【特集2】分散する蓄電所をデジタルで制御 再エネ支える電力インフラに育成

2024年7月3日

【日本ガイシ】

移設可能な蓄電池に加えてシェアリング機能も付与。

発電所から需要家に至る幅広いニーズに応える。

複数の蓄電池で構成する蓄電所で再生可能エネルギーの電力を蓄え需要に応じて供給する―。日本ガイシは、大和証券グループ本社傘下で再エネ投資を手がける大和エナジー・インフラ(東京都千代田区)と連携し、こうした仕組みを回す「シェアリング機能付きハイブリッド蓄電所」の開発に乗り出した。2026年度中の事業化を目指す。脱炭素化に向けた再エネ電源の導入拡大に伴い、電力の需給バランスを整えるニーズが高まる中、調整電源として広げたい考えだ。

リコー環境事業開発センターにあるNAS電池

「StorageHub」と名付けた蓄電所では、大容量で長寿命という特性を備えるNAS電池にリチウムイオン電池を組み合わせた。蓄電池を物理的に移設できるよう設計し、シェアリング機能も付与。発電所から需要家に至る幅広いシーンの蓄電池ニーズに柔軟に応える。


システムの信頼性担保 ブロックチェーンを駆使

ビジネスモデルを構築するのは、日本ガイシとリコーが共同出資するNR-Power Lab(名古屋市千種区)。日本ガイシと大和エナジー・インフラが蓄電所を保有・管理する会社の設立を視野に検討。その会社が管理する蓄電所をNR-Power Labが最適制御する。そこで威力を発揮するのが、分散するエネルギー資源をデジタル技術で遠隔制御するVPP(バーチャルパワープラント)システム。資源の使用可能量や電力需要などを予測し、効率的に利用できるようにする。さらにシステムの信頼性を担保できるよう「分散型ID(識別子)」も採用。データを安全に管理できるブロックチェーン(分散型台帳)技術を駆使する。

こうしたシステムの有効性を実証するため11カ所に16機の蓄電池を順次配置する計画で、容量は計6.3MW時に達する予定。中でも岩手県では実証機を県内の太陽光発電所に併設し、NAS電池とリチウムイオン電池を協調制御するシステムを整備。来年1月の運転開始を目指す。

NR-Power Labの中西祐一社長は「天候に左右される再エネを主力電源として活用していくためには、電力の需給バランスを整える調整力が重要だ」と強調。その上で「5年先、10年先まで見据えて電力のインフラとしての責任を果たしていきたい」と述べた。