【川崎汽船・電源開発/風力利用で推進するカイトの石炭船搭載が決定】
川崎汽船と電源開発は、8万8000tの石炭運搬船「コロナ・シトラス」に、風力を利用して推進力を補助する自動カイトシステム「シーウイング」を搭載すると決定した。国内の電力会社向け石炭運搬船への搭載は初だ。シーウイングは操舵室からの簡単な操作で自動的にカイトの展張や格納ができる。シーウイングの搭載により、燃料となる重油の使用量を削減し、航行中のCO2排出量を約20%以上削減できる。コロナ・シトラスは2019年から就航中で、これまでも船舶のSOX排出規制への対応のために、排ガスに海水を噴霧してSOXを洗浄する装置「SOXスクラバー」を搭載している。シーウイングを搭載することで、さらなる環境負荷軽減を図る。
【東京ガス・SCREENホールディングスほか/低コストグリーン水素製造用部品の量産化へ】
東京ガスはこのほど、SCREENホールディングスと共同で開発している、グリーン水素製造に使用するPEM水電解用セルスタックの性能、コスト、耐久性能を左右する重要構成部品である水電解用触媒層付き電解質膜(水電解用CCM)の高速量産化技術を確立した。2021年から共同開発を進めてきた両社は、SCREENの「ロールtoロール方式」で用いられる触媒塗工技術を活用。燃料電池用CCM製造向けの触媒塗工技術を水電解用CCMへ転用する際に、製造プロセスや触媒インク配合を水電解用に最適化することで、電極面積800㎠超サイズの水電解用CCMの製作に成功した。両社は今後も、サイズ拡大に向けた技術開発を加速しながら、量産開始を目指していく。
【デンソー/グリーン水素の地産地消を3社で実証】
デンソーとデンソー福島は、トヨタ自動車と共同で、グリーン水素の製造と製造した水素の活用に関わる実証を3月から開始した。この実証を通じて、「水素地産地消」モデルの構築やカーボンニュートラル工場の実現を目指す。水素はデンソー福島の工場内で製造され、工場ガス炉内で活用される。水素の製造には、トヨタ自動車が開発した水電解装置と、デンソー福島で自家発電した再生可能エネルギー由来の電気を用いる。水素の製造から利活用までのパッケージを複数構築し、組み合わせることで、工場の規模に応じた量の水素を導入できるモデルを形成していく。デンソー福島を起点に、福島地域で水素利活用を推進し、全国展開を目指す構えだ。
【明電舎/リチウムイオン電池用交直変換装置の販売開始】
明電舎は、再生可能エネルギーの普及拡大を背景に、電力系統の安定化に寄与する新型のリチウムイオン電池用交直変換装置(PCS)を開発し、2月から販売を開始した。PCSは、事業者が所有する外部システムとの連動の下で、需給調整市場のシステムに適応するための機能を実装している。また、事業継続計画(BCP)対策として使用できる停電時の自立運転機能や、自家消費型太陽光発電システムとの併設導入などにより、社会の脱炭素化に貢献する。
【アストモスエネルギーほか/LPG船にバイオ燃料 試験航行で実証】
アストモスエネルギーと日本郵船は、LPG船「LYCASTE PEACE」で、FAME B24(脂肪酸メチルエステルを24%の割合で混合)のバイオ燃料をシンガポールで給油し、試験航行した。バイオ燃料の生産地から補油地のシンガポールまでの輸送や通常燃料との混合、混合燃料の管理を追跡。船舶用バイオ燃料のサプライチェーンが追跡可能で、安全であることが証明された。バイオ燃料はCO2を発生するが、廃油などを原料とするためカーボンニュートラルと見なされる。次世代燃料の候補の一つとされている。
【荏原製作所/水素発電向けポンプ 世界初の開発に成功】
荏原製作所は、世界初の水素発電向け液体水素昇圧ポンプを開発した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として、2019年から開発をスタートした。22年10月には液体水素による実液試験(マイナス253℃)を実施し、大流量昇圧ポンプの設計に資する試験結果が得られたという。液体水素をガスタービンへ供給する際、昇圧ポンプが必要となる。同社は、強みとする高圧遠心ポンプと極低温の技術をベースに、世界初の液体水素燃料供給用のポンプとして、年内の市場投入を予定している。
【NTTアノードエナジー/県有公共施設にオンサイトPPA電力を提供】
NTTアノードエナジーは4月、「福島県県有施設太陽光発電設備設置事業(PPA方式)補助金」を活用し、福島県環境創造センターで、オンサイト PPA での再生可能エネルギーの提供を開始した。この取り組みは県内初。この施設の太陽光発電設備による年間発電量は約45万 kW時。全体の約14.4%の電力を賄うことができ、温室効果ガス排出量の削減効果は年間約207.5t、20年間で約4150tとなる見込みだ。同社は、オンサイト PPAなどの活用による再エネ導入、地域内のエネルギーの需要と供給のバランスを図る蓄電池やEV充電サービスなどの導入、地産地消利用率向上サービスを通じて、福島県をはじめとする全国の地方自治体、企業の脱炭素実現に向け貢献していく。
【愛知時計電機ほか/水道・ガスのスマメで見守り実証】
愛知時計電機と静岡県御殿場市、御殿場ガスは「見守りサービス実証実験の実施に関する協定」を結び、御殿場市内の高齢者世帯7戸を対象に、2024年2月末まで検証を行っている。スマートメーターからクラウドに自動収集された水道と都市ガスの1時間ごとの使用量データを監視。生活サイクルを精緻に把握し、高齢者見守りサービスへの利活用の有効性を確認する。水道使用状況の異常を把握した場合に安否確認メールを送信するサービスの有効性も検証する。
【ニチガス/川崎に新規営業拠点 3万件の顧客目指す】
LPガス販売のニチガスが、神奈川県内の営業強化の一環で、川崎市内に新規の営業拠点を開設した。神奈川県内としては14番目の営業所だ。業務のデジタル化を推進しながら、営業所の無人化を実現。所内業務は遠隔で管理する。施設はオール電化。太陽光発電や蓄電池を導入し、シミュレーション上はエネルギーの自立化を実現するとしている。
【石油資源開発/網走バイオマス発電所 3号機が運転開始】
石油資源開発が5社と共同出資する北海道網走市のバイオマス発電プロジェクトの3号機が、3月8日に運開した。出力規模は2022年10月に運開した2号機と合わせて1万9800kW。燃料は北海道産の材木質チップを使用。FIT制度により年間約1.4億kW時を北海道電力ネットワークへ売電する。再エネ由来電力の普及と地域経済の発展に貢献する。
【三菱重工エンジン&ターボ/最高水準の発電効率 CO2排出を低減】
三菱重工エンジン&ターボチャージャは3月、高い発電効率とパッケージサイズをコンパクト化した、発電出力2000kWガスコージェネレーションシステム「SGP M2000」を新開発したと発表した。国内市場向けには、4月から販売を開始する。2000kW級では世界最高水準の発電効率44.3%を誇る16気筒新型ガスエンジン「G16NB」をコージェネレーションシステムとしたこの製品は、従来の同社製1000kWコージェネと比べて、発電効率が1.8ポイント向上。発電時の排出CO2を低減する。