3月16日深夜、東日本大震災から11年目を迎え、鎮魂と復興への祈りに包まれていた東北地方を再び大規模地震が襲った。最大震度6強を観測した宮城・福島県では、電線の混線や電線を支える碍子の損傷など送配電設備の不具合が発生。両県で約15万戸が停電し、翌17日夜に全面復旧した。18~19日にかけて冷たい雨や雪に見舞われるなど寒さが続いたこともあり、早期に供給を再開できたことは不幸中の幸いだ。

一方この地震では、東北電力の原町火力1号機(石炭、100万kW)や、JERAの広野火力5、6号機(石炭、計120万kW)など、東北から関東の太平洋側に位置する11カ所の火力発電所が相次いで停止。地震発生の直後には一時、約600万kWもの供給力が失われた。
UFR(周波数低下リレー)の仕組みが機能し、ブラックアウト(全域停電)に至ってしまう最悪の事態は回避したものの、この影響で東北電力ネットワークと東京電力パワーグリッド(PG)エリアは、その後しばらくの間、綱渡りの安定供給確保を迫られることになった。
最も深刻な事態に陥ったのは地震発生から6日後の22日。この時点で、東北、東京エリアでは依然として6基(計約330万kW)の火力発電所が停止中。そこに、悪天候と低気温が重なり、広域の電力融通など対策を講じたとしても、十分な供給力を確保できない恐れがあるとの判断から、経済産業省が初の「需給ひっ迫警報」を両エリアに発令し、企業や家庭に節電を呼び掛けたのだ。
この日東京エリアは、午前7時から午後4時まで、ほかの一般送配電事業者7社から最大141・78万kWの電力融通を受けた。それでも、節電が想定通りに進まず、午後2時台には供給力に対する需要の割合を示す「使用率」が107%に。システム上で需要が供給を上回るあわや停電危機に、経産省は午後3時から8時までの間、毎時200万kWのさらなる節電協力を要請した。
夜には2度目の電力融通を受け、午後9時ごろ、同日中の停電の恐れがなくなったことが発表された。まさに、極限の緊張感の下、総力を挙げて首都圏の電力危機を乗り切ったといえる。
厳しい需給を反映 スポット市場80・02円に
厳しい電力需給状況は、日本卸電力取引所(JEPX)のスポット取引市場にも波乱を巻き起こした。22日受け渡し分のシステムプライスは、ほぼ全時間帯で実質的な上限価格である1kW時当たり80円に張り付き。東日本エリアでは、午後5時半~6時に80・02円と、今シーズンの最高値を付けた。昨年の市場価格高騰で苦境に立つ新電力にとっては、「とどめ」になりかねない事態だ。
ここ数年、厳気象や自然災害のたびに脆弱性を突き付けられてきた日本の電力システム。競争政策に重きを置いた改革は、結局は新規参入者をも苦境に立たせている。危機を頻繁に繰り返さないために、システムの冗長性を取り戻すための政策転換を急ぐべきだろう。





