【四国電力社長 宮本喜弘】社会の潮流を追い風に 新たな事業の柱を育て 企業価値向上を目指す

2026年10月2日

今年4月、新たな「中期経営計画2030」をスタートさせた。

脱炭素化やデジタル化を成長機会と捉え、事業ポートフォリオを「コア事業」「拡張領域」「挑戦領域」の三つに再構築。

収益基盤の多重化を図るとともに人材戦略やBXを推進し、持続的な企業価値向上を目指す。

【インタビュー:宮本喜弘/四国電力社長】

みやもと・よしひろ 1985年京都大学工学部卒後、同年四国電力入社。常務執行役員総合企画室経営企画部長、取締役常務執行役員総合企画室長、再生可能エネルギー部・広報部担当を経て、24年6月から現職。

井関 8月26日に開催されたGX実行会議において、「エネルギー需給構造の強靭化総合パッケージ」が打ち出されました。

宮本 社会のデジタル化を背景に、日本全体で電力需要の増加が見込まれる中、原子力を含めた電源確保に向けた方針を国として明確に示していただいたことは非常に心強く感じています。大規模な電源開発を行う際には莫大な資金が必要となります。さらに近年では、資機材価格や労務費単価の高騰などもあり、さらなるコスト上昇が懸念される中、国に明確な支援施策や方針を打ち出していただくことで、金融市場からの信頼が高まり、安定的な資金調達環境の構築につながるものと考えます。既に金融機関からも「国の方針が明確であれば融資の判断がしやすい」という声をいただいており、今後の旺盛な資金需要に対応していく上でも、電力業界が電源開発への投資へ踏み出しやすい環境が整備されることは極めて意義深いと評価しています。今後、具体的な施策の検討が進められることから、当社としても議論動向を注視していきたいと考えています。

省エネ意識の維持は重要 継続的な啓蒙が不可欠

井関 イラン情勢の悪化による地政学リスクが継続しています。

宮本 燃料価格の変動が電気料金に反映されるまでにはタイムラグがあることや国の負担軽減措置が10月分まで適用されることから、足元の電気料金への影響は一定程度抑制されていますが、原油価格の変動影響が数カ月遅れて反映されるLNG価格や、当社の燃調単価に大きな影響を与える石炭価格が上昇基調にあることを踏まえると、今後は、その影響が拡大してくるのではないかと懸念しています。当社としては、引き続き、燃料価格などの動向を注視しながら今後の対応についてもしっかりと検討していきます。

井関 そうした状況下では、冬の需要期に向け政府による電気料金補助が再開される可能性もあります。

宮本 電気料金の負担を懸念して、冷暖房などの使用を控えるといった健康上のリスクを防ぐためにも、必要な時に安心して電気を使える環境を整えるという観点で、政府による支援策は大変ありがたいものと受け止めています。一方で資源の乏しい日本においては、省エネや節電に対するマインドを社会全体で維持することも極めて重要です。国による価格支援に頼り切るのではなく、エネルギーを効率的、有効的に使うという啓蒙活動を国と事業者が連携して継続していくことも不可欠であると考えています。照明のLED化が急速に進み、エアコンや冷蔵庫といった常時稼働する高消費電力機器の省エネ化も着実に進展しています。このため、一層の省エネ・CO2削減を進めていく上では、需要側設備の電化を進めていくことも大変重要な取り組みです。当社としても、発電時におけるCO2排出原単位の引き下げを大前提として電化を推進し、社会全体の環境負荷低減に貢献していきます。

井関 7~9月にかけて「夏の生活応援&省エネチャレンジキャンペーン」を展開していましたが、反響はいかがですか。

宮本 「よんでんコンシェルジュ」会員でご家庭向け自由料金プランに加入するお客さまを対象に、電気料金に応じて付与するポイントを通常の5倍に拡充したほか、抽選で3000人に夏のおすすめアイテムなどを進呈する特典や前年同月よりも使用量を削減できた方の中から抽選でポイントを付与する特典も用意するなどしたことで、大きな反響をいただきました。昨年は申込制のキャンペーンを実施しましたが、「知らなかった」「手続きを忘れた」というお客さまの声もあり、今年は、ポイントを通常の5倍に拡充する特典は申込不要で自動的に適用することにしました。当社としては、本施策を通じて、夏場の家計の負担軽減や省エネへの取り組みに一定程度寄与できたのではないかと考えています。

脱炭素化とデジタル化の進展を収益機会拡大につなげる

井関 2027年3月期は増収減益の見通しです。

宮本 第1四半期は、豊水に恵まれたことなどにより前年同期に比べて増益となるなど、順調なスタートを切ることができました。とはいえ、今年度は、昨年度の好決算の一因であった退職給付会計における数理計算上の差異償却影響の剥落や諸費用の増などの減益要因があり、通期では減益を予想しています。引き続き、電気事業をはじめとした各事業において、収支拡大・費用削減の両面から取り組みを推進し、年度当初に公表した経常利益400億円を確実に達成した上で、中計で掲げた650億円に少しでも近づけられるよう全社を挙げて取り組んでいきます。

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