【特集2LPガス供給最前線】会員企業の相互協定など共助のネットワークを構築 日本LPガス協会

2026年5月3日

昨今の中東情勢で供給体制を不安視する声が出ている。日本LPガス協会が講じている対応策などについて聞いた。

インタビュー/縄田俊之(日本LPガス協会専務理事)

―昨年11月にLPガス業界の目指す姿「2050ミッション」と行動計画「2030アジェンダ」を策定しました。


縄田 安定供給の維持、業界の持続可能な発展、カーボンニュートラル(CN)の三つをミッションに掲げ、安定的な海外調達、災害対応力の強化、グリーンLPガスの推進など6項目の実行計画を策定しました。元売り主体の組織という枠を超え、LPガス産業全体の進むべき方向性を提示しています。


―調達に関して中東依存度が低いメリットや、昨今の中東情勢における課題は。


縄田 メリットは輸入先の多角化による安定供給です。シェール革命前は中東に8割以上依存していましたが、今は米・加・豪が9割超で、中東は4%程度です。課題は、中東依存度が高い中・印が今後調達先を北米にシフトした場合の需要変動、またそれに伴い、パナマ運河渋滞による輸送時間の長期化や調達価格高騰の可能性があることです。世界情勢を注視しています。


―昨今の中東情勢への対応として備蓄状況や緊急時の供給体制はどうなっていますか。


縄田 国家備蓄50日分、民間備蓄40日分、さらに一般家庭の軒先備蓄の30日分を合わせると4カ月分程度は確保できている計算です。能登半島地震で七尾基地が被災した際は、近隣の新潟や富山などの基地から代替供給を実施しました。また、当協会の会員相互協定など共助のネットワークも構築しています。

産業・農業用中心に燃転強化 既存設備の活用で開発を加速

―少子高齢化による市場縮小が進む中、各社の事業基盤強化が課題です。


縄田 産業用、農業用のボイラーなどを中心に燃料転換を強化します。これはCN達成にも欠かせない取り組みです。エネルギー関連の他団体とも連携し、セミナーや講演会を通じて情報発信を行い、業界全体の脱炭素化と事業基盤強化を推進していきたいです。


―グリーンLPガスに関してどのようなロードマップを描いていますか。


縄田 移行期には環境負荷の少ないバイオ燃料から合成するrDME(リニューアブル・ジメチルエーテル)をLPガスに混合させ、その後、グリーンLPガスに移行する道筋を描いています。rDMEはLPガスと性質が近く、また、グリーンLPガスは従来のLPガスと組成が同等のため、現行のインフラを最大限活用し、新たな投資を抑えた開発・導入を加速していく計画です。

なわた・としゆき 1988年通商産業省(現経済産業省)入省。ガス安全、水素・燃料電池、住宅産業、安全保障貿易などに関する行政を担当。2024年7月から現職。