【特集2 省エネ最前線】大阪ガスがエネファーム拡販 経済性と環境性を追求
2009年の販売開始以来、大阪ガスが展開する家庭用燃料電池「エネファーム」の累計販売台数は、25年11月時点で23万台を突破した。年間約2万台のペースで着実に積み上げており、全国的な普及に大きく貢献している。今後はさらなる拡大を目指す方針だ。
拡販計画の主軸となるのがアイシン製エネファーム「typeS(タイプエス)」。世界最高の発電効率、太陽光発電と連携した売電、停電時の自立運転機能や省スペース設計を実現したモデルだ。

新築市場では来年4月の新ZEH基準「GX ZEH」制度の施行を切り口に、同製品のコンパクトかつ高効率な省エネ性を武器に提案を強化していく。
既築市場ではリプレースの促進を軸に、販売から10年以上が経過したエネファームやエコウィルからの交換を推し進める。加えて、エネファームの新規設置(給湯器の故障・交換時における置き換えや、買い替え後まだ年数が浅い場合には後付け)など、ユーザーのさまざまなニーズに応じた提案営業を展開していく。
最大出力運転で余剰を売電 政府の補助制度も後押し
同社は今年3月中旬からテレビCMを開始し、電力の購入量を年間約75%削減できることをアピールしている。また、同社のtypeSのカタログに記載されている想定条件下での試算では、①専用ガス料金プランの適用、②発電による購入電力量の減少、③余剰電力の売電―の3点により、年間約11万円の光熱費削減が可能だという。
さらに、エネファームと太陽光発電を併設した場合、「ダブル発電」と「ダブル売電」のいずれかのサービスを選択できる。ダブル発電は、エネファームが電力使用に合わせて運転し、太陽光の余剰分を売電する。

一方、ダブル売電はtypeS独自の最大発電出力700Wでの定格連続モードで運転し、売電量を大きく押し上げるサービスとなっている。
このダブル売電ができることが、競合製品にはないtypeSの優位性だ。
国や自治体も省エネ推進に本腰を入れている。その一環として、手厚い補助金制度も普及を促す大きな原動力となっている。環境省、経済産業省、国土交通省の3省合同の「給湯省エネ2026事業」では対象機器の設置に1台17万円の補助金を交付。加えて、自治体独自の補助金が交付される場合がある。
また、25年度には、優れた省エネ性能を有する住宅を対象とした「GX志向型住宅補助金」の制度が開始された。断熱性能や一次エネルギー消費量の削減率など、国が定める一定の基準を満たすことで受給が可能になる。25年度は最大160万円、26年度は建設地域によっても異なるが最大110~125万円程度の水準になる。
CO2排出量を大幅削減 多角的開発とVPP展開へ
光熱費削減効果だけでなく、エネファームは環境性にも優れている。同社が主に扱うtypeSは発売当初、発電効果は30~40%だったが、改良を重ねることによって世界最高水準の55%を達成した。
また、一次エネルギーの消費量は、従来のガス給湯暖房器と比べ約30%削減できる。今後施行が予定されているGX ZEHに対応するためには、このような高効率設備の採用が不可欠だ。同社では、エネファームはこの基準達成に大きく貢献できると考えている。
さらに、CO2排出量について、定格運転により24時間安定して発電し、効率的なエネルギー利用が実現することで、大幅に減らすことができる。同社ではその量を年間2・1tと想定している。
ユーザーは、エネファームの環境性をどう捉えているのだろうか。エネファームなら、導入するだけで、日々無理をしなくても、大幅な省エネと環境への貢献が実現できる。大阪ガスマーケティング燃料電池戦略グループの小島忠将チーフは、「『頑張らないといけない』という負担を感じることなく、家計と環境に優しい生活を両立できる点こそ、最大のメリットではないか」と言い、コンパクト化など顧客ニーズに応えられる製品の開発を推進していく構えだ。
同社は今後の展開として、このフラッグシップモデルの拡販を継続するとともに、メーカーと共に性能向上やコンパクト化に加え、販売実績から得た知見を生かした多角的な開発を推進していく。また、行政とも連携して実施してきたVPP(仮想発電所)などの実証成果を深掘りし、より一層の具体的なサービス展開についても検討を進める方針だ。
※最大発電出力1kw以下の家庭用燃料電池


