【緊急特集 イランショック】世界を襲う未曽有の危機 消費促す日本の的外れ政策 ※期間限定無料公開
補助金を湯水のごとく 求められる国家戦略は?
日本政府は19日から、ガソリンの全国平均価格を170円に抑えるべく、元売り各社への補助金支給を再開。財源には約2800億円の基金の残高を活用するとともに、今年度予算の予備費から8000億円を基金に積み増すことを閣議決定した。さらに政府は必要に応じて、26年度予算案に計上されている1兆円の予備費からも補助金の支出を検討する構えだ。
本来であれば、過去最大規模の備蓄放出を行った石油不足のさなか、価格上昇という市場の「黄信号」を利用者に発信し需要の抑制を図らなければいけない有事である。にもかかわらず、出口戦略がないままに、国税でそのシグナルを消滅させる燃料油補助の復活は、「史上最低の政策」(小嶌正稔・桃山学院大学教授)というほかない。
「今の様子だと、電気ガス代補助も断続的に続くだろう。日本政府が国家戦略として取り組むべきは、原発再稼動と省エネの支援強化によって利用者の負担軽減を図ることだ。それが国富流出に歯止めをかけ、化石資源の温存につながり、脱炭素化にも貢献する。補助金を湯水のごとく使うだけの無能なやり方が、日本のエネルギー政策にとっていかにマイナスか。それが分からないような政治家は退場した方がいい」(元IEA幹部)

◇ ◇ ◇
本稿締め切りの25日現在、ホルムズ危機は収束に向けて動き出しているようだ。トランプ大統領は24日、「イランはとても大きな贈り物をわれわれにくれた」「石油とガスに関連するものだ」と述べ、ホルムズ問題に関してイラン側から米国側の望む提案があったことを明らかにした。米CNNはイラン情報筋の話として「米国とイランの間で接触はあったが、本格的な交渉には至っていない。イランは国益を守る合意案が示されれば聞く用意はある」と報じた。
米国側はイランに対し、ミサイル計画の5年間停止やウラン濃縮をゼロにするなど六つの条件を要求。一方イラン側は、将来的に戦争が再開されないという保証や賠償金の支払いなど厳しい条件を提示している。米国とイランの対話が進み、事態の打開につながるのかが焦点だ。
ただし、たとえホルムズ海峡の完全開放が実現しても、「不可抗力宣言」を発出したカタールのLNG施設をはじめ、今回の戦争で破壊された中東諸国のエネルギー施設が元通りに復旧するまでには相当な時間がかかる見通しだ。中東に依存する日本の石油調達が正常化するのは、いつのことやら。余談を許さない状況が続く。
1 2


