【緊急特集 イランショック】イラン核兵器開発の阻止は「核カード」が交渉の切り札に ※期間限定無料公開

2026年4月1日

【コラム:晴山 望/国際政治ジャーナリスト】

米国がイラン攻撃に踏み切った本来の目的は、核兵器の開発阻止にある。イランでは核兵器製造に必要な技術と、兵器級となる90%濃縮ウランに近い60%濃縮ウランを440kg保有しており、これは核兵器11発分に当たる規模だ。

国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長によると、昨年6月の空爆直前の時点で60%濃縮ウランの約半分は中部イスファハンの地下貯蔵庫に保管されていた。残り半分は、空爆を受けた2カ所の濃縮施設にあるとみられる。ただ、イランは2月末の開戦直後、高濃縮ウランを他の施設に搬出するとIAEAに通告。移転場所は不明のままだ。イランはイスファハンに新たな濃縮施設を建設していたが、「単なる空っぽのホールなのか、すでにウラン濃縮に使う遠心分離機が設置されているのかは分からない」(グロッシ氏)という。

一方、米情報機関のトップであるギャバード国家情報長官は3月19日、昨年6月の空爆でイランの核濃縮計画は壊滅し、「再建する試みは一切行われていない」と議会に報告した。

イランの核兵器開発を阻止するには、①米軍が特殊部隊などを派遣し高濃縮ウランを回収する、②外交でイランに高濃縮ウランを放棄させる―しかなく、極めてハードルが高い。数千人規模の兵力投入が必要であり、ベネズエラのマドゥーロ大統領拉致のような「一晩限り」の作戦にはならないのが現実だ。

イランは濃縮施設や高濃縮ウランの状況に口をつぐむことで、「核カード」を交渉の切り札に使い続ける可能性が高く、解決は難航しそうだ。