【ワールドワイド/経営】先行き不透明な脱炭素政策 手頃な価格と安定供給が最優先に

3月中旬から下旬にかけて、ワシントンで戦略国際問題研究所、ブルッキングス研究所、米商工会議所などと意見交換を行い、その後、ヒューストンのCERAウィークにも参加してきた。環境関係者の間では、「今こそ中東の石油、ガスへの依存のリスクから脱却するため、脱化石燃料を進めるべきだ」との声がある。しかし、エネルギー関係者の見方はそれほど単純なものではない。彼らの見方はおおむね次のように要約される。

各国が中東依存脱却に動いている

中東リスクが高まることにより、中東依存の低下を模索する動きが高まる可能性が高いが、それが脱化石燃料に直結するのではなく、少なくとも当面、輸入国においては代替供給源の拡大、資源国における国産化石燃料の増産につながる可能性が大きい。ディーゼル、ジェット燃料などの石油製品の価格上昇は、アジアにおいて電気自動車の需要を増大させるだろう。

中東情勢の影響で、米国産LNGへの需要は高まるだろうが、それが国内のガス価格、電力価格の上昇につながる場合、ガス輸出の制限が検討される可能性がある。

OECD加盟国では、よりクリーンな電力への取り組みを強化しており、米国、日本、台湾では原子力発電が拡大する可能性がある。他方、石油・ガス価格変動に敏感なアジア諸国では天然ガスの供給混乱の中で、発電用燃料として石炭に回帰する可能性が高い。

非電力部門における石油需要は依然として堅調であり、水素・アンモニアによる解決策はより長期的なものになる。中東への米国の注力は、間接的に中国に利益をもたらし、原油価格の上昇を通じてロシアの戦争継続能力を高めている。

イラン戦争の見通しは依然不透明であり、エネルギー転換を加速する要素、減速する要素が混在するが、戦後最大のエネルギー危機の下で、手頃な価格によるエネルギーの安定供給が最優先となるのは当然であろう。換言すれば、脱炭素政策は、エネルギー安全保障上のメリットを厳しく求められることになるだろう。

(有馬 純/東京大学公共政策大学院客員教授)

【業界スクランブル/ガス】過熱したスポット市場 米国産が沈静化の鍵

【業界スクランブル/ガス】

中東情勢の緊迫化に伴い、日本でもエネルギー安全保障への懸念が再燃している。しかし、現時点でLNGの安定供給を不安視する声は聞こえていない。ホルムズ海峡通過が必須であるカタールプロジェクトの日本の依存度は輸入量全体の数%程度にとどまり、主力の豪州、東南アジア、米国などからの供給網は安定しているからだ。

一方、日本以外の北東アジア諸国(中国、韓国、台湾)は対照的な状況にある。同諸国は全輸入量の20%前後をカタールに依存しており、物理的な物量確保の危機に直面している。この「不測の事態への備え」がスポット市場を過熱させ、4月上旬時点でアジアの指標であるJKMを昨年同時期の2倍近い20ドル前後と押し上げている。

しかし、この市場のゆがみは、今年以降の米国産LNGの供給力アップによって解消に向かうだろう。米国のLNG事業は、中小規模の設備を短期間で複数立ち上げる機動性に優れており、今年以降これらの新設備が相次いで稼働を開始する。重要なのはその波及効果だ。米国産の多くは、ロシア産の欠落を埋めるべく欧州市場へ向かう。そして、欧州が「背に腹は代えられぬ」として高値で引き寄せていたスポット玉が、再び北東アジア市場へ還流する。この「玉突き」のような需給連動こそが、過熱したJKMを鎮静化する決定打となるはずだ。

米国産の「ホルムズ海峡を通らないLNG」の小刻みな増産の積み重ねで、世界のLNG供給能力が一段階ステップアップする。そして、その柔軟な市場構造と多様な供給網は、さらなる盤石なエネルギー安全保障をわれわれにもたらすことになる。(G)

【ワールドワイド/市場】独で「慣性力」の公募開始 固定価格で収入予見性確保

ドイツの送電系統運用者4社は今年1月、系統安定化に必要な慣性応答サービス(慣性力)を公募する新制度を開始した。再生可能エネルギーの主力電源化、脱原子力、脱石炭の進展に伴い、これまで系統安定を支えてきた同期発電機の減少が見込まれる中、従来は発電設備に内在する機能とみなされてきた慣性力を、市場を通じて追加的に確保する点が特徴である。

ドイツの再エネ比率は50%を超える

慣性力は、需給変動や大規模電源の脱落時に周波数の急変を緩和し、広域停電の発生を防ぐ重要な役割を果たす。ドイツでは連邦系統規制庁が「システム安定性報告書」を公表し、周波数変化率(RoCoF)を一定範囲内に抑えるために必要な瞬時予備力を評価してきた。今回の制度は、こうした分析を踏まえ、系統安定化機能を制度的に確保する具体策として導入された。

調達は送電系統運用者の制御エリアごとに実施し、商品は周波数低下時に働く「上げ」と、上昇時に働く「下げ」に分かれる。さらに可用性(設備が慣性力を実際に提供可能な状態であること)に応じて区分を設け、年間を通じて高い可用性を持つ設備ほど高い報酬を得られる仕組みとなっている。特徴的なのは競争入札ではなく固定価格方式を採用した点で、2~10年の契約期間を設定することで、蓄電池やグリッドフォーミングインバーターなど新技術の参入を促す狙いがある。制度立ち上げ期に価格競争を急げば供給不足や収益不安定化を招きかねず、まずは収入の予見性を高めることを優先した形だ。

なお、火力電源など、慣性応答の主力であった同期電源も調達対象に含まれるが、通常運転に伴う慣性力は送電系統運用者との契約対象とならない。対象となるのは追加で提供される慣性力のみで、同期電源では、フライホイールなどの追加設備の導入や調相機運転によって追加分を確保する必要がある。

欧州では、慣性提供を見据えた大規模蓄電池投資が広がりつつあり、ドイツの新制度は、再エネ大量導入時代に系統安定性をいかに制度的に確保するかを示す先行事例として注目される。

佐藤 愛/海外電力調査会・調査第一部)

【ワールドワイド/資源】DC建設で増加するインフラ投資 米選挙でコスト負担が争点化

米国では、熱狂的な共和党「MAGA派」と、対極にある民主党支持層の中でも攻撃的な、いわゆる「バーニー・ブロ」が、ことデータセンター(DC)に関しては反対で団結するという興味深い現象が観測され始めている。電力料金高騰への懸念から、DC開発計画の一時中断を求めるインディアナ州の市民運動では、党派を超えて広範な支持を集め、「市民」対「ビッグ・テック」という構図が描かれつつある。

選挙では市民とテックが対立

昨年11月に行われたバージニア州知事選でもDCが一大争点となった。インターネット上の70%のデータが通過すると言われるバージニア州では、3期連続で共和党が知事を務めていたが、DCへの「公平な出資」を約束した民主党アビゲイル氏が当選。新知事は12月に電力料金の値上げを許可したものの、値上げ幅を低く抑え、インフラ投資の跳ね返りから一般需要家を保護する仕組みも導入した。

米ポリティコの調査では、電力料金の値上げから守ってくれると、米国民が考えているのは民主党だという(民主党37%、共和党25%)。また、米国民の37%が近隣へのDC建設に賛成で、反対の28%を上回ったが、毎月の電力料金が5ドル上がると賛成は22%程度に下がり、反対を下回る結果が示された。

米エネルギー省は、DCによって2028年までに電力需要が拡大し、米全体の需要の12%を占めると推計している。この需要増は、短期的には安定した電力供給が可能で、比較的クリーンな天然ガスの利用増加につながり、全米の1日あたり天然ガス消費量の7%に相当する60億立方フィート程度が追加的に必要ともされる。その分、CCS(CO2の回収・貯留)などのガス火力関連投資がますます進むと考えられるが、国民へどの程度影響があるか注目である。

今年3月にはトランプ大統領の肝いりで、DC導入による電力料金への影響がないよう「ビッグ・テック」7社が誓約書に署名したが、法的拘束力はない。11月の中間選挙では、DCとエネルギー・コストが一大争点となることは必至だ。

(志賀雄樹/エネルギー・金属鉱物資源機構上席エコノミスト)

【業界スクランブル/新電力】依然として高い事業リスク  多様な選択肢が不可欠

業界スクランブル・新電力】

自由化の進展により、電力事業への新規参入障壁は低くなっているが、参入後の事業リスクは決して低くない。昨今のJEPX価格高騰と需給調整市場の落札動向が、その実例であろう。

JEPX価格高騰は、昨今の中東情勢を反映しているが、先物市場ならともかく、原料のスポット価格高騰が、電力不需要期にもかかわらず、発電原価をはるかに超過する価格となるのは異常だ。

これまでも、電源を持たない新電力は、JEPX価格高騰時には相対契約締結に狂騒し、高騰が去れば市場調達を100%近くまで高めるという一貫性のない調達を繰り返してきた。この状態に業を煮やした当局が一定以上の相対比率達成を義務化したが、そもそも、原料高騰リスクに備えた戦略性ある調達を行うのは事業者としての大前提だ。

また、先月からスタートした調整力一次市場の前日入札により、落札価格のエリアごとの乖離が顕著化した。一部エリアでは早くも系統用蓄電所の投下資金回収が危惧されているらしい。一時の落札価格高騰を受け一攫千金を狙い、蓄電所への投資やアグリ事業に参入した新電力各社の中には、リスク精査が不十分な会社もあったに違いない。

もちろん、新電力にも言い分はある。現状では、電力調達の相対契約の種類が少なく、戦略性ある調達の達成は極めて困難だ。調整力にしても、社会的意義のある新規投資を実現するためには、各エリアの中長期的に必要な調整力を種類別に公表するなど、きめ細かい情報発信が不可欠だ。

新電力各社の多様な選択肢の確保と、適切な情報入手を可能とする施策の実現を、当局に期待したい。(S)

【今そこにある危機】省エネ基準が大幅引き上げ 低価格帯エアコンがなくなる!?

安田 透/日本冷凍空調工業会技術部長

エアコンの大型化・高価格化が避けられそうにない。

ユーザーの買い替え時期や機種選択にどんな影響を与えるのか。

 エアコン2027問題

日本の夏は暑過ぎる。ジメジメと湿度が高く真夏日が何日も続く。休暇など楽しい行事も多い一方で、暑さ対策も忘れてはならない。そこで、今回は夏の必需品とも言える家庭用エアコンについて、話題となっている「エアコン2027年問題」について解説する。

エアコン問題と言っても、家にあるエアコンが使えなくなったり、修理・サービスが受けられなくなったり、販売が停止したりすることはない。

家電量販店にも「2027年問題」の看板が

世の中で2027年問題と言われているのは、経済産業省が定める家庭用エアコンの新たな省エネ基準により、現在の低価格帯エアコンの多くが製造・販売できなくなり、価格上昇や本体サイズの大幅変更が懸念されることだ。家庭用ルームエアコンのみが対象で、一般ユーザーにとって、買い替え時期や機種選びへの影響が大きいと言える。

家庭用エアコンについて、製造者などは省エネルギー法の評価基準である通年エネルギー消費効率(APF)の目標値を順守することが義務付けられている。APFとは1年間で必要な冷暖房能力の総和÷期間消費電力量で表される。例えば、ある部屋を冷房する時、室温を27℃設定にした場合、エアコンは室外機と室内機を回して冷たい風を出す。この時に消費する電力量が小さいとAPFの値が大きくなる。暖房する場合も同様だ。つまり、APFが大きい方が機器としての効率が高く、電気代も安い。APFは省エネ法で目標基準値が定められていて、来年4月に大幅に引き上げられるのだ。

サイズとコストがアップ 「わが家の一台」はどうなる

家庭用エアコンの効率を上げるためには、一般的に二つの方法がある。一つ目は室内機と室外機に搭載している熱交換器の効率を高めることだ。これには熱交換器を大きくすればいい。ただ、銅・アルミなどの材料使用量が増加し、機器に充填する冷媒量も増える。もう一つは、内部部品に用いられるモーターの効率を高めることだ。モーターに高性能な磁性体材料ネオジウムなどを導入する。

ここまで読み進めた読者なら分かると思うが、APFを高くしようとすると、エアコンは大きくなるし、高価な材料を投入することでコストアップにつながってしまう。サイズアップとコストアップ─この二つが2027年問題の本質だと考えている。

話は少し変わるが、皆さんはエアコンを購入した経験があるだろう。最近はメーカー系列の「街の電気屋さん」が少なくなっているので、大型の家電量販店で購入するのが一般的だ。エアコンの販売エリアに行くと、店員が取り付ける部屋の大きさ、予算などを確認しながら商談を進める。

家庭用エアコンは部屋の大きさに合わせて、6畳用から大リビングに対応した29畳用の10タイプに分かれている。現在販売されている約7割が、寝室や子供部屋などに使用する6~10畳用のエアコンだ。例えば10畳用エアコンには、フィルター自動掃除や空気清浄といった機能などが付き、さらに運転効率が高い上級機種と、高付加機能だが運転効率は一般的な中級エアコン、付加機能が全くなく運転効率も一般的な低価格帯エアコンの3タイプに大別される。しかも家庭用エアコンの場合、競合他社も多く、ユーザーは店頭で各社のデザイン、価格などを考慮しながら「わが家の1台」を選択している。

27年4月以降は、運転効率が高い機器しか販売できなくなる可能性が高く、ユーザーが低価格帯のエアコンを選択できなくなるかもしれない。27年向けの新しい省エネ基準に準拠した製品はまだ出そろっていないし、市場価格はあくまでも需給バランスで成り立っているので、一概に単価がどうなるかは断言できない。ただ前述の通り、傾向的に若干の価格アップと大型化の方向に向かう懸念は拭えないかもしれない。

【業界スクランブル/電力】アライアンスは前途多難  “強い東電”復活なるか

【業界スクランブル/電力】

1月に公表された東電の第5次総特の目玉は、「アライアンス」を前面に押し出したことだ。第2次総特で、火力部門の「包括的アライアンス」としてJERAが誕生。第3、4次総特でも個別施策においてアライアンス活用の記述はあるが、めぼしい成功例が見られなかった。

しかし、第5次総特では、冒頭に「再編・統合を含めたアライアンス」による企業価値向上を目指す基本方針が示された。さらに、アライアンスの必要性や具体的方針、提案募集の実施が明記され、従前の計画に比して本気度の高さがうかがえる。

実際に2~3月にかけてのアライアンス提案の募集には、国内外の数十社の応募があったようだ。今後はアライアンス検討委員会で提携先を選定することになる。

だが、問題はこれからだ。応募者には外資も含めたファンドが並ぶが、①短期の収益を期待するファンドが長期目線を含むアライアンスの目的に合致するか、②福島事業推進にリソースを投じる方針と折り合えるか、③FCFの赤字が続く事業収益を改善できるか、④外資系の場合は、コア事業への出資における外為法のハードルを越えられるか―など、具体化には数々の課題がありそうだ。

それでも、東電が本業においても出資を含んだ提携を行うことや、過半の出資比率も必須とせず柔軟化することなどにより、これまでの殻を破る新たな取り組みが行われることは重要だ。それによって強い東電の復活というより、いまだに「保守的」「自前主義」「横並び主義」のイメージが払拭されない「旧一電業界」の革新の嚆矢になることを期待したい。(K)

【ウェブ拡大版:インフラ百年の計 Vol.2】合従連衡か業態の転換か 密度の逆回転が映す都市ガスの未来

巽 直樹  /アクセンチュア 素材・エネルギー本部マネジング・ディレクター

本稿は、2026年5月号に掲載された同名記事の詳細解説版である。誌面版では、都市ガス事業者189者のロングテール構造、販売量が縮む一方でネットワーク維持コストは縮まないというガス事業固有の困難に直面していること、そしてカーボンニュートラル(CN)規制が中小ガス会社にもたらす構造的な圧力を概観した。本WEB版では、ガスシステム改革第2回検証の射程、CN規制と中小の手段の格差、公営ガス民営化の実態、そして中小ガス会社が直面する選択肢とジレンマを掘り下げる。

189事業者のロングテール

都市ガス事業者は、26年4月時点で全国に189者(私営172、公営17)を数えるが、誌面版に記載のとおり、ロングテール構造の産業特性を持つ。需要家件数で見れば、最大規模と最小規模の事業者の間には、実に約1万6,700倍もの規模の格差が存在する(日本ガス協会の資料など)。しかも都市ガスの普及エリアは国土面積のわずか6%にとどまる。各社の導管網はLNG受入基地を起点に扇形に整備されてきたために全国的につながっておらず、電力の送配電網が全国をカバーしていることとは対照的に、ガスの導管網は孤立した「島」が全国に散らばっている。

ロングテールのヘッドを構成する大手は、三大都市圏などに強固な需要基盤を持ち、産業用・業務用の大口需要を擁し、大手新電力として電力小売にも進出して事業ポートフォリオを拡大している。一方、テールを構成する地方の中小ガス事業者は、限られた供給区域のなかで需要基盤が弱い。同じ「都市ガス」でありながら、そこで動いている経済ルールは別物だ。本誌25年5月号の特集「地域エネ衰退の危機」の鼎談で、識者の一人が「都市ガスはある意味LPより危ない」と述べていたのは象徴的である。ボンベで「点」の供給ができるLPガスと異なり、都市ガスは導管という固定資産を抱えているがゆえに、需要が縮んでも身動きが取れない。

折しも、資源エネルギー庁は25年8月に「ガス事業環境整備ワーキンググループ(WG)」を新設し、ガスシステム改革の第2回検証に着手した。改正ガス事業法附則の規定により、27年3月までに改革全体を検証することが求められている。エネ庁はこの検証の視点として「将来のガス需要や社会構造の変化、GX推進への要請等も踏まえた、持続的なガスシステムの在り方」を掲げ、検証資料の各論には「地方ガス事業者の現況」が項目に含まれている。

売上が縮み、ネットワークが残る

中小ガス会社の経営を最も根底から揺さぶっているのは、ガス販売量の構造的な減少だ。先行するのは人口減少である。需要家そのものが減り、空き家が増え、導管網から歯が欠けるように需要が抜けていく。加えて、オール電化住宅の普及、ヒートポンプ給湯器への補助金拡大、住宅メーカーの設計思想の転換などにより、ガスを使わない世帯も増えている。地元のガス会社の先行きに不安を感じる層にとっては、住居の新築やリノベーションを実施する際、電化は無視できない選択肢だ。

売上が減る一方で、地中に埋まった導管網の維持コストは需要家が何件減ろうとほぼ同じだけかかる。膨大な導管の更新投資、保安要員の確保、検針の手間など、販売量が縮んでもネットワーク維持コストは縮まない。ここにガス事業固有の苦しさがある。

需要が減れば減るほど、導管の固定費を回収するために託送料金の単価を上げざるを得ない。しかし料金の上昇はガス離れをさらに加速させ、需要はいっそう縮む。需要減と単価上昇が互いを強め合うデス・スパイラル(悪循環)に陥る。この構造は都市ガスに固有のものではない。電力の一般送配電事業者も、特に低圧の配電網で同じジレンマを抱えることになる。現在の託送制度のもと、人口減少などで需要が縮む地方での固定費回収が困難になるからだ。これらはネットワーク産業に共通の問題でもある。

電化では賄えない熱需要

では、ガス事業が行き詰まった地域のエネルギー需要を、電力会社が電化で引き受けられるか。話はそう単純ではない。日本海側や北海道などの寒冷地では、暖房を中心とする熱需要の非電化部分が全体の相当な割合を占めている。ヒートポンプ給湯器は温暖な地域では高い効率を発揮するが、外気温が氷点下に下がる寒冷地では効率が大幅に低下し、電気代の負担が膨らむ。灯油やガスによる暖房を電化だけで代替するには、技術的にもコスト的にもまだ距離がある。

つまり、「電化が脅威」であることと「都市ガスが不要になる」こととは同義ではなく、導管を維持する意味が残る地域は確かに存在する。しかし、「規模の経済性」に逆らうことは困難であるため、一定の規模を維持できることが条件となる。また、需要家がLPGや灯油などの他のエネルギーを選択できるため、他の商材を併売するなどで「範囲の経済性」に着目する必要もある。「熱需要の基盤インフラ」としての役割を担うための事業構造の再設計が進めば、中小都市ガスの存在意義も残る。このことを経済的に裏付ける仕組みを、自らの手で構築しなければならない。

CNがデス・スパイラルを加速

売上の縮小とネットワーク維持の板挟みに加え、CN達成に向けた排出量削減の要請は、業界全体に等しく課されるが、その要請に応える手段が大手と中小で異なる。大手はeメタンや海外バイオガスの導入で対応することとしている。日本ガス協会は25年6月に「ガスビジョン2050」を策定し、50年にeメタンとバイオガスで都市ガス供給の50~90%を賄うとの目標を示した。30年にはまずガス供給の1%相当のeメタンまたはバイオガスを導管に注入し、5%のCN化を目指すとされている。

だが、新ビジョンについて、経済紙は従来掲げていた非化石比率の目標を大幅に引き下げたものと報じている。残る10~50%は天然ガスをCCUS(CO2回収・利用・貯蔵)やJ-クレジット等でオフセットする想定であり、eメタン単独でCNが成立するとは業界自身も見ていない。eメタンの製造コストは現時点でLNGを大幅に上回り、エネ庁の審議会資料でも30年の目標値ですらLNG価格の2倍を超える水準が示されている。大手が数百億円規模の投資によりプロジェクトを動かそうとしているのは事実だが、それが経済的に自立したビジネスとして成立するまでの道のりは依然として長い。

ましてや、テールの中小ガス会社にとって、eメタンの調達や製造は経営の射程にない。中小が取りうるCN対応は、カーボンクレジットの購入で帳尻を合わせるか、バイオガスの地産地消で少量の非化石比率を確保するのが現実的な上限だ。いずれにしても、売上の縮小とネットワーク維持費の上にCN対応コストが積み重なる構図に変わりはない。

【経済評論】海運会社がなぜ本気に? 洋上浮体型データセンター

【脱炭素時代の経済評論 Vol.26】関口博之 /経済ジャーナリスト

豪華客船が接岸する横浜市の大さん橋ふ頭の先端にその実験装置は据えられている。「再生可能エネルギー100%で稼働する洋上浮体型データセンター(DC)」の実証実験が3月末に始まった。世界初の試みだという。25m×80mのフロートの上に太陽光発電装置と蓄電池、それにコンテナ型サーバーを備え、外部電力は受けずオフグリッドで稼働している。

プロジェクトを主導するのは日本郵船。DCを設計するNTTファシリティーズ、再エネ電力を担うユーラスエナジー、三菱UFJ銀行、横浜市が参画している。

洋上浮体型データセンターのイメージ
提供:日本郵船

生成AIの進展にともなってDCの需要も急増している。総務省は国内の市場規模が2028年には5兆812億円と23年の1・85倍になると予測する。ただ大量の電力を使うため送電網増強の必要性や用地確保が課題になっている。洋上DCと、再エネ電力+蓄電池という組み合わせなら、系統接続を何年も待つことなく早期に稼働できる。電力消費の増大と脱炭素化の両立も可能だし、冷却に海水を使えるのでコストも抑えられる。

実証実験では、洋上特有の揺れや振動の機器への影響、塩害や水分の影響等を検証する。日本郵船では30年前後の商用化を目指すとしている。

フロート型DCは、米カリフォルニア州のベンチャー企業が小規模なものを実用化している。またシンガポールで政府系複合企業が計画しているほか、韓国ではサムスングループが、オープンAIと組んで洋上浮体型データセンターの開発協議に入っている。既に世界が目を向けている。

なぜ海運会社がこれを手がけようとしているのか。日本郵船イノベーション推進グループの大東鷹翔氏は「船は過酷な海洋気象の中、原則電力網にはつながらず365日24時間稼働している。それを当社は900隻余り運航している」という。船には当然、精密機器もありオフグリッドでもある。ノウハウや実績は豊富というわけだ。

同社では将来的には洋上風力を電源にし、DCをその近くに係留する構想、電力の地産地消だ。さらに技術が進めば波力や海水温の温度差、潮流を使った発電など、海に由来する広範なエネルギーの活用も可能と見る。巨大な円柱形のDCには船舶の停泊場所や従事者の居住区域も設けられる予定だという。

海運会社が主導することで、日本の海事産業全体の力を生かす狙いもある。海運だけでなく造船、舶用機器などもこのサプライチェーンに連なることになる。「海事クラスターの新たな市場開拓につなげたい」と日本郵船は意気込む。

洋上浮体型DCが実現すれば海洋国家・日本ならではの新産業になるだろう。ただ現状では具体的な設置場所は未定。同社では打診があれば積極的に関与する方針で、アジアも有望な候補と見る。

ぜひ、グローバル展開も見据えてほしい。ただ弱点は従来のDC業界との接点の乏しさだ。そこを越えるにも、まずは洋上での安定的な稼働、システムの信頼性についてユーザーの確信を得ること、その実績の積み上げから「夢」は始まる。

【コラム】米国の電気料金高騰:2025年の回顧と日本への示唆

矢島正之/電力中央研究所名誉シニアアドバイザー

米国の電気料金は2025年を通して上昇し、メディアはこの問題に注目するようになった。エネルギー問題を超えて政治的論争へと広がり、年央以降は主要メディアによる報道が相次いだ。Reuters(7月9日)、Bloomberg(7月10日)、Fortune(7月10日)、The Daily Mail(7月13日)、NPR(8月20日)、TIME(8月27日)、CBS News(10月27日)、The New York Times(10月30日)、Associated Press(11月8日)、The Wall Street Journal(12月29日)など、多くの媒体が電気料金高騰を取り上げた。

公共料金問題に特化した非営利・非党派団体であるPowerLinesが今年1月に発表した報告書によれば、米国の家庭用電気料金は2021年から2025年にかけて約40%上昇し、2025年(2024年12月〜2025年12月)だけでも約7%の上昇となった。家庭用ガス料金についても2019年から2025年にかけて約40%上昇し、2025年(2024年12月〜2025年12月)だけで11%近く上昇している。2025年の上昇率はいずれも同年のインフレ率3%を大きく上回った。これにより昨年、需要家のエネルギーコスト負担は大きく増加した。実際、電気・ガスの規制料金に関して見ると、昨年、規制当局には全米で83件・総額310億ドルの電気・ガス料金の値上げ申請が提出され、申請額は2024年の総額150億ドルから倍増した。PowerLinesによると、これらの申請が承認されれば、8,000万人以上の米国人が電気・ガスコストの一層の増大に直面することになるという。

電気・ガス料金の高騰が国民生活に深刻な影響を与えていることは、2025年3月28〜30日にPowerLinesとIpsosによって実施された調査でも示されている。調査では、電気・ガス料金を支払う世帯の約3分の2(64%)が前年より請求額が増加したと回答し、同程度の割合(63%)がこれらの料金が家計のストレス要因になっていると述べた。さらに、約半数(48%)が電気・ガス料金の上昇は経済全体にとって悪い兆候であると認識している。また、LendingTreeが米国国勢調査局による世帯の経済・生活状況に関するリアルタイム調査データを独自に解析したところ、電気代支払いのために生活必需品を削った人は34%以上に上った(2024年8〜9月調査)。

さらに、リベラル系シンクタンクであるCentury Foundationと、非営利団体Protect Borrowersが公表したデータによれば、12か月移動平均による季節調整値を用いて2022年3月から2025年6月までの推移を比較すると、家庭用の電気・ガス・その他の燃料に関する請求書を期限通りに支払っている全国の世帯では、平均月間エネルギー費用が196ドルから265ドルへ上昇した。一方、滞納世帯1件あたりの平均滞納額は2022年の597ドルから789ドルへ増加している。中でも、黒人およびアジア系消費者の平均公共料金滞納額は900ドル近くに達し、白人消費者の約750ドルを大きく上回っている。また、2025年6月時点では、全世帯の約20分の1(約1,400万人)が深刻な滞納状態にあり、コレクション(債権回収)に回されていると報告されている。

このような状況を背景に、2025年には、エネルギーコストが政治問題化し、公益事業委員会(Public Utility Commission : PUC)の選挙が注目されるとともに、州知事選や議会選の争点となった(2025年12月12日および2026年1月6日のコラム参照)。エネルギーコストの問題は、さらに、2026年の中間選挙における確実な焦点となると見られている。 PowerLines の事務局長チャールズ・フア氏は、「これを私たちは“電気の新しい政治”と呼んでいます。いまや電気は“新たな卵”なのです」と、今年1月28日の記者説明会で語っている。ここで言う“卵”とは、2024〜2025年に価格が急騰し、食料品の値上がりへの消費者の不満を象徴する存在となった卵のことを指している。

電気料金上昇の主因は、データセンター需要の急増、送電網への大規模投資、天然ガス価格の変動、山火事や冬の嵐といった気候災害などである。EIA(U.S. Energy Information Administration)によると、家庭用電気料金は2026年に5.1%上昇すると見込まれており、2030年に向けても電気料金は確実に上昇する見通しである。その背景には、データセンター需要の継続的な増大、老朽化した送電網の更新や再生可能エネルギー接続に伴う大規模な送電投資、そして再生可能エネルギーの導入ペースと送電網整備のギャップがある。

国際エネルギー機関(International Energy Agency: IEA)は、最新の Electricity 2026 において、2026〜2030 年を「Age of Electricity(電気の時代)」が加速・定着する期間として位置づけている。こうした世界的潮流の中、日本でも生成AIの急速な普及やデータセンター投資の拡大が電力需要を押し上げる新たな要因として顕在化しつつある。企業はクリーン電力の調達、AI向け電力インフラの整備、電化設備への投資を加速させており、2026〜2030 年は、産業構造が、より電力集約型・AI集約型へと転換する節目となるだろう。特に留意すべきは、米国で顕在化している電気料金の高騰である。これは日本にとって“将来の姿”となり得る。電気料金の上昇は国民生活への負担増に直結するだけでなく、社会的関心を高め、場合によっては政治問題化する可能性すらある。したがって、電化とAI需要の拡大を見据えつつ、安定的かつ持続可能な電力供給体制を構築することが、これまで以上に重要な政策課題となる。

【プロフィール】国際基督教大修士卒。電力中央研究所を経て、学習院大学経済学部特別客員教授、慶應義塾大学大学院特別招聘教授、東北電力経営アドバイザーなどを歴任。専門は公益事業論、電気事業経営論。著書に、「電力改革」「エネルギーセキュリティ」「電力政策再考」など。

【今月の話題】国産ガス利用拡大の「夢」実現へ 日高地域沖での開発可能性を評価

JAPEXが日高地域沖で、国産天然ガス開発に向けた試掘調査を進めている。

そのために用船したのが、JAMSTECの地球深部探査船「ちきゅう」だ。

JAPEXが「ちきゅう」で試掘開始

JAPEXは3月25日、北海道日高地域の沖合における国産天然ガス開発に向けた試掘調査を開始した。日高地域の沖合約50㎞、水深約1070mの地点で、深度1800mまで井戸を掘り進め、ガスの賦存量を確認するとともに産出テストを行い開発可能性を検討する。2020年代後半の開発移行判断、30年代半ばの開発投資判断を経て、30年代後半の生産開始を見据えている。

清水港に停泊中の「ちきゅう」

埋蔵されるガスはメタン菌由来であるため、熱量が低い。都市ガスとして利用するためにはLPガスを混合するなどして熱量調整する必要があるが、製造工場などにおける熱源の低・脱炭素化が大きな課題となっている中、そのまま使うことで国産による低廉なガス転換を実現できる可能性は十分にある。日高トラフ試掘場の南潤也場長は、「輸入LNGに代わる国産ガス資源としてゲームチェンジャーになる可能性を秘めている」と期待を込める。

調査のために同社が用船したのは、2月に南鳥島沖の排他的経済水域(EEZ)でレアアースの試掘に成功したことで話題となった海洋研究開発機構(JAMSTEC)の地球深部探査船「ちきゅう」だ。日高沖へ向けた出航を翌日に控えた3月19日、清水港(静岡市)に停泊中の同船が報道公開された。

JR静岡駅から望むことができる掘削やぐら

ドリルピットを海底に降下・回転させるためのドリルパイプ

船の全長は210m、中央部にある掘削やぐらは船底から130m(30階建てのビル相当)の高さがあり、近づくとそのスケールの大きさに圧倒された。デリックには、約10mのドリルパイプが4本つながれた状態で立てかけられ、今回の調査ではこれを25本ほどつなぎ、ドリルビットを降下・回転させて海底に井戸を掘っていくという。

JAPEXによるちきゅうの用船期間は75日間。新たな可能性への期待を背負い、5月下旬まで調査は続く。

【ヒット商品・技術の舞台裏】電気のクリーンさを訴求 厨房内の環境改善に貢献

機器や厨房内環境の管理制御が容易で清潔さが売りの電化厨房。

昨今では大量調理の現場や省人化のニーズを満たしている。

 日本エレクトロヒートセンター 電化厨房

2000年代初めに登場した家庭用のオール電化機器と平仄を合わせる形で普及し始めたのが、業務用の電化厨房機器だ。電力会社とメーカーがコラボした技術開発が進みIHコンロ、フライヤー、ヒートポンプ給湯機(エコキュート)など幾多の業務用機器が現れた。外食産業企業とタイアップしてファミレス店舗仕様の機器も生まれた。電力会社による厨房向けの割安な電化料金戦略と絡めて電化厨房の存在が大きくなった。ガス厨房が当たり前だった世界に風穴を開けた瞬間でもあった。

普及のトリガーになったのが、1996年に大阪府堺市の小学校で発生したO157(腸管出血性大腸菌)事故による食中毒対策だ。

省力化を実現するニュークックチルの「再加熱カート」

コンセプトは3C 給食センターで普及

学校給食が原因となり、千人単位の被害者を出したこの事故によって、厨房内の衛生環境を整備する取り組みが生まれた。頭文字から3C対策と呼ばれることになるクリーン(清潔)、クール(冷涼)、コントローラブル(制御)を適切に管理して事故を未然に防ぐ。そんな流れの中で、火を使わないため厨房内の温度上昇を抑制し、燃焼排気を出さないため空気を汚さないなどのメリットを持つことから電化厨房が注目され始めた。

とりわけ食材の温度や調理時間を制御する「TT管理」は、食品衛生管理の国際手法である「HACCP(ハサップ)」と相性が良く、正確な調理のマニュアル化を容易にした。

日本エレクトロヒートセンターの関係者は「東日本大震災によって普及の勢いは衰えたものの、昨今では安全で大量に調理する必要性のある現場で電化が増えている」と話す。例えば、自治体の合併や生徒数の減少で小学校や中学校が統廃合される中で誕生している学校給食センターは、学校向けに一カ所で一度に千単位の食事を大量生産する必要がある。安全性と効率性が重視されるこうした大規模施設で、ニーズが高いそうだ。

加えて、昨今では人手不足や労働力の多様化という視点とも電化厨房は親和性が高いという。「経験の浅いスタッフや外国籍の労働者が増える中で、ボタン一つで設定通りに調理できる。調理マニュアル化と教育コストの低減に直結する」(同)

九州電力の業務用電化厨房体験施設「eキッチンスタジオ福岡」

換気基準などを定める建築設備設計基準

換気基準の緩和 省エネへの貢献

電化と換気の関係にも触れておきたい。電力業界は、公共建築物において基準が定められている換気量にも注目した。「理論上、電化厨房は燃焼排気が出ないため、換気量を減らせる。業界は実証試験を繰り返し、電化厨房であれば換気量を削減し適正な厨房環境を維持できることを証明してきた」(同)

これによって公共建築物に対する換気容量に関する基準が改正されてきたこともポイントの一つとなった。換気容量を抑えることは、結果的に空調負荷やランニング費を低減させ、設計上のメリットになった。

最新のトレンドとしてはニュークックチルの「再加熱カート」が注目されている。チルド状態で食事を盛り付けし、提供の直前に再加熱する新しい調理システムだ。一つのトレーに「温かい料理」と「冷たい料理」が混在していても、温めるべき部分だけを加熱できる。病院や高齢者施設では、調理スタッフの確保が困難だ。タイマーで自動再加熱して提供するこうしたスタイルで省人化を実現することも電化厨房ならではの特徴である。

長期は脱炭素に邁進、再エネ巡る課題を着実に解決

【巻頭インタビュー】石原宏高/環境相

イラン有事で足元は脱炭素に逆行する策が取られる中、気候変動対策の機運をどう高めるのか。

また再エネ規制強化やパネルリサイクルなど注目政策の方向性について、石原環境相に聞いた。

いしはら・ひろたか 1964年神奈川県生まれ。88年慶応大学経済学部卒、日本興業銀行入行。2005年衆議院議員総選挙初当選(東京都第3区)。党環境・温暖化対策調査会事務局長、衆院環境委員長などを歴任。25年から現職。

 ―イラン戦争を受け、エネルギー資源の供給確保・価格高騰が世界的な課題です。

石原 政府としては、燃料油や石油製品について日本全体で必要量は確保できていると認識しており、代替調達も進めています。さらに、原油価格の高騰を踏まえた緊急的な激変緩和措置を講じたところです。

他方、非効率石炭火力の稼働抑制措置を1年間実施しないことについては、短期的にはやむを得ないと思っています。地球温暖化対策計画の進捗に影響するかもしれませんが、長期的に2050年ネットゼロを目指す姿勢は変わりません。

CO2削減が着実に進展 24年度は10億t切る

―昨年末に終了した燃料油補助金が復活し、もはや短期対策とは言えない状況かと思います。

石原 4月14日に公表した24年度のわが国の温室効果ガス排出量を見ると、23年度比1・9%減。当時、燃料油以外に電気・ガスへの補助も一時行っていたのに、13年度以降の最低値となり、初めて10億tを切りました。背景には製造業の生産量減少もありますが、再生可能エネルギーや省エネの着実な進展が数字に表れています。政府としては過度な消費抑制を呼び掛けるより、経済を悪化させないことが重要と考えます。

―イラン戦争前からグリーンシフトの難しさが露呈し、50年までの1・5℃目標達成は不可能と指摘する声が増えています。

石原 そうした状況は認識していますが、引き続き気候変動問題は人類共通の重要な課題です。わが国としては昨年2月に1・5℃目標と整合的で野心的なNDC(国が決定する貢献)を提出し、政府一丸となり脱炭素と経済成長、エネルギー安定供給の同時実現を目指すGXを推進しています。また、イラン有事は脱炭素にとって苦しい局面であると同時に、再エネや蓄電池、EVなどがもっと普及していれば影響を軽減できたという見方もあります。

そうした中、日本政府としてはASEAN諸国と共同で、脱炭素と経済成長の同時実現に向けたレポートを作成する予定です。足元では米国がパリ協定から脱退し、先進国と途上国の利害対立が続いていますが、多くの国から信頼を得ている日本の立場を生かし、橋渡し役を務めていきます。

―今年度からGX―ETS(排出量取引)が本格始動するなど、ネットゼロに向けて国民負担が増していくことへの理解をどう求めていきますか。

石原 それは難しい問題ですね。ただ、気候変動に伴う災害の拡大を食い止めるために、ある程度のコスト負担は必要になるという考え方はできます。また、EUはCBAM(炭素国境調整措置)を今年1月から本格実施し、英国も導入予定で、他にも自国版CBAMを検討中の国があります。日本企業の競争力を損なわないために、これらと平仄を合わせる意味でもETSは必要な政策です。

パネル再資源化法案を決定 規制強化は着々と実施

―4月3日、紆余曲折を経て、太陽光パネルのリサイクル推進法案を閣議決定しました。

石原 昨年3月の中央環境審議会の意見具申では、全てのパネルのリサイクルを義務付け、製造業者や輸入業者にその費用負担を求めるものでしたが、処理体制やコスト負担の公平性の面で課題がありました。今回の案では実効的な制度とすべく、大量廃棄する太陽光発電事業者に対して、国が求める判断基準に基づくリサイクルの実施に向けた取り組みを義務付けます。社会全体でリサイクル費用の抑制を図りつつ、処理体制を構築し、実態を踏まえながら段階的な規制強化を検討していきます。

民間でも前向きな動きがあり、九州電力や北海道電力、AGCなどはパネルのリサイクルに本腰を入れています。また、リサイクルをしなければ国内でアルミなどの資源調達に支障をきたすとの危機感を持つ経営者もいます。

―再エネ関連では昨年末、規制強化に向けた対策パッケージが示されました。

石原 再エネ導入に当たっては地域との共生や環境への配慮が大前提です。環境省としては、まず環境影響評価法に基づく環境アセスメントの対象見直しなどに向け1月に検討会を立ち上げ、今国会中に方向性を取りまとめる予定ですし、種の保存法に関しては今夏めどで取りまとめを行う方針です。動向が注目された北海道の釧路湿原については、国立公園の区域拡張に向けて関係者との調整を進め、今年度中の実現を目指しています。

また、3月には環境配慮契約法の基本方針を変更し、国などの再エネ電気調達において、地域と共生が図れない発電施設からの調達を避ける旨を織り込みました。私個人としても需要側や金融機関に対して同様の配慮を呼び掛けているところです。

―目標選定数に達した脱炭素先行地域の今後の方向性は?

石原 2月までに102提案を選定しました。24年度末までに実施された事業で、約7・58万kWの新規再エネが導入され、民生部門の電力由来のCO2排出量が約37・5万t削減されるなど、定量的な成果が出始めています。一方、住民との合意形成や専門人材の不足といった課題に直面している地域があることも事実です。提案いただいたさまざまな取り組みを実現していくため、引き続き丁寧な伴走支援を行っていきます。そして今後は先行地域の成果を整理・分析し、全国展開していくことが重要となります。

【論説室の窓】データセンターの国内整備 求められる地域共生と地方分散

水上嘉久 /〈読売新聞〉論説委員

データセンターの無秩序な集中は地域の摩擦を生み、持続可能性を損なう。

地域との共生と地方分散を軸に戦略的に整備し、日本の成長につなげたい。

AI(人工知能)があらゆる産業やサービスの競争力の源泉となり、データセンター(DC)の建設が世界的に活発になっている。文章生成や画像解析、創薬、自動運転など、AIの応用範囲は急速に広がり、それを支える膨大な計算処理の需要が爆発的に増えているためだ。

DCは、インターネット検索や動画配信、クラウドサービス、さらにはAIの学習や推論処理に必要なデータの保管と計算を担うサーバーを集中的に収容する施設である。

外見は倉庫のようでも、内部では数千から数万台ものサーバーが24時間稼働し続け、膨大な電力を消費しながら情報処理を行っている。デジタル社会の基盤そのものと言える。

米国ではアマゾン、グーグル、マイクロソフトといった巨大IT企業が主導し、昨年3月時点でDCは約5400カ所に上り、圧倒的な優位を築いている。これに対し日本は約220カ所にとどまり、米国の4%程度に過ぎない。

市場の拡大も著しい。世界のDC市場は2024年に約4200億ドルと見込まれ、29年には約6200億ドルに拡大すると予測されている。

AI需要の拡大に加え、企業のクラウド移行やデータ利活用の進展が背景にある。

データセンターは地域との調和が課題だ

立地は著しく東京圏に偏在 住宅地近くでは反対運動も

日本のDCは都市圏に著しく偏在している。東京圏で全国の6割、大阪圏で2割を占め、合わせて8割を超える。データのやり取りでは、距離が長くなるほど通信の遅延が増えるため、企業の本社機能や利用者が集中する都市部に近いほど利便性が高いとされる。

また、保守・運用人材の確保のしやすさ、国際通信を担う海底ケーブルの陸揚げ局への近さといった要因も重なる。そのため、中心地からおおむね50㎞圏内の立地に対する需要が極めて高いという。

こうした中、千葉県印西市は、強固な地盤や比較的低い災害リスクを背景に、外資系企業などのDCが集積し、「データセンター銀座」と呼ばれるまでになった。固定資産税収の増加や関連企業の進出など、自治体にとっても魅力は大きく、各地で誘致競争が激化している。

DCは、AIの開発力や産業競争力を左右する存在となりつつある。国内に十分な計算資源を確保することは、自国のデータを自国で管理する「データ主権」の確立にもつながる。米国が先行しているとはいえ、日本も整備を進めていくべきなのは論をまたない。

しかし、急速な整備の裏で課題も顕在化している。最大の問題は、電力消費の大きさである。大規模DC1施設で数十万世帯分に匹敵する電力を消費する場合もあり、地域の電力需給に影響を与えかねない。

さらに、サーバーの発熱を冷却するための設備が稼働し続けることで、騒音や排熱への懸念も生じる。

こうした事情から、近年は住民との摩擦が目立つようになった。首都圏では適地不足により、従来の工業地域だけでなく住宅地に近い郊外にも建設が及び、生活環境への影響を懸念する声が強まっている。

東京都昭島市や日野市、千葉県柏市や流山市などでは反対運動が起き、流山市では、事業者による建設計画が頓挫する事態にもなった。

印西市の千葉ニュータウン中央駅前で計画されているDC建設を巡っては今年3月、近隣住民が建築確認の取り消しを求めて提訴している。用途地域内で禁止されている「工場」や「倉庫」に該当するのではないかという法的争点も浮上しており、建築基準法で明確な定義がないDCの位置付けが問われている。

地域とのあつれきがこれ以上深まれば、DC整備は停滞しかねない。東京都が同月、環境配慮や地域調和を求める指針を策定したのは一歩前進と言えるが、国も関与し、全国的なルール整備に乗り出すべきである。

事業者には、騒音対策や景観配慮、排熱利用などの取り組みを求めるとともに、地域住民への説明を丁寧に行ってもらう必要があるだろう。

一極集中は災害時にリスク 発電設備と近接して地方に

同時に、立地のあり方も見直さねばならない。東京圏への一極集中は、大規模な自然災害が発生した場合、国全体の情報通信サービスが機能不全に陥るリスクがある。地方分散を本格的に進めることが不可欠だ。

DCは電力と水を大量に消費するため、発電設備と近接させることで効率的な運用が可能となる。北海道や九州など、再生可能エネルギー資源が豊富で土地に余裕のある地域では、太陽光や風力、水力と組み合わせた立地が現実的な選択肢だ。

実際、北海道は冷涼な気候を生かし、冷却コストを抑えられる強みを前面に打ち出して誘致を進めている。

こうした地域では、DCを核に関連産業の集積が進み、雇用の創出や税収増といった経済効果も期待できる。地方創生の観点からも意義は大きい。

経済産業省が進める「GX(グリーン・トランスフォーメーション)戦略地域」の取り組みも注目される。DCはコンビナートの再生や脱炭素電源と並ぶ中核分野と位置付けられており、選定された自治体にはインフラ整備の支援が行われる。

自治体は短期的な誘致競争にとどまらず、地域のエネルギー戦略や産業構造と一体で検討を進めるべきだ。

電力消費を抑制することも欠かせない視点だ。政府は29年度以降に新設されるDCに、省エネ基準の達成を義務付ける方針だ。冷却方式の高度化やAI半導体の省電力化などが求められよう。NTTが研究開発を進める次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」の省電力技術も期待される。

DCは、デジタル社会の競争力の鍵を握る重要なインフラである。「迷惑施設」とならぬよう、地域との信頼関係の上で着実に整備していきたい。

【コラム】日本エネルギー外交の方向転換

杉山大志/キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

2月28日の米国・イスラエルのイラン攻撃に端を発したホルムズ海峡危機によって、日本のエネルギー外交に、明確な変化が起きている。

従前の日本政府の国際エネルギー協力と言えば、「脱炭素」「トランジション(移行)」「水素」「アンモニア」「再生可能エネルギー」といった言葉が前面に出ていた。もちろん、これらは政策文書から消えたわけではない。だが最近相次いで発表された国際合意や共同声明を見ると、重心は明らかに移っている。

新しい主役はエネルギーの安定供給である。しかもそれは、抽象的な言葉に留まらない。LNG、石炭、液体燃料、原油、石油製品、備蓄、製油所、重要鉱物、政府系金融機関による融資・保険といった、極めて具体的な項目が並んでいる。

化石燃料は「安全保障物質」 日豪共同声明などで明示

象徴的なのは、5月の日豪合意である。外務省によれば、日豪首脳会談では「経済安全保障協力に関する日豪共同宣言」と、その下での重要鉱物およびエネルギー安全保障に関する二つの共同声明が歓迎された。両首脳は、重要鉱物のサプライチェーン強靱化と、双方向の安定的なエネルギー供給の確保を、「パワー・アジア」の枠組みも含めて連携していくことを確認した。(外務省)

とりわけ注目すべきは、「エネルギー安全保障協力に関する日豪共同声明」である。同声明は、日豪両国がエネルギー資源に係る貿易とサプライチェーンの強靱化に取り組むと明記している。そのうえで、LNG、石炭および液体燃料を含む「必要不可欠なエネルギー物資」の両国間における流通を支援するとしている。

これは、かなり踏み込んだ表現である。これまでの脱炭素中心の外交文書では、石炭は削減対象として扱われることが多かった。液体燃料も、将来的に減らすべきものとして語られがちであった。ところが今回の日豪共同声明では、LNG、石炭、液体燃料が、安定供給を支える「必要不可欠なエネルギー物資」として明記された。これは単なる言葉遣いの変化ではない。化石燃料を「悪」として排除するのではなく、国家と産業を支える安全保障物資として扱うという、その位置づけの根本的な転換である。

この変化は日豪関係だけにとどまらない。4月には、高市早苗首相が「アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ」、通称「パワー・アジア」を発表した。外務省の説明によれば、これは原油・石油製品などの調達やサプライチェーン維持のための緊急対応、さらにアジア域内の原油備蓄日数の拡大、備蓄・放出制度の構築、備蓄タンクの建設・利用、重要鉱物の確保、バイオ燃料、省エネなどを含む構造的対応に取り組む枠組みである。総額約100億ドルの金融協力を行い、原油・石油製品に換算すれば最大約12億バレル、ASEANの約1年分の原油輸入にも相当するという。(外務省)

経済産業省も同じ趣旨をさらに実務的に説明している。パワー・アジアでは、アジアにおける原油・石油製品などの調達やサプライチェーン維持のため、JBIC(国際協力銀行)やNEXI(日本貿易保険)による金融面での協力を行う。経産省は、この枠組みを活用し、日本による重要物資の安定調達に向けて、アジアのサプライチェーン強靱化に努めるとしている。(経済産業省)

新たな国際連携の形 きれいごとから脱却

これは従前から続けられてきた「途上国支援」政策とは性格を異にする。もちろん、アジア諸国のエネルギー供給を支える意味はある。だが同時に、日本にとっても極めて実利的な政策である。アジア各国の製造業が燃料不足で停止すれば、日本向けの部品、医薬品、工業製品の供給も途絶える。つまり、アジアのエネルギー供給を支えることは、日本自身の経済安全保障を守ることなのである。

実際のところ、日越首脳会談では、パワー・アジアの初の案件として、ベトナムのニソン製油所の原油調達について、NEXIを通じて支援する方向で一致した。さらに、ベトナムのレアアースを含む重要鉱物サプライチェーンの強靱化でも連携することが確認された。(外務省)

製油所の原油調達を支援すること。これは、従来のきれいごとばかりのエネルギー外交とはまったく違う。製油所を動かし、原油を確保し、石油製品を供給し、サプライチェーンを維持する。これが危機時に必要な現実の政策である。

重要鉱物でも同じ構図が見える。日豪の経済安全保障共同宣言は、レアアースを含む重要鉱物が先端技術や産業投入財に不可欠であるとし、オーストラリアの重要鉱物戦略備蓄制度を、サプライチェーン多角化のための重要な取り組みと位置付けた。また、レアアース、ガリウムなどを含む豪州の重要鉱物プロジェクトへの日本企業の参画には戦略的価値があるとし、JOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)、JBIC、豪州輸出金融公社など政府系機関の役割も明記している。

日加関係でも同じ流れがある。3月の日加首脳会談では、日カナダ関係を「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げすることで一致した。経済面では、LNGカナダのアジア向け生産開始や、オンタリオ州でのSMR(小型モジュール炉)の建設開始が歓迎された。さらに、重要鉱物などの輸出規制への懸念が高まる中で、重要鉱物を含むサプライチェーン強靱化の連携強化でも一致した。(外務省)

多国間の枠組みもこのような二国間関係と同じ方向性を打ち出している。3月のホルムズ海峡に関する多国間共同声明は、イランによる商業船舶や石油・ガス施設を含む民間インフラへの攻撃、そしてホルムズ海峡の事実上の閉鎖を非難した。また、世界のエネルギー供給網の混乱が国際的な平和と安全への脅威であるとし、IEA(国際エネルギー機関)による戦略石油備蓄の協調放出を歓迎し、産油国と協力した生産増加を含む市場安定化策にも言及している。(外務省)

軸足は安定供給に 国内政策見直し待ったなし

以上の動きは、緊急的な対応に基づくボトムアップ的なものであり、トップダウンの方針転換ではない。だがそこから立ち現れる全体像はいまや明らかである。日本は、エネルギー外交の軸足を「脱炭素」から「安定供給」へ移している。

もちろん、政府文書から脱炭素という言葉が完全に消えたわけではない。日豪共同声明にもエネルギー移行やエネルギー効率化は残っている。パワー・アジアにもバイオ燃料、省エネ、次世代エネルギーの要素は含まれている。だが、それらはもはや脇役になっている。原油、石油製品、LNG、石炭、備蓄、製油所、重要鉱物、金融支援など、あらゆるエネルギー安定供給の推進(“all of the above”)における一要素に格下げされたのである。

エネルギー政策は現実的なもの(“realistic energy policy”)になった。

エネルギー政策の本来の目的は、国民生活と産業活動を支えることである。電気が不足し、燃料が届かず、工場が止まり、物流が滞れば、脱炭素どころではない。供給安全保障を犠牲にしてまで追求すれば、それは国民を貧しくし、国家を脆弱にする。

近年の日本では、化石燃料を持つこと、使うこと、投資すること自体が悪であるかのような議論が横行してきた。その結果、LNG長期契約、石炭火力、石油備蓄、製油所、原子力、重要鉱物の確保といった、国家の生存に関わる論点が、しばしば脱炭素の下位に置かれてきた。

だが、国際情勢はそれを許さなくなった。中東危機、海上交通路の脅威、重要鉱物の輸出規制、アジアの燃料不足、サプライチェーンの寸断リスクなど、これらは全て日本にとって、抽象論ではなく、目の前の危機である。

一連の国際合意は、日本政府がようやくこの現実を正面から認めるようになったことを示している。化石燃料を忌避するのではなく、必要なものは確保する。資源国とは長期的関係を強める。アジアの燃料供給を金融で支える。重要鉱物は同志国と組んで備蓄し、加工し、投資する。これは本来あるべきエネルギー外交である。

今後問われるのは、国内政策との整合性である。国内政策も、国際情勢の変化を踏まえて変わらねばならない。

国際的にはLNG、石炭、液体燃料、原油備蓄、重要鉱物を安全保障物資として扱いながら、国内ではなお脱炭素の名の下に火力発電や化石燃料インフラへの投資を抑制するなら、政策は矛盾する。日本国内でも、石炭火力の維持拡大、原子力再稼働、石油調達の強化・多様化、石油備蓄の強化、製油所機能の維持、重要鉱物備蓄の拡充等を、エネルギー政策、ひいては国家安全保障政策として、正面から位置付けるべきである。

エネルギーはきれいごとでは動かない。外交文書の文言は急速に現実に近づいている。喫緊の課題は、国内のエネルギー政策も現実的なものにすることだ。

【プロフィール】1991年東京大学理学部卒。93年同大学院工学研究科物理工学修了後、電力中央研究所入所。電中研上席研究員などを経て、2017年キヤノングローバル戦略研究所入所。19年から現職。慶應義塾大学大学院特任教授も務める。近著に『データが語る気候変動問題のホントとウソ』(電気書院)。最近はYouTube「杉山大志_キヤノングローバル戦略研究所」での情報発信にも力を入れる。