【北海道電力 齋藤社長】豊かな北海道実現へ 地域と手を携え 課題解決に取り組む

2026年11月1日

多様な脱炭素技術を駆使 既存火力の活用に道筋

井関 既存火力のグリーン化に向けての取り組み状況は。


齋藤 「水素」「アンモニア」「CCUS(CO2の回収・利用・貯留)」の3本の柱で火力の脱炭素化に全力で挑んでいます。
 水素については、23年5月に苫東厚真発電所構内に1MW(1000kW)級の水素製造設備を導入し、寒冷地における運用技術の確立に努めています。さらに出光興産と共同で、30年度までに苫小牧地域で国内最大級の水電解プラントを整備し、再エネ由来の国産グリーン水素を地元の工場などへパイプライン供給する地産地消型サプライチェーン構築の検討を進めています。また、火力発電所などから回収したCO2と水素を合成し、都市ガス代替となるe―メタンを製造・供給するプロジェクトも推進中です。
 苫東厚真4号機においては、燃料アンモニアの混焼に向けた取り組みを加速させており、国の長期脱炭素電源オークションを活用し、30年度にアンモニア混焼率20%(熱量比)、32年度には40%への引き上げを目指してメーカーと技術開発を進めています。受入・貯蔵設備についても他社と連携し、苫小牧を北日本のアンモニア供給拠点とする構想を描いているところであり、すでに国の価格差に着目した支援制度や拠点整備支援制度の認定を取得し、今年度は事業化に向けた基本設計や建設費用の精査を実施します。また、出光興産、JAPEXと共に経済産業省の「先進的CCS事業」に採択され、苫小牧地域でのCO2の分離回収・輸送・貯留の基本設計を今年度内に完了し、30年度の事業開始に向けて設備仕様やビジネスモデルを具体化させていく計画です。石炭火力を頭ごなしに排除するのではなく、CCUSやアンモニア混焼を組み合わせることで、エネルギー安定供給と環境性を高い次元で両立させていきます。


井関 再エネ分野では、7月に新会社「道南洋上風力プラットフォームズ」を設立しました。


齋藤 洋上風力発電は、日本の再エネ政策における切り札であり、豊富な風況に恵まれた北海道はその最大の適地です。すでに松前沖や檜山沖が促進区域に指定され、今後浮体式を含め大規模な開発が見込まれています。
 しかし、欧州などと比較して日本には洋上風力特有のサプライチェーンや維持管理のノウハウ、そして何より専門技術を持った人材が決定的に不足しています。
 道内には国際的に認められた訓練を受けていることを証明する「GWO訓練認証」を取得できる訓練施設が存在せず、これまでは作業員が道外や海外で研修を受ける必要があり、地元の事業者にとって大きな負担となっていました。そこで当社が主導し、地元自治体のご理解・ご協力の下、既存設備などを活用して国際規格の安全・技術トレーニングを提供する教育拠点の立ち上げを進めています。道南洋上風力プラットフォームズを通じて人材育成・確保を支援し、将来的にはコンサルティングや基盤整備事業にも領域を広げ、道内の洋上風力産業全体を下支えしていきます。

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