展
【タツノ】
タツノが水素の利用・拡大に向けた動きを加速させている。
独自の製品展開や新たな市場開拓で、多様な利活用に対応する構えだ。
水素ディスペンサーで水素供給インフラ業界をリードしているタツノ。2002年に日本初、燃料電池車向け商用水素ディスペンサーを設置して以来、独自技術による製品展開を進め、水素充填インフラの整備に貢献してきた。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が福島県浪江町に整備した「福島水素充填技術研究センター」には、22年12月から同社の超高圧ディスペンサー「LUMINOUSH2」が設置されている。同機はMF(ミドルフロー)に対応した2ノズル同時充填ができ、燃料電池を搭載した大型の商用モビリティへ大流量水素充填が可能。同センターに隣接する水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」で製造した水素を主に利用し大流量の水素充填や計量に関する技術開発や検証を実施している。
コンポーネントの拡販にも注力 大型車向け市場への展開を強化
現在、国内では水素ステーションの数が伸び悩んでいる。そうした中、同社はディスペンサー本体だけではなく、その心臓部と言われるコリオリ流量計や、充填ノズル、緊急離脱カップリングといったディスペンサーを構成するコンポーネントの販売にも注力している。水素ステーション以外での利用を増やしていく構えだ。
また、国や自治体は、大型で走行距離が長い商用車両での水素活用こそ、運輸部門の脱炭素化と水素利用拡大のために重要であるという考えから、大型商用車両の支援に舵を切った。今後、トラックやバスなどに対する水素供給インフラの需要が高まることが想定される。同社では大型商用車両向けの高圧充填に対応したMF・HF(ハイフロー)モデルを開発済みで、市場への展開を強化していく。
同社は、脱炭素化を推進する社会の中で、水素を取り巻く環境変化も注視している。「水素の多様な利活用に柔軟に対応していくことが重要だ。他社とも協力し全方位で活躍できる企業を目指している」と、エネルギーソリューション事業部次長・水素グループリーダーの田中智久氏は語る。
脱炭素化社会の実現に欠かせない企業として、今後の新たな取り組みに注目だ。
