【メーカー編/タツノ】
全国約3万余りのサービスステーション(SS)は、災害発生時の役割に大きな期待を寄せられている。
例えば、停電し復旧に時間がかかる場合、現地には次々と電源車が到着する。車載型の無線基地局は電波を受発信できる場所に配備される。それぞれが任務を遂行する間、燃料を供給し続ける必要があり、災害時におけるSSの役割が重要視されている。
資源エネルギー庁は2016年度の補正予算より、「住民拠点SS整備補助事業」としてSSが自家発電設備などを導入する際、250万円を上限に100%補助する補助金制度を推し進めている。
住民拠点SSは、災害時に近隣住民の生活や復旧活動を支えるため、ガソリンや軽油などの燃料供給の拠点となる役割を担う。エネ庁は本年度末までに自家発電設備を備えた住民拠点SSを、約1万5000カ所に増やす目標を掲げている(現在は約7000カ所)。
タツノは住民拠点SS向けに、停電時にも燃料の安定供給が可能な「可搬式緊急用発電機」と「緊急用バッテリー可搬式計量機」の導入を提案している。
可搬式緊急用発電機は分電盤につなぎ、ノズル3本分の計量機と、POS1台、油面計1基、給油場所を照らすLEDキャノピー2灯への電力供給が可能。
災害発生時でも迅速に営業を再開し近隣のライフライン維持の一翼を担う。
SS保有の軽油を燃料としているため、災害が長期化しても供給の継続力の点で安心できる自家発電設備となる。
非常時も迅速な使用が可能 導入後のサポートに注力
緊急用バッテリー可搬式計量機は、自動車のバッテリー(12V)を電源とし、地下タンク内に直接吸入ホースをセットし燃料を供給する。地震などで配管が破損すると、SSの計量機は使用できなくなる。緊急用バッテリー可搬式計量機があれば、配管の損傷や電源の心配をすることなく継続して燃料を供給できる。
昨年の台風15号では、この特性を生かし停電が長期化した地域で緊急車両や住民の燃料供給に貢献した。
非常用設備は、災害時に素早く適切に使用することが必要だ。タツノでは、北海道胆振東部地震の際に多くの使用方法の問い合わせを受けた経験をもとに、非常用の製品に専用サイトへ直結できるQRコードのタグを付けた。
QRコードより携帯端末で使用方法が閲覧でき、安心して対応ができる仕組みとなっている。設備が導入された後も点検サポートを行い、いざという時にスムーズに動作するよう備えている。
能登谷彰常務は「停電していても灯油が汲み上げられれば、暖を取って命を守ることができます。ライフラインの一つとしてのSSが一日も早く営業を再開し、一日も早く復旧するためにどのように力になれるかを考えています」と語る。全国78拠点のネットワークを活用したサポート体制は、日常の生活に戻るためのSSを力強く支える。