【フォーラムアイ】コモディティ市場の重要性を啓蒙 TOCOM石崎社長ら第一線の実務家による講座始まる

2026年5月6日

【TOCOM/東京大学】

エネルギービジネスの最前線で活躍する実務家が、東京大学経済学部生らにエネルギーやコモディティ市場について講義する社会連携講座が始まった。

同講座は、2023、24両年度に開講された「産業事情」の後継。24年度は329人の学生が受講登録した。エネルギー市場・コモディティ市場の産業インフラとしての役割を広く伝えるとともに、将来を担う人材育成を図るのが狙い。4~7月の13回にわたり、電力やガス、GX(グリーントランスフォーメーション)など幅広いテーマで講義する予定だ。

4月8日の第1回講義では、東京商品取引所(TOCOM)の石崎隆社長が登壇し、「コモディティ価格がどのようなプロセスで決まるのか、商社や電力会社の経営者・経産省の政策責任者など、複数の視点の話を聞いて考えていただきたい」と、講座の目的を述べた。

初回は東商取の石崎隆社長が講師を務めた

初回のテーマは「コモディティ市場と先物取引」。石崎氏は、イラン紛争によるエネルギーの先物価格上昇に触れ、実際の原油・電力価格の変動をグラフで示しながら、「先物市場では、多様な参加者による将来の予測を反映し価格が形成される」と説明した。

また、価格高騰対策として政府が実施している補助金政策により、省エネのインセンティブが希薄化することで供給制約が悪化するとした上で、「本来は、産業インフラとしての先物市場をリスクヘッジの場として利用すべきだ」と強調した。

震災踏まえた電力政策 改革の是非問う質問も

15日に実施された第2回では、佐藤悦緒・前経産省電力・ガス取引監視等委員会事務局長が登壇し、「電力政策と市場」をテーマに講義した。

同氏は2011年3月の東日本大震災発生後、資源エネルギー庁電力基盤整備課長として計画停電を担当した。その経験を踏まえ、「九電力による硬直的な体制が、電力の広域融通を妨げた結果として実施されることになった。その後の電力広域的運営推進機関の設立や広域連系系統のマスタープランの研究は、必然的帰結だった」と、現在の電力政策に至った問題意識を語った。

また、福島第一原発事故による国、電力会社に対する信頼性の低下が、原子力に限らず、電力システム全体の政策立案・実行をむしばむ構造的問題となっていることを訴えた。

学生らは講義に熱心に耳を傾け、終盤にはメリット・デメリットを踏まえた電力システム改革実施の是非を鋭く問う質問が飛び出るなど、関心の高さがうかがえた。