理由1は、“Well to Wheel”という表現でよく評価されている。これは、「井戸から車輪」という意味である。つまり、採取した原油のエネルギーが自動車の車輪の駆動に使われるまでのプロセスを全て考慮して、その過程での二酸化炭素の総合的な排出量を評価する手法を言う。
Well to Wheelでの炭酸ガスの総合排出量の比較 出典:「総合効率とGHG排出の分析報告書」(財団法人日本自動車研究所、2011年3月)をもとに資源エネルギー庁作成、の抜粋
図に資源エネルギー庁が公表しているWell to Wheelでの各種動力源を持った自動車の炭酸ガス総合排出量の比較を示す。この図から、1km走行当たりの炭酸ガス排出量は、BEVで77g、HEVで95gとなっていて、東日本大震災以降の電源構成ではBEVはHEVと比べて17.1%の削減量となっている。すなわち、BEVが炭酸ガスを全く排出しないクリーンな乗り物であるという考えは、まったくの妄想であり、HEVと2割も変わらないのが事実である。
関電不動産開発はこのほど、「関電不動産渋谷ビル」をオープンした。地上12階、地下1階の同ビルはセンサーによる照明・空調の自動制御などとともに、全消費電力に再エネ由来の環境価値を付加した関電エネルギーソリューションの環境価値電力プラン「Kenes Green Supply 」を導入することで、ビル全体のゼロカーボンを実現。
A LPガスの商取引を巡りさまざまな困難な課題がある中で、今回の省令改正に至るまでのプロセスはあくまでも改革の第一歩であり着地点ではない。戸建ての無償配管問題の議論が先送りされたことは大きな課題だし、改正省令案で罰則を含む義務・規定が制定された項目がある一方で、情報開示については罰則なしの努力義務にとどまってしまった。さらに対象は新規契約だけで、既存の契約者をどう守るのか見えてこない。消費者団体は「消費者被害」と呼んでいるが、資源エネルギー庁もLPガス業界も、一連の議論の中で消費者に不利益な点があることを認めていた。それにもかかわらず、新規よりも圧倒的に多い既存契約について不利益を放置してしまうのは納得いかない。期限を設け、既存契約も新規と同様の扱いにしていただきたいと考えている。
液石法省令改正は競争の構図をどう変えるのか
B エネ庁がよくここまで踏み込んだなというのが率直な感想だ。17年の省令改正で三部料金制などを努力義務として求めたが、事業者が全く対応しなかったということもあって、エネ庁が重い腰を上げ罰則規定も辞さない省令改正に踏み切った意義は大きい。最も評価しているのは、国土交通省や公正取引委員会など他省庁に協力を働き掛けたことだ。業界側は、間違いなく17年改正時よりも緊張感を持って受け止めているし、きちんと取り組もうとする動きが以前よりも出てきている。
C 前回の省令改正から見れば、大手のニチガスとTOKAIをWGに呼んで話を聞いたことを含め本当に大きく踏み出したと思うし、どこまで実効性が確保できるかに注目している。というのも、3月10日までWGの中間取りまとめと省令改正案に関するパブリックコメントが実施され、いよいよ4月に公布されるのを前に、一部事業者が集合住宅の契約切り替えを盛んに行っていると聞く。エネ庁はそれにどう対応するのか。3月中に見せしめのような対応をするのではないかという噂もあったが、そのような動きもないし、実効性については試行錯誤が続くのかな。