【地域エネルギー最前線】 香川県 高松市
今年のG7会合では、高松の名を掲げた持続可能な都市に関する原則を策定し、世界に向け発信した。
その舞台の地でいかに実行に移すか、またゼロカーボン政策などにどう落とし込むのか注目される。
今年のG7(主要7カ国)都市大臣会合は7月7~9日にかけて高松市で開かれ、成果として共同声明のほか「香川・高松原則」を示した。同会合は昨年から始まり、日本では今回が初。「香川・高松原則」は持続可能な都市の発展に向けた協動指針で、テーマの中には「カーボンニュートラル(CN)・レジリエント(強靭化)」がある。
市の名を冠した原則が発信されたことから、他地域に先駆けてこれを実行に移すことが重要課題となった。ゼロカーボンシティ政策など、市の各種戦略にどう組み込むかが問われている。
市のゼロカーボンシティ政策のコンセプトは、「温暖で災害が少なく住みやすい都市を将来的に維持すること」。四国の太平洋側では南海トラフ巨大地震に伴う津波などさまざまな災害リスクが懸念されるが、瀬戸内海側の被害想定はそれほど深刻ではない。とはいえ、被害を最小に抑えるため、レジリエンスの視点が重要であることに変わりはない。

日射量生かし太陽光から着手 金融と企業の橋渡しも
ゼロカーボン政策につなげる形で、地球温暖化対策推進法に基づく実行計画を昨年3月に改訂している。その際、環境省補助事業を活用して「地域再エネ導入戦略」を策定し、これを改定計画に反映した。戦略では、市の実情を踏まえ、再生可能エネルギーの導入ポテンシャルを電源種、エリアごとに検証。これを基に課題の洗い出しや、その解決に向けた方策などを打ち出した。
日本一狭い県の県庁所在地である高松は、ほかの都市部以上に再エネポテンシャルが限られる。ただ、日照時間は全国有数であり、讃岐平野は山林が少なく平地が多い。加えて、降雨量が少なく川が短く急なことから、県のため池数は全国最多。実は水上太陽光の取り組みが盛んなのだ。
ただ、「これまではFIT(固定価格買い取り制度)に基づく再エネ事業が多く、地域に恩恵が還元されにくかった。卒FIT、そして地域の地産地消に資する電源の拡大が急務だ」(市ゼロカーボンシティ推進課の坂東真課長)と強調する。
当面の課題は、限られた都市空間を有効活用していかに太陽光発電を拡大できるか。まずは公共施設への設置から始め、環境省事業を活用して採算性を調査した上で、導入を図っている。
住宅向けについては、これまで市が実施してきた太陽光設置補助金を、2年ほど前に地産地消促進型へと条件を見直した。蓄電池、EVなどを家庭のエネルギーマネジメントに活用する「V2H」、断熱改修、ZEH(ネットゼロエネルギーハウス)などの導入費を助成する。レジリエンスへの意識向上や電気代高騰を追い風に、制度への関心が高まっており、昨年以上のスピードで申し込み件数の上限に達した。
これらを足掛かりに、ほかの重点取り組みも順次進める。農業分野での再エネ活用促進、地銀のグリーンファイナンス、災害時拠点施設への再エネ導入、そしてEV・蓄電池を活用したエネルギーマネジメント―。地域のポテンシャルを生かすための方策を検討していく。
なお、空港や港湾の脱炭素化も課題の一つであり、特に港湾では水素・アンモニアの活用が不可欠となる。将来的な次世代燃料の需要予測や、供給体制の確保、事業者の掘り起こしから着手する。
そしてゼロカーボンを加速させる上では、官民連携の拡充がカギを握る。この点では、まず先述の公共施設への太陽光導入を通じて地域の事業者の育成を図る。加えて、脱炭素ソリューションの活用に向けた民間企業のマッチングも始めた。
今春、地銀の百十四銀行など市内事業者をつなげるオンライン会合を開催。6社が、EV導入支援、充電器とセットでのEVリース事業、メタネーション(合成メタン)などの方針を発表した。引き続き、地元企業に対する融資や地銀によるコンサルの活性化に向け、機会を設定していく考えだ。










