火力発電大手のJERAを巡る次期トップ人事が、早くも業界関係者の間で話題になっている。
現在の可児行夫会長(東京電力・燃料部門出身)、奥田久栄社長(中部電力・経営戦略部門出身)体制になったのが、2023年4月。同社の歴代首脳陣を見ると、15年4月に内藤義博会長(東電出身)、垣見祐二社長(中電出身)、16年にヘンドリック・ゴーデンカー会長(ホワイト&ケース出身)、19年に佐野敏弘会長(東電出身)、小野田聡社長(中電出身)と、おおむね3~4年サイクルで会長職を東電サイド、社長職を中電が担う形で交代してきた。
「今ささやかれているのが、来年度のトップ交代だ。候補としては、まず東電出身者では企画畑のT氏が有力視される。中電出身では、海外でエネルギートレーディング経験のあるK氏が考えられるが、T氏より五つも年上なので、もしかするとJERAが発足して以来初めて、東電と中電のポジションが逆転する可能性がある」(電力業界事情通)
JERAを巡っては、28年度をめどに持ち株会社化に移行するための検討が進められているもよう。その一環として株式の上場や外部資本の受け入れなどが取りざたされている。そうした経営事情を踏まえれば、やはり企画畑のT氏が社長に就くのが順当だ。しかしそうなると、社長ポストを手放すことになる中電側の反発が予想される。
「中電出身の幹部としては、奥田氏と同様の経歴を持つN氏がいる。彼を社長に推してくる可能性もあるが、その際には可児氏の後任をどうするかという問題が出てくる。そこでT氏が会長に就けば、社長、会長とも企画畑ということになり、バランスが悪い。東電、中電の双方が納得する人事はどうなのか、悩ましいところだろう」(前出事情通)
別の関係筋によれば、来年度のトップ交代はないとの見方もあるという。過去の人事サイクルにとらわれず、持ち株会社化など体制見直しの段階で交代―。その可能性も十分考えられそうだ。
LNG火力巡る明暗 投資判断への影響は?
長期脱炭素電源オークションにおけるLNG専焼火力の枠獲得を巡り、3回目にして初めて募集量を超える応募があり競争が生じた。供給力確保のため、脱炭素電源とは別に「3年間限定」で設けられ、当初は3年間で計600万kWを募集するはずだったが、初回だけで応札した575万kW全量が落札され、2回目は224万kWの募集に対し131万kWが応札しやはり全量が落札されていた。

電力広域的運営推進機関が公表した今回の落札電源は、北陸電力富山新港火力LNG2号機(58万kW)、九州電力新小倉6号機(仮称、90万kW)、JERA袖ケ浦火力1・2号(各77万kW)の計4基303万kW。一方、非落札電源は公表されないが、K電力のH火力のリプレース案件と見られている。
ただ、K電力は約定結果が公表された翌週、H火力のリプレース計画を進める方針をプレスリリースしている。「今はタービンの順番待ちになっていて、後回しにされないためには落札できなくても進めるしかない」と、メーカー関係者Y氏は事情を推察する。
とはいえ、稼働の不確実性から投資回収の予見性が低下し、電力会社にとって大型火力の投資判断が難しくなっているのは事実。資源エネルギー庁は、4回目以降もLNG火力の募集を継続する方向で検討を進めている。同オークションで落札できるかが計画を左右するだけに、さらに競争が激化する可能性がある。
同制度は、発電事業者が原則20年間の固定費を確保できる仕組み。だが、事業者の判断でそれを超える期間を設定することも可能だ。今回、31年以上の電源は全体の39%(初回は18%、2回目は24%だった)を占め、中には45年という長期案件も。そしてこれは、「1年当たりの価格を下げ確実に落札する戦略」なのだという。次回に向け、各社どのような手を打って来るのか、注目だ。





















