【特集2 省エネ最前線】三浦工業が「省エネ診断」で工場の課題を見える化

2026年6月3日

産業用ボイラーメーカー大手の三浦工業が展開する「省エネ診断」サービスへの需要が高まっている。1982年のスタート以来、延べ約7万件以上の診断を実施してきた。


サービス提供の始まりは、自社製の小型貫流ボイラー導入を促すため、他社の大型ボイラーの性能や熱効率を診断、工場の燃料費削減に貢献するためだったという。FE戦略統括部の山口秀樹統括部長は「まず、お客さまが毎日、日誌につけていた燃料消費量や給水量、排出するブロー量などの数値をデータ化した。それを基に、ボイラーの効率や燃料消費量の改善を提案していた」と振り返る。

三浦工業が提供する省エネ診断の進化


省エネ診断の一環で当初から実施している「日誌分析」では、前述のとおりボイラーの管理日誌からデータを解析し、季節変動などの通年傾向を確認。高効率の最新設備に入れ替えた場合のコストメリットを試算するほか、維持費などの諸費用についても提示している。


このほか、「負荷分析」では、同社が自社開発した負荷分析装置を使用し、蒸気の変動を秒単位で計測。ボイラーの適正な容量選定を行うことができる。そのため余分なボイラーを増やすことなく、イニシャルコストを抑えた上で、安全性を考慮した提案が実現している。また、大型ボイラーから小型ボイラーへ入れ替えた場合は、複数台のボイラー設置となる。その際に、圧力や温度を大きく乱さずに運転できるかどうかを表す指標(負荷追従性)を事前に予測・評価する「シミュレーション」も省エネ診断に組み入れている。


同社の省エネ診断では現在、ボイラーの診断の他、コンプレッサー設備の診断や廃熱回収の分析、水処理設備での水流量や水位診断などが可能。工場全体のエネルギーの現状を「見える化」することで、課題を浮き彫りにし、解決策を見いだすツールとして有効だ。関東省エネコンサルティング部の上藤丈浩部長は「中小、大企業を問わず、省エネ診断の依頼が増加傾向にある」と手応えを感じている。

施設内の全設備を見守り 効率的なエネ供給を提案

さらに昨年4月、施設のあらゆる設備を見守る「まるごとメンテナンスサービス」を開始した。メンテナンスによりエネルギーロスや設備性能を回復させることに加え、生産状況の変化、気温や気候変動などの外来的な環境の変化を予測し、工場生産に関わる必要なエネルギーの効率的供給方法も提案中だ。


同社には熱ソリューションを提供する熱の専門家「熱ソムリエ」がおり、全国94拠点に約1200人のフィールドエンジニアが在籍する。上藤氏は「今後も地域の省エネ支援、そして省人化の支援に寄り添いながら、真摯に要望に応えていきたい」と意気込んでいる。