A 電力業界にとって象徴的な出来事は、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の見通しが立ったことだ。北海道の鈴木直道知事も北海道電力の泊3号機の再稼働を容認したことだし、これからの各原発の動向に大きな影響を与えることになるだろう。
B 都市ガス業界にとっては、第7次エネ基が策定されたことが大きなニュースだった。火力燃料の中でもLNGの重要性、そしてeメタンにしっかりと取り組んでいく必要性が明記された。石炭や石油を燃料とする自家発やボイラーは、LNGに転換するだけでCO2を4割ほどカットできる。特に既存の技術では転換が困難(ハードトゥアベイト)な産業に対して補助金を付け、かつ単年度ではなく複数年度の施策としてもらえたことは業界にとってビジネスチャンスだ。
C ガスと同様、第7次エネ基でトランジションエネルギーとして一定の評価をしてもらえたことは石油業界にとって良いことだと思っている。EV(電気自動車)化が一気には進まない中で、10㎞以上離れた場所まで行かないとサービスステーション(SS)がないような過疎地域において、既存のSSをどう生かしてくのかといった議論がなされていることもありがたい。
A 北海道・釧路湿原のメガソーラー開発が象徴的だったね。メガソーラーへの規制は決して高市早苗首相の思い付きではなく、24年に環境省が調査した段階で322の自治体が再生可能エネルギーを規制する条例を制定していて、根底にはそうした流れがあった。再エネは全否定されるべきではないが、地域の自然環境との共生や系統への統合の問題など、よりリアリティを持ってカーボンニュートラル(CN)を考えていかなければならないということだ。11月にブラジル・ベレンで開かれた地球温暖化防止国際会議・COP30も、化石燃料を巡る結論がまとまらなかった。もう少し現実的に何ができるのか、日本のみならず世界が考え直した一年だったのだと思う。
B メガソーラーだけではない。再エネ神話が崩壊した年だったと言って良いと思う。なにより、三菱商事が3海域の洋上風力発電事業から撤退したことは、エネルギー業界全体にとって大きな衝撃だった。破格の応札価格が足を引っ張ったのだろうが、再エネ導入拡大と国民負担のバランスを改めて考える必要性が認識された。
26年はより環境性以外の要素に軸足 GX―ETS開始で各社の動向は?
―26年はどのような年になりそうか。
A 25年はより安定供給、エネルギーセキュリティー、あるいは価格のアフォーダビリティー(受容性)に軸足をシフトするきっかけになった年。26年はそれがさらに加速していくんじゃないかな。今後、半導体やデータセンター向けに電力需要が増えてく中で、新しい系統を作ってしまえばコストをどう負担するのかという問題になる。そういう課題に直面する中で、火力燃料をもう少し予見性を持って調達できるようにするべきだということで小売り事業者の供給力確保義務を課すことが検討されている。どれだけ有効かは議論があるが、根っこにそういう思想があって出てきたわけだ。
C 改正GX―ETS(排出量取引制度)の開始が決まったことは、石油業界のみならず産業界全体に非常にインパクトがあることだ。制度の詳細が決まらないとなんとも言えない部分はあるが、技術を持ち先行的に取り組んでいくのか、それとも証書を買ってくればヨシとするのか、考え方次第でこれまでと全く違う動きが出てきてもおかしくない。
B 都市ガスはシステム改革検証の真っ只中だが、業界が激震するようなことは起きないと思う。燃料転換を通じて環境負荷の高いエネルギーを使っている需要家にLNGに変えてもらえれば、50年までの間に累積してCO2を減らすことができるので、各事業者がどこまで頑張れるのか、そこになんらかの政策支援が入るのか業界として注目している。