〈メディア人編〉大手A紙・大手B紙・大手C紙
電撃解散の結末は与党の歴史的勝利だった。強力な与党復活でどうなる日本!?
―衆議院選挙は自民党の超圧勝に終わったが、なぜここまでの強風が吹いたのか。
A紙 選挙の推し活化は最近のトレンドで、前回の参院選では参政党、その前の衆院選では国民民主で、今回はその究極形だった。一方、120も議席を減らした旧立憲民主は負けるべくして負けた。野田佳彦氏は、昨年の首班指名選挙が勝負どころだったのに、手を打てなかった。
B紙 読売に解散をリークした時に勝負は決していた。推し活という意味では、中道改革連合代表が70歳前後の二人で、言い方は良くないが見劣りは否めない。さらに中道の演説にいたのは公明側だらけで、立憲側は何をしていたのか。ただ、公明がしんどいのはむしろこれから。創価学会は中道設立をOKしたが、今後イザコザが起きそうだ。
C紙 上層部に一般学会員が振り回される状況が当分続くのかも。立憲のピークは結党時だったね。希望の党に左派が排除され、謎の期待感があったが、対自民で虚像が膨らんだだけ。実は立憲が勝った選挙はなく、自民が大敗した昨年の参院選も現状維持に甘んじた。結局、コア支持層がそれほどいなかった。
A紙 それにしても、鉄の結束といわれる学会票はあまり機能しなかった。公明は一枚岩ではなかった。
C紙 そうかな。公明支持者の7~8割は今回中道に入れたとの分析がある。また「ランナーが3塁にいなければ点は入らない」なんて野球に例えた評もあったが、まさにその通りだ。一方、高市早苗首相は他党の悪口を言わず、現場も公明批判しないよう徹底していた。また、自民は都心部などの層にリーチさせる戦略を重視し、ユーチューブの広告では選挙区ごとの候補者がばんばん出てきた。
A紙 自民のうまさが光ったね。SNS戦略も、写真集のような政策集も、高市首相を全面に出して政策の話にさせなかった。
B紙 また、投票率が割と高く、期日前は過去最多に。リベラルの「投票率が上がれば自分達に有利」という主張は崩れ去った。
衝撃だった情勢調査 朝日のすごさ際立つ
―その他の党はどうか。
B紙 差別化に成功したのがチームみらい。デジタル化などの即時変化が期待され、多くの票が入った。あおりを食ったのが参政と国民だ。参政は踏ん張ったが、神谷宗幣代表は「SNSで目立っていない」と吐露し、これまで意識的に炎上させていたことがよく分かる。他方、国民の玉木雄一郎代表は株を下げた。ネット受けを意識しすぎ、着実に数を取りに行くための地道な努力をしていたのか疑問。今後野党をまとめ切れるのか。
そして、今回はあおりやフェイクが前回より目立たなかった。アルゴリズムの変化かも。だから、敗因の一つにSNSを挙げた安住淳氏はおろかだ。
C紙 それにしても、情勢調査の数字には恐怖すら覚えた。本来立憲に乗るべき数字が乗っていないし、公明支持者は調査に答えないとも聞き、本当にひっくり返されないのか、当日午後8時になるまで信じられなかったよ。特に1週間前に「自維で300議席超うかがう」と打った朝日は勇気がある。
B紙 朝日の調査はすごい。選挙区ごとに序盤から公開し、楽しませるコンテンツを提供した。本当かと思う区もあったが、結果はほとんど当たりだった。
A紙 ところで、日経は元々財政規律派だが、珍しく高市首相を痛烈に批判していた。また、首相の円安への認識に対し、みずほ銀行が出した「高市演説を受けて~危うい現状認識~」と題したレポートも話題に。それほど経済界やマーケットの危機感が大きいということだ。
―エネルギー的な注目エリアは何といっても新潟。前回立憲が全議席を取ったが、今回は自民が独占した。他方、福井2区は斉木武志氏が当選し、波紋を広げそうだ。
C紙 斉木氏が自民の追加公認を受けたが、地元は大反発している。ただ、これまでも同様のケースでは党籍を別の地域で預かり、いくつか選挙をガチンコでやって水に流す、といった手法を取ってきた。今回もあまり気にしなくてよいと思う。
「国論二分」への挑戦 ワンマンプレーの懸念
―数の力を得た高市首相は国論を二分する政策への挑戦を口にしている。
B紙 参院で単独過半数に達していない状況での憲法改正は信じがたい。本丸の9条改正は難しく、何を柱にするのか。
A紙 安保三文書の改定や、海外からは武器輸出の5類型の撤廃が期待されている。問題になりそうなのが、財界が求める労働規制の緩和。ワークライフバランス重視から逆戻りしかねず、少子化にも関わってくる。
B紙 前回見送った改正労基法案を年内どこかで提出するのか。一般への影響が大きい内容だ。そう考えると、憲法改正を言っている暇はないのでは?
C紙 今のところ2027年4月に統一地方選、28年夏に参院選が予定され、実はあまり時間がない。高市ファンに受けが良い政策議論を、選挙のカレンダーを引きながらどう進めていくのか、戦略を立てられる人材が安倍官邸と比べたら少ない。
A紙 高市首相は役人レクが入りにくいことで有名で、今後その傾向がさらに加速しそうだと役人が気にしている。さらに党内にも今まで以上に話を通さないようになることが危惧される。
―高市首相が仲良しの伊メローニ首相を見習い、現実路線も見据えてほしいものだ。