【特集2 省エネ最前線】Kenesが大学病院のエネルギー設備を一元管理で最適制御

2026年6月3日

関電エネルギーソリューション(Kenes)は、昨年11月に開設された近畿大学おおさかメディカルキャンパスにおいて、空調、給湯、照明などのエネルギー関連設備の設計から運転・保守管理までを一括で受託した。エネルギーを一元的に最適制御することで、省エネ性とコスト削減を両立する。

近畿大学おおさかメディカルキャンパスの全景


同社のサービスでは、設備の設計から資金調達、建設、運転、保守管理までを初期費用ゼロで一貫して引き受ける。高額な予算確保が困難な場合でも、高性能な最新設備を即座に導入でき、顧客は資金的な懸念なく事業運営に集中できる。省エネ効果が持続すれば、長期的に光熱費を削減でき、大きな利益がもたらされる。加えて、設備の省エネ性や快適性はKenesが厳格に検証するため、信頼性も担保されている。


こういった包括的なエネルギーサービスにより、顧客は経営資源を本業に最大限投入することが可能になる。とりわけ一刻を争う医療現場では、病院スタッフがエネルギー管理という煩雑かつ責任が重い業務から解放される意義は大きい。設備運用の判断をプロに任せることで、医療従事者が患者一人ひとりと真摯に向き合い、ケアに専念できる体制を整えられる。人の命を預かる現場が抱えるインフラの維持管理に関する不安を払拭し、より質の高い医療サービスに集中できる環境こそが、同社が提供する真の価値だ。

計画の方針変更に対応 長期安定稼働する設計提案

同社は2019年3月にプロポーザル形式で大学と契約を締結した。契約締結後にプロジェクト全体の計画の方針変更があり、施工については、設計と施工を分ける設計施工分離方式から、設計・調達など建設会社のノウハウが生かせる実施設計付施工方式(DB方式)となった。ユーティリティ本部ユーティリティ事業部の羅本和哉部長は「プロジェクトの長期化に伴い、当初想定していなかった状況が発生した。特にコロナ禍以降の物価高騰があり、社会が不透明な状況下でのコスト管理は困難を極めた」と振り返る。


そのような逆境にあっても「私たちを選んでくれたお客さまの期待に応えたい」と、同社はエネルギー設備の付加価値を向上させる提案をし続けた。ユーティリティ本部戦略グループの森俊介グループマネジャーは「私たちの優位性は、省エネや運用効率を高める設計提案、つまり『将来の運用を見据えた設計』にある」と語る。病院という特性上、長期間安定して稼働し、かつ点検・メンテナンスしやすい設備が必須となる。そこで、将来の故障リスクを回避する設計を随時提案し、同社の300件を超える豊富な実績に裏打ちされた最適解を作り上げた。森氏は「単に設計を請け負うのではなく、お客さまに寄り添い、お客さまの最適解を共有しながら、設計・建設を行い、運転・保守までを伴走するのがKenesの仕事」と語る。

ユーティリティサービスの概要

現場と遠隔でダブル監視 常時バックアップが可能に

現場では竣工から今日まで、同社の社員が24時間365日体制で常駐し、安定稼働と省エネを支えている。「エネルギー関連企業などで研さんを積んだ駐在社員は設備の設計意図を理解しており、問題が発生しても即座に要所を把握し、説明できる。それがお客さまの安心感につながっている」とユーティリティ本部お客さまサービスグループの岡田努グループマネジャーは話す。


現場での常駐監視に加え、大阪中之島の本社には24時間365日体制の遠隔監視センターが設置されている。機器の警報などを現場とダブルチェックし、本社から常時バックアップが可能だ。この遠隔監視センターは、19年の台風15号で千葉県の房総半島が被災した際に現地の停電復旧を遠隔で支援し、翌日からの通常営業を成し遂げた実績もある。


「われわれの真価が問われ、評価が下されるのは15年後」と羅本氏。サービス契約満了を迎える15年後に「またKenesさんにお願いしたい」と全幅の信頼を寄せられ、契約の延長に加えて、設備更新やさらなる省エネ実現のためのエネルギーマネジメント全般を任せてもらうことが究極のゴールだという。


あべのハルカスなど、大型施設の実績が豊富な同社にとっても、今回のプロジェクトは別次元だ。「大学病院のエネルギー需要は桁違いに大きい。特に本案件のような800床規模の大学病院はわれわれにとってもトップクラスの規模だ」(羅本氏)。一瞬の停電も許されない病院の特性の下で、いかに安定的かつ効率的に運用・エネルギーを管理するかがポイントだ。日々の運用で省エネ実績を着実に積み上げ、それらのデータ・ノウハウを基に、学会での発表も視野に入れている。今回の案件を確実な成功に導くことで、業界のフロントランナーとしてさらなる高みを目指していく考えだ。

左から岡田氏、羅本氏、森氏