【LPガス大変革時代に挑む】業界再編を視野に積極的に活動 情勢変化に対応する伊藤忠エネクスホームライフの戦略

2026年4月27日

若松京介社長(伊藤忠エネクスホームライフ)

わかまつ・きょうすけ
1985年伊藤忠燃料(現伊藤忠エネクス)入社。伊藤忠エネクスホームライフ東北社長、ホームライフ部門長、取締役兼専務執行役員などを経て、2024年10月から現職。

エネクス時代からLPガスの業界課題に取り組んできた。まだ歴史の浅い新体制の展望について若松社長に話を聞いた。

 ―社長に就任し1年以上が経過しました。

若松 人口減少やLPガス市場の縮小といった情勢変化に迅速に対応するため、2024年10月にLPガス販売事業を主体とする伊藤忠エネクスグループ会社4社を経営統合し、新生「伊藤忠エネクスホームライフ」として事業を開始しました。伊藤忠エネクスで行っていたホームライフ事業のグループ会社に対する経営管理や共通施策の推進などについても、当社が継続しています。新体制となり統合の効果を実感しています。

人材の確保に苦慮 評価制度の見直し実施

―業界の課題をどのように認識していますか。

若松 昨今の物流問題は大きな課題です。LPガス事業は、充填された容器を消費者先の軒先まで届け、交換設置、保安点検といった、まさに労働集約型の配送を行っています。配送・保安分野における平均年齢も上昇傾向で、労働力不足が懸念されています。また、物流効率化法が改正され、一定規模以上の事業者には中長期計画の作成や定期報告などが義務化されました。 当社は以前から容器の共同利用、容器の大型化、共同配送(センター化)、システムによる配送予測、LPWA(省電力広域通信)などを活用した予測精度の向上、複数社による物流統合などを行い、コスト低減を進めてきました。今後も適切に対策していき、物流業界の課題解決に努めたいと思っています。

―人材確保についてはどのように対策していますか。

若松 この業界は保安業務資格の取得が求められる特殊性もあり、人材確保には苦慮しています。社員のエンゲージメント向上を目的として、26年度から段階的な定年延長を導入しました。手前味噌ですが、当社にはガス工事の技術力を持つシニア社員が多くいます。シニア社員には、技術を若手社員に伝承していく役割を担ってほしいと考えています。

またベースアップを実施したりキャリア形成の道筋を可視化し公平で透明性の高い運用に向け評価制度の見直しも実施しました。

一方、新しい人材は給与や待遇だけではなく、社風やキャリア形成機会、業界の安定性、企業の社会的責任など、多角的な視点で企業を選んでいます。そこにしっかりと応えられるよう、魅力ある会社にしていければと思っています。

―他社とのアライアンスに積極的な印象があります。

若松 24年12月に住宅設備機器のEC事業を展開する「株式会社交換できるくん」と業務・資本提携しました。ハウスメーカーや管理会社が住宅設備のECサイトを運用するプラットフォーム「Replaform」を共同で開発しました。25年7月にはその1号店として、当社ECサイト「eコトもーる」をリリースしました。商品検索、見積作成、販売決済までをワンストップでオンライン完結し、利用者はコンロなどの住宅設備機器を簡単に交換できます。今まで顧客接点は対面が中心でしたが、こうした技術で新たな顧客接点を創出したいと思っています。

当社は九州での新出光とのJVでエコアを、東名阪エリアで大阪ガスとエネアークを設立するなど、率先して業界再編を牽引してきました。今後も業界再編を視野に活動を継続したいと思っています。

企業プロフィール
伊藤忠エネクスグループ。2024年10月にエネクスのLPガス販社を集約し、ホームライフグループを統合する形で設立。現在、事業継続が困難な販売店を中心に継続的にM&Aを実施したり、高効率給湯器などの販売で需要の維持・拡大を進めている。

法令順守で業界貢献 宣言をウェブに公表

―液化石油ガス法の対応は。

若松 当社グループは省令改正の公布後、取引適正化・料金透明化に向けた取り組み宣言をウェブサイトに公表しました。ガイドラインの曖昧な部分に現場が混乱しないよう方針を統一しました。全社員向けのeラーニング、社内監査や研修会を通じて、継続して方針を周知徹底しています。省令改正で一定の効果があったと認識しています。

しかし資源エネルギー庁のウェブサイトに設置された料金適正化に関する通報フォームには、累計で3000件もの通報が寄せられているとのことです。内容の分析と判断、立入検査基準への反映などを目的として、アドバイザリーボードによる検討が進められていると聞いていますが、当社も引き続き法令を順守し、支持される業界づくりに貢献したいと考えています。