A 国家エネルギー非常事態宣言は、不法移民問題と並び、エネルギー問題を最重視することの表れだ。トランプ氏の言動は衝動的で揺れが激しく、むしろ同盟国が振り回されている。ただ重要なのは、トランプ政権の政策がどこに向かい、どんな時代認識なのかを見極めることだ。今の米国は自国の安全保障や国力強化を最優先に据え、温暖化問題は自国解決能力を超えているというのがトランプ政権の考え。そしてなりふり構わない安保の中心が国産化石燃料の増産政策となる。
B 実際の政策は、事前評価と概ね一致。中でもLNGのポーズ(自由貿易協定非締結国への輸出承認一時停止)を巡り、審査の再開は日本にとってプラスだ。一方、長期的な視点ではIRA(インフレ抑制法)での支出を見直す可能性があり、日本への影響を注視する必要がある。やはり日本としては米国の脱炭素政策への期待があり、転換する場合はGX(グリーントランスフォーメーション)など各方面に影響する。今回実感されたが、4年ごとに米国の政策が大転換することは大きなリスクとなる。日本がこれまでリスクとして意識していた中東のエネルギー情勢はむしろ若干安定感さえ見せる中、米国の政策転換はそれ以上のリスクとなっている。
日本はトランプリスクに翻弄されずに進めるのか
前政権から180度方針転換 化石燃料回帰の効果に疑問符
C ソ連崩壊後はグローバル化、そして国連リベラリズムが広がったが、今や大国を巻き込んだ紛争が勃発。この歴史的転換点で再び表舞台に立つトランプ氏は、トリックスターか、あるいはビジョナリーかもしれない。19世紀末にカリフォルニアで石油を掘り当てたことを起点に、20世紀は米国の世紀となった。2018年には世界最大の石油生産国に、23年には最大のLNG輸出国となっている。中国はネットでは化石燃料輸入国で、持つ国と持たざる国の対立へ向かう方が米国としては望ましい。そして資源大国の力を生かし、グローバリズムへのくさびとして、国連との距離の置き方を鮮明にしている。富の再分配であるパリ協定では、COP29で合意した新たな資金支援目標に米国は全くくみしない。
ファンドの名称は「New Forests Australia New Zealand Landscapes and Forestry Fund」。100万tのCO2排出量削減を目標に、環境配慮や地域社会との共生も重視した森林投資・管理を行うことを目指す。運用期間は23年12月~35年12月までの12年間。豪政府機関、欧州年金基金、豪保険会社などの大口機関投資家が出資している。九州電力がこのファンドに出資する理由は3つある。