A 第1弾で三菱商事グループが勝利したスキーム、つまり、コーポレートPPA(電力購入契約)で需要家を確保した上で、再エネFIT(固定価格買取制度)には頼らない形と同様の構造が今回も見られた。今回からFIP(フィードインプレミアム)価格となり、3地点のうち秋田と新潟の落札者は、「ゼロプレミアム」(FIP基準価格を1kW時当たり3円とし、市場価格と乖離した分のプレミアムがほぼ期待できない水準)で札入れし、価格点満点を確実に取りにきた。勝者の顔ぶれをみると、30万~70万kW級の大規模事業になることから、資本力のある大手が並んだ。またPPAを念頭に需要家との接点がある旧一般電気事業者が多い点も目立つ。ただ、こうした結果は特に驚くものではない。
B 想定通り、まずはゼロプレミアムで札入れできるか、その上で定性点での戦いとなった。個別の印象として、秋田では特に第1弾を取れなかったJERAで「何としても実績をつくる」という姿勢を感じたし、それをけん引できるタレントぞろいのコンソーシアムを組めたことが勝因だ。
C 私も落札者などの顔ぶれは予想通りだったが、特にJERA陣営が運開時期を攻めた点が気になった。リスクを承知でどの計画よりも早い2028年6月末としているが、工程が全てかみ合わなければ即遅れにつながる。勝負に出たなと感じた。
B JERA陣営は、工事拠点として同じ秋田港を利用する、三菱商事陣営が第1弾で落札した由利本荘市沖の事業の着工前に工事を終わらせる、というチャレンジングな計画とした。不安材料は認証プロセスに要する時間が読めないことで、風車の先行発注などのリスクを取らざるを得ない可能性がある。ただ、JERA側の計画が遅れても、最終手段として商事側へ対価を払い港湾の使用について調整する手もある。
C 新潟では、RWEの陣営が勝った点が良かった。今回も外資ゼロなら、日本から外資勢が撤退しかねなかった。
B 特に事業の実施能力で満点を取ったことに驚いた。RWEが貢献したとみていいだろう。これは同社の日本市場へのコミットの高さの現れだ。他方、ほかの外資も同じように戦えるかというと、そう簡単にはいかない。
C RWEは本国の優秀なメンバーが地元対策も手掛けており、今回も本気で取りにきていたと聞く。ほかの外資とは一線を画しているよ。第3弾以降も入ってきそうだ。他方、今回は外資に一つは勝たせたいという政府の考えもあったように感じている。