【北海道電力 齋藤社長】豊かな北海道実現へ 地域と手を携え 課題解決に取り組む

2026年11月1日

北海道の熱需要の低炭素化を推進するべく、JAPEXからのガス供給設備譲受を機に、ガス事業に本格参入する。

インフラ事業者の責任を全うするとともに地域課題解決を通じて豊かな北海道の実現を目指す。

【インタビュー:齋藤 晋/北海道電力社長】

さいとう・すすむ 1983年北見工業大学工学部卒、北海道電力入社。2015年苫東厚真発電所長、19年常務執行役員火力部長、21年取締役常務執行役員火力部・カイゼン推進室・情報通信部担当などを経て23年6月から現職。

井関 泊発電所の再稼働に向けた取り組みや審査の現状についてお聞かせください。


齋藤 泊発電所3号機の再稼働に向け、現在、設工認(設計及び工事計画認可)審査や保安規定変更認可審査、そして防潮堤をはじめとする各種安全対策工事を全社一丸となって進めています。建屋・設備の耐震評価や解析コードの確認など主要な論点について概ねご理解をいただき、今は火災防護対策に関する論点について原子力規制庁との対話・説明を継続している段階です。
 「火災を起こさない」「万一発生しても確実に消火する」「安全に避難・対応する」という原点に立ち返り、安全性を徹底的に再確認する良い機会と捉えて丁寧に対応しているところです。こうした設工認審査の進ちょくをしっかりと見極めた上で、再稼働の具体的な時期をお知らせします。


井関 8月18日、防潮堤建設工事において作業員の方が亡くなる事故が発生しました。


齋藤 常日頃から「安全確保が大前提」と掲げていた中で、このような痛ましい人身事故を発生させたことを極めて重く受け止めており、亡くなった作業員の方のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、ご遺族に深くおわび申し上げます。事故発生直後、現場の全工事を一時休止して緊急の安全総点検を実施しました。原因究明を進め、高所作業や機器への挟まれといった危険作業における安全ルールの徹底と再発防止対策を講じた上で、工事を再開しています。
 防潮堤工事は来年8月の完成を目指しており、現在の進ちょく率は7割です。約3週間の休止期間による工程への影響については、工事と並行して精査中ですが、現場に対しては「何よりも安全優先」と伝えております。無理な突貫工事で安全が疎かになっては本末転倒です。安全確保を最優先としつつ、協力会社と共に工夫を凝らした工程短縮に全力を挙げ、一刻も早い防潮堤の完成と、27年のできるだけ早期の再稼働を目指していきます。

ガス事業に本格参入 エネルギー転換を主導

井関 昨年末に発表されたJAPEXからのガス供給事業譲受と、苫小牧・厚真地域を起点とした新たなエネルギーサプライチェーン構想の意義とは。


齋藤 北海道は現在、大きな産業構造の転換期を迎えています。
半導体工場やデータセンター(DC)の立地に伴い、中長期的な電力需要は想定を超えるスピードで拡大する可能性があります。また、北海道は最終エネルギー消費に占める石油・石炭の割合が高く、カーボンニュートラル(CN)達成に向けては電力・ガスの低炭素化・脱炭素化が不可欠です。
 このような背景から、来年3月期に予定しているJAPEXからのガス供給事業の譲受は、当社がガス事業へ本格参入する大きな柱となり、これには大きく三つの意義があります。第一に事業継続性の飛躍的向上です。現在の道内都市ガス供給網は石狩エリアが大きいものの、単一的な供給網であることから、太平洋側の苫小牧に新たな拠点を構築し結ぶことで、二重化された強靭なインフラを構築できます。第二に熱需要における低炭素化の推進です。重油や石炭などを使用している産業用のお客さまに対し、よりCO2排出量の少ない天然ガスへの転換を提案し、道内のエネルギー転換を主導します。第三に価格競争力の強化とお客さま還元です。調達・製造から供給までを一貫して手掛けることでコスト低減を図り、安定的かつ価格競争力のあるガスを全道へお届けしていきます。ガス供給事業については、来年3月期の事業運営開始に向け、準備を進めています。

北電が譲り受ける勇払LNGプラント 提供:石油資源開発


井関 苫小牧・厚真地域では、LNG火力発電所の新規開発に向けた環境影響評価手続きを開始しました。

齋藤 このLNG火力発電は、DCのさらなる立地などによる将来の需要増加に対応すると同時に、苫東厚真発電所1号機など経年化した非効率な石炭火力発電所のフェードアウトを進める上で戦略的に活用していく極めて重要な電源です。DCなどが集積する苫小牧・千歳エリアでは電力需要増が顕著であることから、電力系統の安定化を図る上でも、需要地の近傍である苫小牧・厚真地域に信頼性の高い電源を配置することは重要です。また、太陽光や風力といった変動性再生可能エネルギーの導入が拡大する中で、それらを補完する調整力としても期待しています。さらに、将来のCN実現に向けて、混焼・専焼技術を取り入れ、水素やアンモニアといった脱炭素燃料への転換を見据えているところです。併せて整備するLNG基地は、発電事業のみならずガス事業にも活用することで、北海道全域へのさらなる安定的かつ価格競争力のあるガスの供給にもつなげていきます。

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