【緊急特集 イランショック】ナフサ高騰で製品不足へ 国主導で緊急対策計画策定を ※期間限定無料公開
合成樹脂製品の原料ナフサが供給不足の事態に陥ろうとしている。石油業界の論客である垣見裕司氏が深刻な問題を提起する。
【レポート:垣見裕司/垣見油化社長】

米国とイスラエルがイランを攻撃した。エネルギー業界人として今一番心配なのはLNGを除けばナフサだ。2025年の国内ナフサ需要は3421万㎘だが、原油からの精製=生産は1313万㎘のみ。その不足分の2334万klは輸入に頼っている。1月末の製品在庫はわずか138万㎘で約14日分。またナフサの民間備蓄数量を調べたが、筆者推定で215万kl。合わせても37日分しかない。
ナフサの輸入先は、韓国の752万㎘と米国の118万㎘を除けば他は全て中東で、その中東依存度は約60%。国内の需要は自国で生産という「消費地精製主義」を満たしていない。距離的に近い韓国も日本同様に中東から原油輸入しているので、今後のナフサ輸入は、金額の問題ではなく、数量そのものを確保できないだろう。
もしホルムズ海峡封鎖が長引けば、価格高騰後に製品不足が来るのは間違いない。今申し上げたいのは、半世紀前のオイルショック時、ホルムズ海峡は封鎖されていなかった。それでもトイレットペーパーは市場から消え、テレビは24時で終わり、銀座のネオンも消えた。個人的意見だが、ナフサの製品在庫や備蓄があるうちに、例えば医療品などを優先する。レジ袋やスーパーのお刺身のトレーは紙に変える。この対策は時間があればできるので、政府主動で緊急対策計画を作成、それを公表し国民に協力を仰ぐことだ。
ガソリン他石油製品には「激変緩和政策」で3月19日から約30円の補助金が復活した。しかしこれは政府放出の原油価格を戦争前の安価にしたようで、時価換算では50円以上だ。さらに昨年末に廃止したガソリン税暫定税率25円の代替財源もない。実質75円の補助は、責任ある積極財政出動ではない。
50年前、田中角栄総理はガソリン税を大幅に上げて道路を作ったが需要抑制策でもあったと思う。またアメリカの味方になれと強い要請を受けたが、田中角栄総理は断り、中東諸国支持を表明し、原油を確保することができた。高市総理には安倍さんだけでなく角栄さんも参考にしてほしい。
その意味ではトランプ氏との会談は無事乗り切った。次はイランと日本船舶通過の交渉を成功させてほしい。官民合わせて250日あった原油備蓄を早くも45日分を取り崩した。封鎖が長引くなら、需要抑制策とともに、バス・トラック業界など本当に補助が必要なところに絞ることが必要だ。



