【特集2 省エネ最前線】ベースロード需要を調整する中部電力の「冷蔵庫DR」

2026年6月3日

ルームエアコン、エコキュート、蓄電池、エネファームなど家庭用のデマンドレスポンス(DR)を支える多様な商材が生まれる中、中部電力ミライズとパナソニックは家庭用冷蔵庫を使ったDRサービスの取り組みを本格的に開始した。


コンプレッサーを動かし、冷媒を循環させて庫内を冷やし続ける家庭用冷蔵庫。統計ではエアコンに次ぐ電力を消費するが、果たしてこの「ベースロード需要」に対して電力調整の余地はあるのか。この疑問に対してサステナブル社会推進本部の猪飼文洋・エネルギープラットフォーム構築部課長は次のように説明する。


「冷蔵庫はコンプレッサー向け電力とともに、デフロストと呼ばれる、冷却器に付着した霜の除霜にも電力が使われている。コンプレッサー用電力は庫内の温度や食品に影響が出ない範囲で一時的にオフできる。一方、デフロストは通常、深夜の時間帯に稼働していることが多いが、時間帯をずらすことも可能だ」。同社はこれらのポイントに注目。2023年からパナソニックとともにDRの可能性を探ろうと、ユーザーにも協力を得て実証を重ねてきた。

電力調整に効果がある冷蔵庫


実証では、冷蔵庫から発するドレミのメロディによるお知らせと同時に、電力消費の上げ下げを開始。上げのタイミングではデフロストを機能させ、下げではコンプレッサーを一時的に止める。一連の作業を自動的に行うことから、ユーザーへの負担はない。庫内の食材などの品質に影響は与えないことから、好意的に受け止めているユーザーがほとんどだという。


実証では、冷蔵庫のDRが実現できたと同時に、「冷蔵庫以外のDRにもつながった」(猪飼氏)という。下げDRの場合、これまでの機器制御型DRだと1・2倍程度の効果にとどまっていた。だが、冷蔵庫を使ったDRではユーザーの省エネ行動を誘引し、他の家電などにも波及したことで、全体の1・7倍の節電効果につながった。一方、上げDRの場合では1・8倍で、全体で2・2倍の効果だったという。両社が実施したアンケートによると「冷蔵庫のDRお知らせ機能の要請時に他の家電に対するアクションが変わった」とするユーザーが7割に達したそうだ。

主体的なDR参加を促進 余剰再エネの有効利用に

同社はこれまで、家庭向けDRサービス「NACHARGE(ネイチャージ)」を展開してきた。ユーザーが主体的にDRに参加することを促し、ユーザーはポイントを得られるサービスだ。現在、利用実績は約37万件に上るという。


同社は今後、家庭用の冷蔵庫を使った仕組みを取り入れる計画だ。冷蔵庫を切り口に他の家電に対するアプローチを変容させれば、さらに大きなDR効果が見込める。


中部エリアでは、余分に発電した再生可能エネルギーに対し、23年度は14日、24年度には23日の出力抑制を実施した。再エネを有効活用する上でも、期待が掛かるサービスだ。