【日本原子力発電 村松社長】原子力専業として期待される役割発揮へ一歩ずつ前進

「地元企業」として GXでさらなる支援期待
井関 原子力関連のトラブルでは、一部メディアの報じ方が地元の世論形成にも影響を与えます。事業者側の発信の仕方がやはり重要だと思います。
村松 発信という意味で当社が重視しているのは、「当社の原点は地域に根差した企業である」という視点です。スポーツや地域のイベントなどへの参加、著名人を招いた科学教育の提供、対話形式での発電所説明、そして東海・敦賀それぞれの地区では原電グループ社員が直接地域の皆さまと対話する訪問対話活動(東海第二周辺5km圏内2.8万戸、敦賀市全戸約2.7万戸)など、積極的に展開しています。
井関 ところで、東京高裁での原発差し止め訴訟の控訴審はどのような状況ですか。
村松 口頭弁論はおおむね3カ月ごとに開かれ、原告側の主張に適切に回答しています。一審では、安全性に関する当社の主張は全て認められましたが、避難計画の未整備を理由に運転差し止めとなりました。その後、茨城県や周辺自治体が避難計画策定や訓練の実施に取り組まれており、当社としても、できる限りの支援を行っていきます。
井関 世論調査では、東海第二の再稼働で「賛成」が「反対」を上回っていると聞きます。
村松 調査の種類により差がありますので一概には申し上げられませんが、当社が目指す東海第二の稼働に当たっては、茨城県知事から示された3条件があります。一つ目は「技術的な安全性の検証」で、県の東海第二発電所安全性検討ワーキングチームで順次議論していただいています。二つ目は「避難計画の実効性」です。県の要望に応じ、当社が提出した放射性物質の拡散シミュレーション結果も参考に検討が進められています。そして三つ目は「住民の皆さまのご理解」です。県民・市町村・県議会の意見を踏まえ最終的に知事が判断するという方針が示されています。東海第二の場合は、立地自治体の事前了解に加えて周辺自治体への事前説明や要請に応じて合意形成を図るための協議会の開催など新たな安全協定を結んでおり、そのプロセスもあります。
井関 いずれにせよ、政治的には高市政権で原子力政策に推進力が働いていることは間違いないでしょう。そして、敦賀や東海第二に期待される役割は、変わらず大きいものだと思います。
村松 経済対策では、戦略的な財政出動による対応強化の一環にGX(グリーントランスフォーメーション)を位置付けており、原子力関連への支援が期待されます。ただし、GXファンドは多様な分野が対象です。さまざまなコストの上昇や金利上昇は、投資に対しネガティブな影響を与えます。原子力発電は建設を決めてから稼働するまで特に時間を要する事業であり、こうした点を踏まえた配慮を期待しています。
井関 本日はありがとうございました。
対談を終えて
自民党の歴史的大勝で原子力推進政策に追い風が吹く中、原電は引き続き敦賀2号機や東海第二などを舞台に、経営を左右する重要課題に注力する。今年6月で就任から12年目を迎える村松社長。異例の長期政権ではあるが、社内外からは「余人をもって代えがたい」といった声も。来年度こそ、原子力発電事業者としての未来を切り開くべく、次なるステップへ踏み出せるのか。


