【特集2LPガス供給最前線】フィジカルインターネットが支援する物流の最適化

2026年5月3日

物流業界では、複数社による共同配送が試行されている。非エネルギー業界が取り組む効率化などの展望を聞いた。

インタビュー/奥住智洋(フィジカルインターネットセンター「JPIC」事務局長)

―JPIC設立の経緯と事業概要について教えて下さい。


奥住 国内の物流効率化を目指す「フィジカルインターネット(PI)」を推進しています。PIは、ヤマトグループ総合研究所の研究テーマの一つでしたが、有志企業とスピンアウトしてJPICが設立されました。その後、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)スマート物流サービス」の一部機能を継承し、体制を強化して2023年10月に事業を開始しました。PIを企業や業界の垣根を越えた協働を前提とする開かれた物流エコシステムと定義し、その実現を支援する役目を担っています。

業種を超えて連携し積載率向上 状況に応じ輸送手段を組み合わせ

―具体的な取り組みは何ですか。


奥住 労働力不足、CO2削減などの課題の解決には、業種や業態を超えた共同物流、つまり複数企業の荷物を混載して積載率を上げる必要があります。トラック1台当たりの積載率は平均38%ほどですが、例えば東京から大阪に運ぶ際、大阪からも荷物を積んで帰れば、生産性や積載率も上がります。


 会員企業は、物流のサプライチェーンに関わる96社(26年4月現在)に上り、JR貨物やANA Cargo、近海郵船といった運輸会社にも入っていただいています。単に鉄道輸送へ転換する「モーダルシフト」だけでなく、トラック、鉄道、航空、船舶を状況に応じて組み合わせる「モーダルコンビネーション」など、サプライチェーン上のあらゆるステークホルダーが連携し、課題に取り組んでいます。とりわけ輸送距離が長く、配送量の少ない地方では、食品や日用雑貨品、建設資材といったいろいろな業種が共同倉庫を構えて共同配送する仕組みにしないと、ドライバー不足の問題などは解決できません。


―各社が出資して共同配送会社を設立して運用を担うといったイメージでしょうか。


奥住 日本に一つのプラットフォームを作り、そこで全ての配送を検討できるシステムが理想です。JPICの運用というよりはPIの実現を目指す企業の支援、業界団体との連携、人材育成などを担っていきます。会員企業の一例として、食品メーカーと飲料メーカーが共同配送で積載率を上げた実績があります。同業同士だと繁忙期と閑散期が重なりますが、異業種では重量・容積の両面で効率運用の可能性が高まります。実績を積み上げ、企業間のマッチングを促進したいです。

おくずみ・ともひろ 1986年ヤマトシステム開発入社。2017年ヤマトホールディングスデジタルイノベーション推進室室長などを経て23年から現職。